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彩る夜に結ぶ  作者: 浅葱 咲愛
四章 消えた過去
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六話 兄弟1


「おはよー」


「おはよう。あのね・・・」


賑やかな朝食の会場に行く。昨日とは違ってバラバラの学校の人たちが一緒にいる。早い。


「彩夜芽ちゃん!」


「彩夜乃ちゃん、おはよう」


彩夜乃ちゃんも朝から元気はタイプらしい。


「彩夜芽ちゃんはパン派?ご飯派?」


「ご飯派かな?」


こうやってすぐに話題が出てくるのはすごいと思う。


「私もだよ」


「あ、夢羽ちゃん、あおいちゃん、おはよう」


「おはよう。賑やかだね」


「今日も四人で一緒に食べようよ」


「うん」


あおいちゃんは元気だけれど夢羽ちゃんは朝が弱いのかまだぼーっとしている。


「夢羽ちゃん、遅く寝たの?」


「新しい本を読んでいたらついつい夢中になって・・気づけば12時過ぎてたの」


「わかる! 夢中になると時間忘れるよね。私もそれでよく優斗に怒られて・・」


私にはよくわからない。夢中になっていても11時頃にはには眠くなって寝てしまう。


「私はすぐ寝ちゃうけど、あおいちゃんはそんなことある?」


「無いかな。遅くまで起きているの得意じゃないんだよね」


そんなことを話しながら机に向かった。








「あっちは賑やかだな〜」


宙がそんなことを言いながら隣の席にやってくる。誰が決めたわけでも無いけれど奥が女子、手前が男子の席になっている。


「彩夜も楽しそう」


何人かと仲良くなれたらしい。


「あ、優斗、こっちで一緒にどう?」


「うん」


色葉優斗、苗字が一緒でなんとなくおれと似ているらしい。昨日の夕食が宙と優斗は一緒だったらしい。


「結理・・くん、おはようございます」


「おはよう」


なぜか敬語を使ってくる。理由はわからないけれどおれのことを気にしているらしい。たまに目があってすると慌てて逸らしてくる。


「色葉ー」


「「?」」


そうだ。苗字がかぶっているとどちらかわからない。


「あ、二年の方」


「結理でいい」


自己紹介の時にいなかったから今話している相手が誰なのかわからない。


「結理って女子でも良いような名前だよな」


そんなことを言われたって名前だからどうしようもない。


「名前で女子と勘違いされたことはある」


宙が悪いらしいけれど。


「へー」


「それで?」


用事もないのに話しかけて来たんだろうか?


「隣いい?」


「いいけど」


「良いってー」


すると何人もこっちにくる。


「・・なんでおれに聞くの?」


「同じ二年だから。二年って一年生より少なくて・・・一年には話しかけづらいし」


宙なんか話しやすいと思うのに。


「ねえ、趣味は?」


「ゲームとかする?」


「少し」


秋翔くんや宙に付き合って少しはしたことがある。でも趣味ではない気がする。そこまで面白くなかった。


「なんで壁作ってるの?」


「賑やかなの苦手?」


「別に」


苦手ではない。壁を作っているつもりもない。ただ、このノリについていけない。


「どのあたりが壁作ってるように見える?」


「そっけないところ」


「表情がわからないところ」


「白崎とか椿さんと話すみたいに話してくれないから、壁に見えるかな?」


難しい。


「好きなおにぎりの具は?」


「梅」


渋いと言われるがやっぱり梅が一番だ。


「何かスポーツやってる?」


「してない」


どう返すのが正解なんだろう? 答え方が悪いとか?


