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彩る夜に結ぶ  作者: 浅葱 咲愛
二章 七年間
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十八話 お出かけ3


 



 「はあ・・・疲れた」


 「もうクタクタ・・・」


 あの後、なぜかみんなで鬼ごっこをして公園を走り回った。


 おやつの時間になったら街を回って美味しそうなお菓子を探して食べた。


 その後も雑貨屋を回ったりして楽しんだ。


 それでもう足が痛い。


 「電車・・・次は30分後だって」


 「結構あるね」


 「私、もうちょっと街を回ってくるね」


 「俺もついていく」


 「いいよ」


 「光月、ちゃんと時間までには戻ってきてよ。宙、ちゃんと見ててね」


 「わかってるよ」


 二人がどこかに行ってしまったしお兄ちゃんは葉月ちゃんと話している。することもない


 疲れたから結と駅のホームにあるベンチに座る。


 「結、これ読もう!」


 「あ・・・さっき言ってたやつ?」


 「そう、あ・・・これ7巻だからここまでのお話説明するね」


 「・・・本の話始めたら急に元気になった」


 「・・・そうかも」


 私は疲れているけれど結はまだ元気がありそうだ。


 「疲れてないの?」


 「疲れたよ。初めて見るものばっかりで・・・慣れないことばっかりしたから」


 「・・・ごめんね」


 やっぱり一緒に来ないほうがよかったのかな?


 「でも、楽しかった。・・・また来たい」


 「そうだね。・・・・結、無理してない?」


 「全然」


 「文化とか、色々違いすぎるから・・・言ってね。お兄ちゃん達に絡まれてもついていけないかもしれないし・・」


 ただ心配だ。私があっちで合わせるより大変だと思うから。


 「秋翔くんも宙もいい人だよ。・・・なんか大丈夫そう。やっていける気がする」


 「ねえ、・・・結はいつ帰るの?」


 「・・・決めれるの?」


 「うん。多分」


 わからないけれど、この前私が向こうに行った時の方法で結は帰れるはず。


 「それなら・・・桜と友梨が心配しないなら・・・一ヶ月くらいここで・・・どんなところなのか見てみたい」


 「・・・そっか」


 「・・・おれさ、いつか・・・決めないといけない日が絶対来るから・・・・ほら、彩夜とおれが考え方が違うみたいに・・こっちにいたら他の人とも話せてそれで・・・・決めれるかもしれないから」


 「うん」


 結はすでに未来を見ている。


 私はどうだろう? ずっと今のままがいいと思ってて・・・


 「ゆーいーりー」


 「「!」」


 お兄ちゃんが後ろから私たちの間に割り込んできた。


 「彩夜芽に近ずくなって言ったよな」


 「はい、そうですね」


 お兄ちゃんが結に詰め寄ると結は敬語になる。なんでだろう?


 「秋翔! 邪魔しないの!」


 「邪魔って・・・」


 「わからないの? 彩夜芽ちゃんもそういう年頃でしょう」


 「え? そういうってあーいう?」


 「そう」


 二人で勝手に話が進んでいく。


 「結、違うって言ってたのに・・・」


 「なんのこと?」


 「だから・・・」


 「あのね、本人達にいうことじゃないからね」


 「でも・・・絶対だめだからな!」


 「だからそんなことばかり言ってると嫌われるって言ってるでしょ」


 なんのこと?


 「えっと・・・何がダメなの?」


 「結理と恋愛するなんて・・・」


 あー・・・それでお兄ちゃんがこんなことになってるのか・・・


 「そんなんじゃないよ」


 「じゃあなんで・・・・距離がそんなに近いの?」


 「・・・なんとなく?」


 「彩夜とはそんな関係じゃないから」


 結が言ったことに私も頷く。


 「証拠は?」


 「えっと・・・」


 「秋翔、それくらいにしたら? 本人たちが違うって言ってるんだから」


 「葉月がそういうのだって言ったんだろ」


 「実際にそうだったとしても、・・・隠すでしょ」


 確かに・・・誰かと付き合ってもお兄ちゃんには言いたくない。


 




