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彩る夜に結ぶ  作者: 浅葱 咲愛
三章 青春
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一話 転校生1

 

 ピッピ・ピッピ・ピッピ・・・


 「もうちょっと・・・・ダメダメ、起きなきゃ」


 珍しく目覚ましが目覚ましの役割を果たして、眠い目をこすりながら布団の誘惑に負けそうになりながらどうにか起き上がる。


 そして着替えてからリビングに向かう。


 「おはよー」


 今日はちゃんと自分で起きて来たのにお兄ちゃんは何も言ってくれない。


 「お兄ちゃん!」


 「おはよう、自分で起きてきて偉いな。ちょっと忙しいから色々手伝ってくれないか?」


 なんかそんなこと思っていないような言い方だ。


 「・・・・昨日は遅くまで起きてたんだよ」


 結の準備を手伝っていたら寝るのが11時を過ぎていた。私はいつも10時代までには寝ているのに・・・


 「うん。わかってるから結理のところに行ってきて。俺は弁当作ってて手が離せないから」


 「んー!」


 なんか適当! もっと褒めてくれていいのに!


 「はいはい、今日も彩夜は可愛いね。今日は彩夜の好きなおかずにしたんだから」


 「やったー!」


 「はぁー、本当に可愛いね」


 なんでそんなに呆れたように言うんだろうか? 褒めてるんじゃないの?


 「結は部屋にいるの? 何を手伝えばいいの?」


 「えっと・・・時間割とかノートと筆箱の準備とか」


 「それまだなの?」


 「着替えさせるのに思った以上に手間取ったんだ。制服の着方を知らないらしくて・・・」


 お兄ちゃん、ちょっと違うよ。制服の着方がわからないんじゃなくて洋服の着方がわからないんだよ。


 「そっか、何時に学校に行けばいいんだっけ?」


 「・・・8時半」


 「うん。どうにか間に合いそう」


  お兄ちゃんの隣にある結の部屋に行き・・・・


 「おはよう!」


 結の部屋にはまだ荷物が入った段ボールがたくさん置いてある。一体どこからこの荷物は来たんだろうか?


 結の部屋はどこか結の家と雰囲気が似ている。


 「彩夜、なんか秋翔くんに着せられた・・・」


 「・・・」


 結はすでに制服に着替えていて・・・・とても似合っていた。


 似合うというか・・・・かっこいい。いつもと全然違う。


 「・・・似合うよ」


 「そうかな? ・・・彩夜は前と着てる服が違うね」


 「あれは冬服でこれ中間服なの。もう少し経ったら冬服と似た形の服になるよ」


 中間服はきちっとしたシャツにジャンパースカートだけど夏服はセーラー服だ。


 「へー」


 「えっと・・・準備って何が残ってるの?」


 「準備って何をすればいいの?」


 「!o!」


 まさか質問を質問で返されるとは思わなかった。


 「・・・とりあえず・・・時間割見てくるね」


 「?・・・・うん」


 「あ、何組?」


 私の通っている中学校の時間割は全クラスの時間割が載っているものが配られる。だからこんな時でも困らない! 結は二年生だけど時間割がわかる!


 「秋翔くんが『いちくみ』って言ってた」


 「・・・書いてあったよね? 数字だよ」


 「・・・年と組は読めるけど・・・これって数字だったの?」


 「数字・・・そっか・・・」


 数字も漢字で書けることを忘れていた。


 「えっと・・二年一組・・・国・理・体・数・社・英」


 「・・・なに? 呪文か何か?」


 「時間割」


 1日目なのにいきなり英語がある。大丈夫だろうか?


 一時間目の国語は集会で無くなって・・・だから・・・・


 棚から教科書を取って重ねる。


 「これでいいはずだよ」


 「こんなに?」


 「今日は少ない方だよ。あ、この体操服も持っていってね」


 「うん」


 「多分バックに入るから、これをこうして・・・ほら、ここの空間にはお弁当を入れるの」


 パズルのように上手く入れるとたくさん入る。


 「すごい」


 「ランドセルに詰める方が大変なんだよ。小さいし、形が変わらないから」


 「?・・・そうなんだ」








 「誰もいない時間っていいね」


 今日は転校生が普通の時間に登校すると目立つからと遅く登校している。私は連れて行かないと行けないからと一緒に遅く来ている。


 「ここだよ」


 「大きい」


 「あれが小学校、これが中学校、それが高校なの」


 ここは私立の学校だ。


 元々は公立の学校だったらしいがそれは昔この辺りに住む子供がとても減ったことがあってその時に近くのいくつかある小さな学校と合併したらしい。


 けれどそこは電車を使って、さらに歩かないと行けない場所だったらしくさすがに小学生は特に行かせにくいとか色々あって私立の学校を立てたらしい。


 だからこの地区の子供はほとんどここの学校に通っている。幼小中高一貫で色々考えたら公立に行くのと変わらないらしい。


 「お兄ちゃんはどこに行ってって言ってた?」


 私は結をどこに連れていったらいいのか聞いてない。


 「しょくいんしつだって」


 しょくいんしつ・・・・職員室?


