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彩る夜に結ぶ  作者: 浅葱 咲愛
四章 消えた過去
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五話 

お知らせです。

題名を『彩る夜に結ぶ』に変えようと思っています。理由は今の題名が分かりにくくてパッとしないような気がしたからです。あらすじのところには一応今の題名も書いておこうと思います。3月からそちらの題名に変えます。


「宙!」


「うわあっ!」


大きな声でいきなり名前を呼ばれて目が覚めた。


「なんだ・・光月か・」


「起きて、誰も起きてない時に部屋戻らないと」


「うん」


布団から出ようとして・・・


「あ」


「どうしたの? 早く起きてよ」


「・・・布団かけてくれたんだ」


ドアが閉まっていないことに気づいて部屋に入ったら光月はすやすや眠っていた。


静かに空いているベットで寝ようと思ったら掛け布団がなかった。


探してみたら光月が一枚を自分の下に敷いてもう一枚を上にかけて寝ていた。こんなことをしたのにドアを開けたままにしてくれるなんてそんな優しいかっただろうか?とは不思議に思っていたけれどそれだけで済むはずがやっぱりなかった。


「・・だって、エアコン効きすぎて寒かったから」


「ありがとう」


「・・・」


なぜかまたあの怖い目を向けられてる。


「また何かしたっけ?」


「塵が積もって山になったんじゃない?」


「そんなに塵はあった?」


「ふーん、わかってないんだ」


次は笑顔。これが怖い。声まで異様に楽しそう。


「光月、今何時?」


「えっと・・5時かな」


「眠い」


「じゃあ隣に行ってから寝たら? 二度寝できると思うよ」


七時ごろに起きれば良かったはずだからもう一回寝れる。なら、早く彩夜ちゃんにはこっちに戻ってきてもらって・・


「でも、どうやって入るの? 鍵持ってないよ」


「・・・ここに鍵あるから」


「いつから持ってたの?」


「いつだろうね?」


昨日の夜から持ってたんだろうか? それならその鍵で俺のことは隣の部屋に戻せば良かったのに。もしかしてわざと? いや、光月のことだからそんなはずないだろうし・・


「どうしたの?」


「なんでもないです」


「言ってよ」


「言わない。言ったら蹴られる気がするから」


「蹴らないし。私をなんだと思ってるの?」


「ほら、二人を起こしに行くんでしょ!」







       ・      ・      ・







「おはよー、二人とも起きて!」


「・・・まだ寝るー」


「もう朝か・・」


うるさいから布団に潜る。


「彩夜ちゃん、起きて」


「どこで寝てるかわかってる?」


「あれ? みーちゃん?宙?」


なんで宙までここにいるの? 宙は違う部屋のはずなのに。昨日はみーちゃんと同じ部屋で寝て・・・


「あ!」


どうしてこうなっているのかわかってしまって飛び起きる。


色々と嫌になって結に愚痴ってそのまま・・。恥ずかしくなって布団をかぶる。


「・・おれはちゃんと止めたから」


「そうだね。・・なんか言ってたね」


「今度から気をつけます」


家の気分でいたらダメだ。今度からはちゃんと自分の部屋で寝るように気をつけよう。


「うん。そうして」


「俺としてはまた同じようなことしてくれていいけど?」


「宙」


みーちゃんが怖い声をしている。


「はい。なんでもありません」


また宙が何かしたんだろうか? 


「宙、やっぱり蹴られた?」


「それがなにもされなくて・・・これから何かありそうで怖い」


そんなこと言ったらまたみーちゃんが怖くなるのに。宙はそれがわからないんだろうか?


