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彩る夜に結ぶ  作者: 浅葱 咲愛
一章 知らない世界
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五話 あやかし

 

 とっさに目の前の子をぎゅっと抱きしめた。

 

 この木に潰されてしまうだろうか。


 景色がゆっくり動いて見える。こういう時、時間がゆっくり動いて感じられるのは本当らしい。


 どうすれば助かるだろうか?


 そうだ。力を使ってみよう。出来るかわからないけれど


 幼い頃からよくあやかしと呼ばれるものに追いかけられていた。それで怪我した事も、食べられそうになった事も何度もある。力を知ったのは小学生になったばかりの頃だった。


 あやかしは逃げても逃げても追いかけてきた。いつもは優しいあやかしの所に逃げ込んで隠れさせてもらっていたけれどその日は途中で小さな私は石につまずいて転んでしまった。あやかしはすぐそばにいて怖くて目をつぶった。食べられると思った。けれどそんなことは起きなかった。恐る恐る目を開けると私の周りにはシャボン玉のような物があり私を包んでいた。あやかしはこの中に入って来られなかった。それから時々そのシャボン玉のような物が包んで守ってくれるようになった。


 小学3年生の頃、同じようにあやかしから逃げていてそのうちに逃げ場のない場所に追い詰められていた。あやかしはジリジリと寄ってきて刃物を振るおうと高く振り上げて・・・とっさに両手を前に出したら刃物は降って来なかった。かわりにあやかしが数m先に倒れていた。


 この時にシャボン玉のような物も、あやかしが倒れたのも自分の力だと分かった。分かったのは使うととても疲れることと、段々使おうと思えば時々だけど使えるようになっていったからだった。


 けれど使えるのは使おうとした時の半分も無い。だからそれからも何度もあやかしに追われ怖い思いをしてきた。



 この世界に困った時、助けに来てくれるヒーローはいない。そんな世界を変えてくれる神もきっといない。いるのなら聞きたい。


  どうしてこんな目ばかり会うの?   どうしてあやかしが見えてしまうの?

  どうしてこんな力が使えるの?    どうしてこんな見た目なの?


     私は普通の女の子になりたいだけなのに。


 けれどこんな事を言っていても仕方ない。言っているだけでは助からない。


自分でどうにかするしかない。だから助けなんか求めない。求めている暇があるなら行動する。私が頼れるのは力だけ。


 これはただの木だ。食べられる心配もない。あやかしに比べれば怖くない。


 「おねがい」


 少しでも倒れてくる木をずらせたらそれでいい。潰されなければ・・・


 手を前に出す。あとはイメージを・・・

 

 木は私たちに当たる寸前で横にずれ、地面に倒れた。


 「彩夜芽さん! 大丈夫ですか?」


 「友梨さん・・・はい。大丈夫です」


 本当は大丈夫ではない。ふらふらする。力を使ったからだろう。使った後はいつもこんな風になって


倒れてしまう。けれど今はこんな所で倒れられない。


 「行きましょう」


 「はい」


 この子と手を繋いで笑って見せた。そしたら少し笑顔を見せてくれた。よかった


 ふと、倒れた木を見るとなぜか火が消えていた。



 3人で山を歩いていく。結構きつい。気を抜けば倒れてしまいそうだ。


 「あの・・」


 手を繋いでいる小さな子が話しかけてきた。


 「ありがとう・・助けてくれて」


 「大丈夫だった?」


 「うん」


 「よかった、お母さんも見つけようか」


 するとその女の子はコクっとうなずいた。いるかわからないけれど見つけたい。

 


 しばらく山を登っていると・・・


 「もうすぐです」


 「友梨ー」


 桜さんが手を振っている


 「あ! お母さん」


 この子もパタパタと走って行って、そこにいた女性に抱きついていた。


 よかった。居たんだ。


 「娘をありがとうございました」


 もう大丈夫。


 そう思った途端、ふらっと倒れた


読んでいただきありがとうございます。

結理が活躍しませんでした。弱いわけではありません。きっとそのうち活躍してくれます。

書き方を変えてみたので早く書けるようになりました。用事で難しい事もありますが出来るかぎり早めに投稿できるようにしたいです。

次話も読んでいただけると嬉しいです。

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