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彩る夜に結ぶ  作者: 浅葱 咲愛
四章 消えた過去
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二話 双子2

「まず、今回の企画の説明をしたいと思います」


そうして長い長い説明が始まった。けれど全く頭に入ってこない。


頭の中にはさっきのことがぐるぐるしている。


ついこの前もいきなり弟妹が増えたのだから妹がもう一人くらい居たっておかしくないかもしれない。でも私は中学一年生。その私をお姉ちゃんと言ったのだからあの子はいくつなんだろう? 同じ学年の姉妹ってあるのかな?


でも、もう兄弟は増えなくていい。お姉ちゃんなんかなりたくない。できればこれからもお兄ちゃんの妹でいたい。






「では自己紹介をしてください」


慌てて前を向く。どこからだろう? ちゃんと聞いていなかったからわからない。


聞いて覚えるのは苦手だ。しかも人数が多い。どうしよう・・・。


まず立ったのは・・さっきのお姉ちゃんと言ってきたあの子だ。


「一年の和泉(いずみ) 彩夜乃(あやの)です。よろしくお願いします」


いずみあやの・・苗字だってちがう。名前は少し似ているけれどそれは偶然だろう。


次に立ったのはさっきぶつかったあのひとだ。


「一年、色葉(いろは) 優斗(ゆうと)です」


いろはって結と同じかな? あまり聞かない苗字だからかぶるなんて珍しい。


ガタンっ!!


「!」


なにか落ちてぶつかるような音がした。見ればペンケースの中身が床に散らばっていて結が頭を押さえている。


「あー、拾わないと。え? 結理?」


「結、痛いの?」


この前とは少し様子が違う。この前より辛そうにしている。返事がないから余裕がないほど痛いのかもしれない。


「どうしました?」


このままにしておくなんてできない。


「あの・・・部屋に連れて行っていいですか?」


「どうぞ」


「結、動ける?」


「彩夜ちゃん、俺も行く。部屋の鍵もってるの俺だし」


「うん」


どうにか立たせて連れていく。思っていたよりも重い。宙がいなかったら連れて来れなかったかもしれない。


「宙、何階だっけ?」


「えっと・・・八階」


エレベーターのあるホテルでよかった。











「はあー、やっと終わったー」


どうにか眠らずに頑張った。部屋に着いた後、この前のように手を当てて治ってと思っていたら同じようになって結はすぐに眠った。結が治って眠ってくれるのはいいけれどその後に私まで眠くなるのはどうにかならないだろうか?


「みーちゃん、後で内容教えて」


眠くてぼーっとしていて内容は聞いていなかった。


「うん。全部は覚えてないけどいい?」


「うん」


終わったけれどあと20分すればまた長いお話が始まる。


「あの・・」


声がして上を向けば廊下でぶつかったあの人が立っていた。


「・・・私ですか?」


「そうです。・・椿さんでしたよね」


「はい」


「兄上は・・・えっと・・色葉さんは大丈夫でしたか?」


「今は眠っていると思います。だから大丈夫だと思います」


「よかった・・」


知り合いなのかな?


でも・・そんなはずないし・・。


「優斗、先にお姉ちゃんと話すなんてずるいよー」


「はいはい」


さっきのあの子だ。


「あのね、お姉ちゃん。優斗とは同じ家で育って姉弟のようなものなの」


そんなの聞いてないのに。


「あの・・・お姉ちゃんってなんですか?」


「お姉ちゃんは私の本当のお姉ちゃんだからお姉ちゃんなの」


「同い年ですよ」


「だって双子だもん。お姉ちゃんが彩に夜、それに芽でしょ。私は彩に夜、えっと・・名前にはよく使われてる乃。字だって一緒で・・」


確かに双子なら同い年になる。でも・・・双子ならなんで会ったことがなくて存在も聞いたことがないの?