「彩夜ちゃん、見つからないうちに部屋に戻るよ」


「うん」


こっそり静かに部屋に出て隣の自分の部屋へ戻った。


「みーちゃん、暑いの? なんか赤いよ?」


「気のせいだよ。それより彩夜ちゃん、二度寝する? それともこれから遊ぶ?」


「寝たら起きれない気がするから遊ぶ!」


やっぱり見間違えではなくてみーちゃんは少し赤くて様子がおかしかった。







    ・      ・        ・








「ねえ、彩夜ちゃんのことなんだけど」


「なに?」


テレビを見ながらなんとなく話してみた。成雨はいつものように聞いてくれる。


他の話ではなんの反応もしない夏牙も彩夜ちゃんの話題なら顔はこちらを向く。


「今度、テレビに出るんですって。どう思う?」


「危険は?」


「どうかしら? わかる人が見れば画面越しでも能力持ちなのはわかるでしょう」


能力持ちは見ていればなんとなくわかるような特徴がある。


「本人がわかってないから隠しようもない」


能力があるのを隠すには自分でどうにかするか、他の人がわからないようにする物を身に付けさせるなど何かしないといけない。でも、私達だって彩夜ちゃんと近いわけではないからそういう物を持たせるのも難しい。


「いつ戻ってくる?」


夏牙は丸い石を撫でつつ言った。主語がないからわかりにくいが、彩夜ちゃんがいつになったら自分たちのところに戻ってくるのか?と聞きたいのだろう。


「それ、私達じゃないと意味が伝わらないわよ」


「苦手だからしょうがない」


「普段からもう少し話せば苦手もなくなるかも」


夏牙は一日中ほとんど話さないから言葉を覚えないんだと思う。


「共通語でなければ話せる」


「そうだったわね」


どこで育ったのかは知らないけれど、初めて会った時夏牙は違う言葉を話していた。


異国の言葉なのか種族間で使われていた物なのかはよくわからない。


「いつ戻ってくるかなんて・・わかったら苦労はしないわよ」


「わかったらこっちだって動きやすくなるけど」


「・・・もう長くない。先に二人が起きたら?」


最近は週に一度ほど二人は目を開けるらしい。


「夏牙が面倒見ればいいじゃない」


「でも・・」


「夏牙は甘いのよ。成雨だってそう思うでしょう?」


「燈依はこっちよりで夏牙はあの人よりだから一緒にするのはどうかと思うけど」


「私が成雨よりだって言うの?」


これと一緒にしないでほしい。私と成雨は全く違う。


「燈依だって荒れてた時期があるって聞いてるけど」


「無いわよ! 建物一つ氷付けにしたことはあるけど、町一つ潰したことなんてないわ」


「あれはうっかり潰してしまっただけだよ」


「そうね。うっかりなら仕方ないわ」


長く生きていれば、たまにやりすぎてしまうこともあるものだ。


「?? なんでうっかりでそんなことに?」


夏牙が部屋の隅でぼそっと言った。


「私達だって色々あるのよ」


「・・・さすが老人」


「私は成雨よりずっと若いのよ」


「いや、燈依と比べてもそんなに変わらないから。本当の老人は露優と玲優だ」


その老人二人は今日は庭で日向ぼっこをしている。


「成雨、夏牙って引きこもりなのかしら?」


「引きこもり? ・・・あー」


庭に出ることもなく一日中部屋の隅で過ごしている気がする。私が仕事に行っている間はもしかしたら少しは動いているのかもしれないけれど、それはわからない。


「狐ってプライド高くてツンツンしてるのよね」


過去は知らない。だからあの場所にたどり着く前の夏牙のことはほとんどわからない。でも、それなりにいい服を着ていて、態度は悪いけれどマナーはなっている。それが最初の印象だった。


「狐・・といえば九尾の一族かしら?」


「九尾があんな子供を外に出すとは思えない」


狐は神に仕えているものが多かった。だからなのかプライドが高く、そこらへんのものたちと関わるのを嫌う。基本外には出てこない。そして性格が悪い。でも、同じ一族のことは大事にする種族だったはずだ。


「でも、夏牙って尻尾一つじゃない?」


「そうよねー」


「燈依、そういえばいくつ? 俺だって老人扱いされる年齢じゃないんだけど」


「・・そっちはいくつなのよ」


「百と・・・これくらいかな?」


成雨は片手でパッと指を立てた。これが十の位なのか一の位なのかはわからないけれど・・・十の位だったとしても・・そんな!