 「わかった」


 正面玄関から入ってすぐが職員室だ。横には校長室もある。


 「この学校結構ボロボロでしょう」


 「そうかな?」


 「床が踏んだらギシギシ言うところがいっぱいあるんだもん」


 これは幼稚園から高校まで変わらない。


 「・・おはようございます、一年一組の椿です。入ってもいいですか?」


 「どうぞ」


 ドアになんて言ったらいいか書いてあるからわかりやすい。


 開ける前に一応結に確認する。


 「・・・開けるよ。いい?」


 「うん」


 「失礼します」


 中には何人も先生がいた。ほとんどの先生が揃っている気がする。職員会議でもしてたんだろうか?


 そして結を驚いた目で見ている。


 「おはようございます」


 「おはようございます」


 結は私を見ながら同じように挨拶をする。


 「あなたが色葉くん?」


 「はい」


 「あのね、話は聞いているんだけど念のために確認していい? その髪って・・」


 やっぱりこの質問が来た。


 「染めていません。髪も瞳も私と同じ生まれつきです」


 「ならいいの」


 でも疑っているように見える。大体そんなものだ。


 「連れてきてくれてありがとう。椿さんはもう教室に行って」


 結は行かないでって目で訴えているけれど・・・・


 「また後でね。昼休みに会いに行くから」


 「え・・・・」


 「何かあったら一年一組に来たら私はいるから。じゃあね」


 そのまま結を置いて教室に向かった。






 「おはよう! 彩夜ちゃん」


 いつもどうり教室は騒がしい。


 「おはようみーちゃん」


 「すごい噂になってるよ。転校生のこと」


 「結大丈夫かな? 職員室に置いて来ちゃった・・・」


 「あの容姿のこと言われた?」


 「うん。だからちゃんと生まれつきです!って言ってきたよ。信じたかどうかはわからないけど」


 「・・・まあ、どうにかなるでしょう」


 ちょっとため息をつく。


 「あのね、噂が面白いことになっててね」


 「どんな?」


 「ねえ、彩夜芽ちゃん」


 「! 何?」


 いきなりクラスの男子に話しかけられた。みんな小学校から一緒だからほとんど名前で呼び合っている。


 「転校生と知り合いなんだよね」


 「うん」


 「美人?」


 「そういう噂があるんだけど本当?」


 みーちゃんが横で笑っている。面白いことになってるってこれのこと?


 「うん。美人ではあると思う」


 綺麗な顔をしているし美人ではある気がする。けして美女ではないけれど。


 「そっか・・・」


 用事が済んだのか男子たちは去っていく。


 「みーちゃん、どうなってるの?」


 「結理って女の子でもいけるような名前でしょう。だからなぜか転校生は女の子ってことになってるの」


 「!」


 「宙が面白がってもっと噂を盛って広げたのも理由だけどね」


 それで男子が・・・・


 「ちょっと女子が雰囲気悪いでしょう」


 「あー」


 「宙が広げた噂がね、すごく美人で静かで料理ができるっていうやつなの」


 全部あってるな・・・


 「それだけ完璧な女子が来るってなって男子があんな感じでしょ。好きな人がいる子はヒヤヒヤしてるんだろうね」


 大丈夫! 結は女の子じゃないよ!







 いつも通りに集会が始まった。


 校長先生の話とか色々あって・・・


 「転校生の紹介です」


 みんなざわざわする。滅多に来ない転校生だ。しょうがないだろう。


 そんな中、扉が開いて結が体育館に入ってくる。すると・・・


 『ええぇぇぇーーー!』


 きっとほとんどの人が驚きの声を上げた。そこからさらに・・


 「あの噂、なんだったんだよ」


 「えっ! 髪染めてるの!」


 「男かよ!」


 「目が赤いよ!」


 「カラコン入れているの!」


 「ねえ、かっこよくない!」


 「ほんとだ!」


 「イケメン!」


 「彼女いるのかな?」


 驚きの声からだんだん女子の黄色い声に変わっていく。


 「静かに!」


 学校で一番怖い先生が言うとやっと静かになった。


 けれど結はみんながワーワー言ったことで怖がっているように見えるけれど大丈夫だろうか?


 「自己紹介をお願いします」


 「!」


 今度はマイクにびっくりしている。がんばれ!


 けれどマイクを持つと堂々とした顔になって、ちゃんと笑顔も作って・・・


 「色葉結理です。よろしくお願いします」


 声もどこか違う気がする。まるで別人のようだ。


 「えっと・・・・色葉くんは二年一組です。みんな仲良くするように」


 また女子が嬉しそうな声をあげる。きっと二年一組の女子なのだろう。


 「すごいね」


 隣に座っているみーちゃんとボソボソ話す。


 「なんかアイドルみたいだね」


 「そうなる日も近いかもよ」


 「・・・」


 なんか・・・


 「どうしたの? ヤキモチ?」


 みーちゃんがからかうように言ってくる。


 「そんなんじゃないよ」


 ただ、結との距離が遠くなりそうで少し寂しくなっただけだ。


 

 


 


 


 


 


 

 


 

読んでいただきありがとうございます。

少し短いですが続きを書くととても長くなってしまうのでここで切りました。続きは近いうちに投稿したいと思います。

結が転校生としてやってきました。学校生活はどうなるのでしょうか?

次話も読んでいただけると嬉しいです。


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