「苗字が違うのに?」


「・・私の苗字は預けられた家のだもん。お姉ちゃんもじゃない?」


そんなはずない。誰からもそんなはなし聞いたことがない。


「人違いじゃないですか? 私はなにもきいてません」


「えっと・・・証拠は、この髪とか」


彩夜乃ちゃんが結んでいた髪をおろしてその一部を上にあげた。


「ほら、お姉ちゃんと一緒の色でしょ」


黒髪の中に金色の髪が隠れてる。染めたんじゃない金色の髪が見えてる。


「目はコンタクトで隠してるの。本当は青だよ」


「たまたまじゃない?」


「違う! これ、私たちが生まれてすぐの写真。名前だって書いてあるの!」


見せられた写真には赤ちゃんが二人写っていてどちらも金色の髪。その二人が寝ている場所に彩夜乃・彩夜芽と書いてある。


なんで? この子も妹なの? それともこの子だけが妹で兄弟なの? どっちだとしてもなんで誰も今まで双子だって教えてくれなかったの? なにも言ってくれなかったの?


「知らない! 聞いてないもん!」


「彩夜乃、やめようよ。いきなり言っても受け入れられないって。僕たちの育った家とは違うよ」


「優斗、お姉ちゃんとやっと会えたんだよ」


「それはわかってるから。ごめんね、椿さん」


「彩夜ちゃん、一回外で休憩しようよ。あのね、和泉さん、彩夜ちゃんは家で色々あったばっかりで・・・だから今はごめんね」


みーちゃんに背中を押されて外に出た。


「彩夜ちゃん、どうする? なにかジュースでも買いに行く?」


「・・・大丈夫」


「じゃあ、そっちに小さい庭があるらしいから見に行こうよ」


「うん」


みーちゃんがいてくれてよかった。どうしたらいいのかわからなくなっていたから。


「・・屋上なのに滝があるよ」


「すごいね」


やっぱり都会は違う。田舎だったらわざわざ屋上なんかに庭を作らない。


「私は学校の裏の森の方が好きだなー」


「私も。学校の中庭の方が綺麗」


きっとここの庭の方が学校の中庭の何倍も手入れされているだろう。裏の森は山の一部を学校の敷地に入れてあるだけで中庭はたまに可愛い字を書く校長先生が剪定している程度だ。


「お兄ちゃんに電話しようかな」


「平気?」


「・・・なんかもう・・何にも思わないかな。最初はびっくりしたけど・・・ここに来たら落ち着いた。そしたらなんか・・」


「そっか」


ポケットから携帯を取り出してお兄ちゃんの番号を押す。


『・・・彩夜? どうした? 今休憩?』


「お兄ちゃん・・あのね・・・聞いていい?」


『うん。・・?』


「私の双子の妹だって人に会ったの。・・私ってお兄ちゃんとは兄弟じゃないの? それともまた妹が増えるの?」


『え? なんのこと?』


「そっか・・お兄ちゃんは知らなかったんだ」


少しほっとした。お兄ちゃんが嘘をついて隠してるんじゃなかった。


『ちょっと待ってて、母さん達に確認するから』


お兄ちゃんがそういうと向こうからはあまり音が聞こえなくなった。


なんとなく小さく聞こえるような気がするけれど内容までは聞き取れない。


「彩夜ちゃん、どう?」


「お兄ちゃんが今聞いてるんだって」


「そっか」


待っとく時間は長い。とても長く長く感じる。


ダンッ!!


携帯が落ちたのか他の物が落ちたのかわからないけれど何か落ちた大きな音がした。


「お兄ちゃん。・・・お兄ちゃん、どうしたの?」


聞いても返事は返ってこない。代わりに・・・


『なんだよ! そんなの聞いてない!』


お兄ちゃんの大きな怒っている声が聞こえてきた。


『なんで今まで教えてくれなかったんだよ! 彩夜が本当の妹じゃないなんて!』


聞こえてしまった。きっとお兄ちゃんは家の誰かに言ったのだろうけれど・・・


「そっか・・・」


通話をプチっと切る。


「彩夜ちゃん・・・」


「あー・・・きっとおばあちゃん達も違うんだよ。いちかちゃん達だって・・・ただの他人だね」


「・・そっか」


誰とも私が似ていないはずだ。一人だけ変わった見た目なはずだ。


「私・・あの家にいたらただ邪魔だね」


「彩夜ちゃん・・」


だから生まれた頃の私の写真がないはずだ。


私なんて居なくなったって・・・・







「どう? もう平気?」


すでに続きの説明が始まっている。早く戻らないといけないけれど・・・なんだか戻りにくい。彩夜乃ちゃんにどんな風に会えばいいんだろう?