「そっちの色葉の名前は?」


「優斗です」


「親戚・・とか?」


「似てるよね」


「違う」


妹はいるけれど兄弟はいない。もしかしたらいるかも知れないけれど、何百年も先の時代にいるわけがない。


「? 優斗、どうした?」


「なんでもない」






「ごちそうさまでした」


周りの同学年の面々と特に何か話す事もなく朝食を食べ終わった。


話さないから周りより早く食べ終わる。食べ終わったのにさっきの席に戻る理由もない。まだ時間があるから部屋に戻ってゆっくりしよう。


「結理・・くん。待って」


「?」


避けているのかと思っていたけれどなぜか追いかけて来たらしい。


「・・僕、優斗です。色葉優斗。・・覚えていませんか?」


覚えてない。でも・・優斗のことを見ると頭痛がひどくなる。


「知らない」


「・・杏と華鈴はわかりますか?」


双子の妹。もしかしたらあの二人の方が早く生まれていて姉かもしれない。


「どうして?」


「・・・兄上は悪くありません。ごめんなさい。僕が言うことを聞かなかったからです。僕のせいだから兄上はなにも気にしなくて良いんです。だから・・」


悪くない。おれのせいじゃない。だから・・


いつかも同じように誰かに言い聞かせられた。それは覚えている。でも・・なにがあってそう言われたのかわからない。


「違う。もっと何か・・できれば・・」


できれば? そのあとなにを言おうとしていた?


「兄上?」


「・・ごめん。知らない。・・・わからない」


まだ何か忘れているんだろうか? 杏と華鈴を忘れた時と同じように。


「そうですか」


ほんの少し悲しそうな顔をしたけれどすぐに真っ直ぐに見てきた。


「優斗です。優斗って呼んでください。よければ・・これから仲良くしてください」


「・・うん」


「ありがとう」









今日はなぜかみーちゃんと宙がセットで座っているから自然と私は結と隣の席になった。


「今日はまず、アンケートに答えてください」


ざっくり今日の予定を聞かされた。今日は長いお話は無いらしい。それにホッとする。


「あんけーと?ってなに?」


「質問に答えてくださいって意味」


「日本語で言えるならそう言えば良いのに」


「そうだね」


たくさん質問が書いてある紙が配られる。一枚に十問以上、それが五枚。


「あの・・話しながらでも良いですか?」


結が手を挙げて聞いた。


「理由を聞いても良いでしょうか?」


「えっと・・意味がわからない言葉と読めない字があるので周りに聞きながらじゃないとわからないなーと」


「・・・えっと・・」


説明の人が困ってる。


「良いですか?」


「・・どうぞ」


結は何年も文字のある場所で生活していなかったからそもそも書けないくて読めない字がある。外国から来たカタカナで書く言葉はあの時代では使われないから意味を知らない。こっちに来てまだ五ヶ月も経ってないから知らない字や言葉を覚えきれていないらしい。


「外国にいた時期がある・・とか?」


「違いますけど・・・そんな感じです」


結はいつもうまくその辺りを誤魔化している。私には真似できない。


「では・・始めてください」






1、遊ぶなら中・外どっち?


もちろん中。でもこのアンケート、なんだろう? 


2、好きな教科と嫌いな教科は?


これって必要な質問? 


疑問に思いながらも答えていき・・・たまに結の質問にも答える。わからなかったら宙とみーちゃんにも聞いてみる。


   ・


   ・


   ・


50、今まで見た中で感動した作品は?





「結、聞いていい?」


「良いけど?」


なにを聞くんだろう?と不思議そうな顔をしている。


「感動って何かな?」


「・・小説とか映画の宣伝で書かれるやつだよね?」


「そう」


「・・あの場所に娯楽なんてなかったし、こっちに来てからも感動したって思ったことがないからわからないかな」


「だよね・・」


みーちゃんに聞いたらわかるかな? 空欄で出しても良いかな?


好きな作品は?と聞かれたら答えられるのに。


時間まで考えたけれどやっぱりわからなくて空欄のまま前に持っていった。







「次は演技をしてもらいたいと思います」


「質問があります!」


みーちゃんと仲良くしていた子が手を挙げた。多分一年生。


「なんでしょう?」


「役は私たちがこれをしたいとか希望は言えるんですか?」


「言えません。ですが、主役も脇役もいないので安心してください」


物語なら主人公と脇役がいるものだ。それなのにどうして?


ちょっとだけの脇役が良かったのに。


「全員主役であり、脇役をやってもらいます。一人あたり約30分が主役の時間です」


話によって主役が変わる話、と言うことだろうか? そんなの見たことがない。


「あの・・原作は?」


「青春系の漫画です。最近ネットで人気が出て来ている作品で、皆さんに合っている役を演じてもらいたいと思います」


それでさっきのアンケートだったのかな? 