「さば読んでるのよね?」


「さば読む必要がある?」


「・・・わかった。短命種とか?」


「どちらかといえば長い方かな?」


成雨のことはいまいちよくわからない。水属性なのは知っているけれど火を操っているのも見たことがある。本当の姿を見たことがないから種族も知らない。


でも・・私の方が年上だったなんて・・・。


「そういえば、今日二人が来るらしい」


「だれ? またこの家に誰か来るの?」


「そう。一人は桃」


「桃が! やっと女子が増える! 男ばっかりでつまんなかったのよ!」


桃ならぐうたらすることもなく、私の味方になってくれる。


「あとは? 誰?」


「あいつだって」


「まさか・・・」


成雨があいつと呼んでいたのは一人しかいない。


かつての同居人には、怠け者で、すぐに私たちの邪魔をして、それを見て楽しむ、やなやつだけど実力はとてもある人がいた。


「夏牙、早く料理を覚えなさい」


「なんで?」


「絶対に動かない、ろゆれゆにあいつまで加わったら私のすることが何倍にもなるのよ!」


「ろゆれゆにさせればいい」


言ったってしないから夏牙にさせようとしているのに。今どうにかすれば若い夏牙はまだどうにかなるかもしれない。


「夏牙、なにもしないなら今晩の食卓に出してあげるわよ」


夏牙がビクッと震えた。


「毛皮も使えそうだ」


ゆっくり振り向いた。


「狐って食べたことあるの?」


わかりやすく青くなっていく。


「昔、食べたけどいい味だったよ」


隅でぷるぷる震えている。


「へー、楽しみ」


「す、すればいいんだろう」


本当に食べるつもりはないのに。味には興味があるけれど同居人を食べるなんてしない。


「もうちょっと太ったほうが美味しいかも」


「! 成雨、燈依が・・・」


本気で怯えている。夏牙が食べられるなら私より成雨の方が可能性は高い。それを夏牙はまだわかっていないらしい。









     ・      ・      ・








「お兄様、待ってよー」


大人の間を縫うようにして走っていた。僕の後ろを妹二人がついてくる。


「速いー」


「二人が遅いんだよ」


止まって振り返ると二人が遅れてそばまでくる。


「だってお兄様は私たちより」


「二つも年上なんだよ」


「身長は変わらないよ」


そうだった。同い年ではないのに身長はわからなかった。


二人はいくつだっけ? 確か今年で6歳。なら・・・おれは?


「お兄様?」


「どうしたの?」


二つ上? 8歳?


違う。そんなにおおきくない。違う。おれじゃない。


「ねえー」


鮮やかだった世界がバラバラと崩れていく。


あの人たちも妹たちだって違う。違う・・


ならおれは誰?


気づけば真っ暗になっていって自分だけが残っていて他にはなにもなかった。









「結理、どうした?」


朝早く起きるのは得意。まだ四時だけれど眠くはない。でも・・変な夢を見たせいなのか調子が悪い。


「ん? どうもしてない」


「せっかく彩夜ちゃんと二人だったのに?」


そんなのいつものことだし、多分眠らされたせいで夜中に起きることもなかった。


「そっちはどうだったの? 怒られた?」


「怒ってたのかな?・・・とにかく怖かった」


「宙が悪い」


「塵が積もって山になったって言われたんだけど意味わかる?」


その言葉の意味は知っている。多分宙が無自覚のうちにあれこれやっているのだろう。


「わかる。・・光月ちゃんにもう少し・・・」


「もう少し?」


「こう・・接し方を変えてみたら?」


「今日の結理、やっぱり変」


あれだけのことをしていつも通りの宙がおかしい。


「・・あとで話聞いてくれる?」


「いいよ」


聞いたら教えてくれるだろうか? それとも都合が悪いからと隠してしまうのか・・


ふと外を見れば空が明るくなってきていた。












読んで頂きありがとうございます。

最初は光月と宙のお話、ちょっと彩夜ちゃん視点を挟んで燈依さん視点と結理視点のお話でした。

三つの短いお話はこれからのお話とだんだん繋がっていくと思います。

次は彩夜視点のいつものお話です。

次話も読んでいただけると嬉しいです。

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