「うん」


「無理しないでね」


「このドラマに集中すれば家から離れられるし・・・」


別にこれからはわざわざいちかちゃん達と関わろうとしないでいよう。お兄ちゃんはお兄ちゃん次第でどう関わるか決めよう。お兄ちゃんのことだから急に冷たくなるなんてことはないと思うけれど・・・もしそうだったら・・・。


「行く場所なくなっちゃうなー。みーちゃん家は泊めてくれる?」


「いいよ。私は彩夜ちゃんと一緒にいられて嬉しい。・・・泣きたかったら泣いていいよ?」


「なんか泣く気になれない。ちょっと自分でもそれに驚いてるの」


段階があったからかもしれない。いつもはすぐに泣く私なのに。


「あれ? 彩夜も光月ちゃんも・・今休憩?」


声がして振り向くと不思議そうに結が私達を見ていた。


「! 結、もうどうもない?」


「うん。彩夜が治してくれたから大丈夫。・・・何かあった?」


「お兄ちゃんがお兄ちゃんじゃないんだって」


「そっか」


なぜか頭を撫でられる。


「結」


「別にお兄ちゃんが本当のお兄ちゃんじゃなくても彩夜にとってお兄ちゃんならそれでいいんじゃないの?」


私にとってのお兄ちゃんなのは実際がどうであっても変わらない。


「・・・そうだけど・・お兄ちゃんはどう思うかわからないよ」


「秋翔くんのことだからその心配はいらないと思うよ」


「そうだよ。あの彩夜ちゃん大好きな秋翔くんだもん」


「でも、私・・・」


みーちゃんと結を交互に見る。


「彩夜ちゃんがちょっと不安そうでほっとしたよ。ね、結理くん」


「うん。あんまり平気そうに言うから・・・彩夜、おれ達は変わらないんだし」


「ありがとう。えっと・・妹?の・・彩夜乃ちゃんと・・・仲良くなってみようかな? なれるかはわからないけど」


「あとで紹介してよ。話してみたい!」


「雰囲気は良さそうな人だった気がするし・・彩夜とにてる気がした。仲良くなれるといいね」


「うん!」







「さっきはごめんなさい!」


夕方に今日の予定が全て終わると彩夜乃ちゃんはすぐに私のところにやってきてすごい勢いで謝ってきた。


「いや・・頭を上げてください」


「でも・・私・・・迷惑かけたから・・」


「私もごめんなさい。何も知らなくて・・突き離して・・・もう本当のことがわかったから」


これからどうしたらいいんだろう?


「私・・一回ちゃんと椿さんの立場になって考えてみて・・」


姉妹に苗字で呼ばれるのは変な感じだ。


「お姉ちゃんの前に、私の友達になってください。・・お姉ちゃんなんて・・・椿さんが良いって言ってくれるまで絶対呼ばないから」


「はい」


「やったあぁー!」


そしてガバッと抱きつかれる。


「あ・・」


「彩夜乃、椿さんがびっくりしてるよ」


「ごめんなさい」


彩夜乃ちゃんは謝りつつ私から離れる。


「和泉さん・・・彩夜乃ちゃんって呼んでいいですか? よければ私のことも・・」


「彩夜芽ちゃん?でいいの?」


「うん」


なんか・・・


「よろしくね、彩夜芽ちゃん」


「うん。彩夜乃ちゃん、よろしくね」







読んでいただきありがとうございます。

今回の話で前からいくつか書いていた彩夜の生まれのことがはっきりわかったと思います。

彩夜乃ちゃんは彩夜とは似ているけれどちょっと違う性格です。これから出てくることが増えそうなのでまた賑やかになりそうです。

次はまた新しい人物が出てきます!

次話も読んでいただけると嬉しいです。

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