「あとで配るので読んでおいてください」


ここに来て知らないお話が読めるとは思わなかった。どんなのか楽しみだ。


「ネットでも書けるものなの?」


「うん。ネットで書いててだんだん人気になって書籍化とか最近結構あるみたい」


私は本で読む方が好きだから存在は知っているけれど読んだことはない。


「演技は下手なんですけど良いですか?」


そう言ったのは・・あおいちゃんと同じ学校の男子だ。名前は聞いたけれど忘れてしまった。


「・・ちゃんと選んだはずなので大丈夫です」


なら私でも大丈夫かな? 舞台であれだけ演技ができたのは部長が見て完璧にできるまでやり直しをさせられたから。


「暗記が苦手なんですけど」


「頑張ってください」


「字が下手なんですけど、字を書かないといけないシーンはありますか?」


次々質問が出てくる。


「舞台は学校なのでありますが、無いようにします」


「休みって・・」


それは気になる。土日はのんびりしたい。


「質問は後にして・・今から一人ずつ演技をしてもらいたいと思います。待っている間にそれぞれ質問しに来てください」


どうしよう。まだ覚えてない。目は通したけれど練習もしてない。


「名前順でいきましょう。まず・・和泉さん。次は色葉結理くん準備をしておいてください」


最初は彩夜乃ちゃんだ。あ行でない苗字でよかった。


「あれ? 結理が先なの?」


「優斗の方が後だから。まあどっちでも良いけど」


「もう覚えてるの?」


結は何かを察してため息を吐きつつ順番まで暗記を手伝ってくれた。











どうにか暗記はできたから演技ができているかはわからないけれどどうにかなった。


「彩夜芽ちゃん、どうだった?」


彩夜乃ちゃんがそばにやってきた。彩夜乃ちゃんのおかげで休憩時間に退屈することはない。


「どうかな? 下手だった自信はある」


「私、一番最初だとは思わなかったよ」


「学校順だったらよかったかもね」


「そうだね。・・でもどうにか終わったからよかったー」


それは私も同じ。


「ねえ、彩夜芽ちゃん。芸名、どうする?」


「・・考えてないけど・・名字を一緒にする?」


どんなのが良いかは考えていなかったけれどこれだけは考えていた。どうかな?


「いいの?」


「良いの?」


「嬉しい。・・でも、そしたら双子ってわかるよ? それでいいの?」


「双子なのは・・別にいいと思うし、お姉ちゃんって言われるのが困るだけだから」


ずっと妹だったから困っただけ。お姉ちゃんと呼ばれなければ、ただの友達のようだから問題ない。


「そういえば、結理くんとか宙くんはどこにいるの? いつも近くにいるよね?」


そんなにいつも一緒にいるように見えているのだろうか?


バラバラで動くこともそれなりにあるはずなのに。


「休憩時間になったら二人でどっか行ったみたい」


「なんか優斗が機嫌良かったんだよね。結理くんと何かあったのかな?」


「・・・優斗くんって、彩夜乃ちゃんと同じ感じなんだよね? 引き取られて・・みたいな?」


「そう。優斗は小学生になる前だったから・・5歳か6歳くらいにうちに来たの。道で一人だったのを迷子だと思った人が警察に連れていったらどこの子なのかわからなかったんだって」


なんで結と似てるんだろう? ちょっと前まで家族のことを忘れていたくらいだから弟もいたなんてことはあるかもしれない。でも現代にいるなんてことは・・でも・・


「名前もいくつなのかもはっきり言えたらしいから探そうとしたけどいくら探してもなにも見つからなかったって聞いてるの。変な服を着てたらしいし、どこから来たんだろうね?」


世の中、不思議なことはあるもの。気になるけれど確認することもできない。


優斗くん本人に聞いてみるのも何か違う気がする。


「・・でもね、結理くんと仲良くなりたいんだって。言わないけど優斗は何か知ってるみたい。」


「・・・仲良くなれたらいいね」


「彩夜芽ちゃん、今日の午後、お出かけして良いんだって。一緒に行こう?」


「うん!」
















読んでいただきありがとうございます。

今回は半分結がメインのお話になりました。たくさんの人物が出てきたことで関係は広がって変わっていきます。彩夜も結もこれまでとは違った人と行動することが多くなりそうです。

次話も読んでいただけると嬉しいです。

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