 

 「あと何分?」


 「3分くらいじゃない?」


 みーちゃんと宙が戻ってこない。もう電車がくるような時間なのに・・・


 「二人とも携帯持ってないしね」


 「私の持たせとけばよかった」


 お兄ちゃんと葉月ちゃんは持っているけれど私たちは持っていない。


 「探してくる?」


 「でももう電車くるよね」


 そんな話をしているとバタバタと二人が戻ってきた。


 「はあはあ、姉ちゃん電車まだ来てない?」


 「きつい、間に合った・・・」


 「何してたの? 時間までに戻ってきなさいって言ったでしょ!」


 「途中道を間違えて・・・」


 「ごめんなさい」


 「間に合ったからいいけどね。今度から気をつけて」


 話が終わった頃やっと電車がきた。







 「じゃあね」


 駅の少し先のところで帰り道が分かれる。


 「また明日」


 「えー、明日って月曜日?」


 「そうだよ」


 「学校か・・・・はあ」


 「ちゃんと学校来るんだよ」


 私は元から学校を休みがちだ。行きたくないから行かない。不登校というわけでもないけれどよく休む。


 「えー」


 「明日は楽しい授業あるってよ」


 「わかった」


 「朝から迎えに行こうか?」


 「行くから! そこまでしなくていいよ」


 「じゃあ、また明日」


 みーちゃん達と話すのは楽しいしまあいいか。


 「うん、また明日」


 みーちゃん達とはそこで別れてお兄ちゃんと結と三人で家に帰る。


 「彩夜、結理のためにも明日はちゃんと行けよ」


 「・・・なんで結のためにも?」


 「だって、結理は明日から転校してくることになってるんだから」


 「え?・・・・・・え!」


 なんでそんなことになってるの!


 「この辺りに他に学校ないんだから・・・気づいてなかったのか?」


 違う時代の人だよ! 学校に行くってありなの?


 一体誰がこんなことにしたの?


 「学校?」


 「・・・勉強するところ」


 「そこに行かないといけないの?」


 「そうみたい」


 結は大丈夫だろうか?


 みんながみんなお兄ちゃんみたいな人ではないし・・・・色々言ってくる人もいると思う。


 「私もそこに行ってるんだけどね」


 そもそも勉強についていけるのかな?


 国語はどうにかなるのかもしれないけど・・・・英語とか絶対無理な気がする。


 社会は? あの時代から見てこれから起こることを知ってしまっていいんだろうか?


 「結理は勉強得意なの?」


 「・・・それなりにできると思うけど・・・あ、でも・・・」


 「どうかしたか?」


 「いや、・・・今のところわからない」


 「わからなかったら教えるから」


 お兄ちゃんは学年一位の成績だ。私もたまに教えてもらっている。


 「結、あとで教科書っていうのを見てみて」


 「・・・あとで教えて、多分わからない」


 「・・・うん、そうだね。準備をまず手伝うよ」


 転校生がくるということは明日は集会があるはずだ。やだな・・・・


 「準備って何をしないといけないの?」


 「わからない。どこまで揃ってるんだろう?」


 制服とかその辺りは一式揃っているだろう。けれど文房具とかはどうだろう?


 「彩夜、頭抱えてどうした?」


 「あのね・・・急なことばっかりで頭がついていかないの」


 なんでこんなに急なことばっかりなの?


 せめて二日前には教えてくれればいいのに!


 「・・・今日は疲れたんだな。早めにゆっくり寝たらいいよ」


 お兄ちゃんはそう言ってくれるけどすることが多くて早く寝るなんて無理かもしれない。


 「そんなに大変なことなの?」


 「私的にはすごく大変」


 「うわぁー」


 「はあー」


 なんか帰ってきてから一気にため息が増えた気がする。






      • • •






 公園


 「・・・おーい、ごめんね。今しか来れなくて」


 「あと20分で戻らないといけないし」


 そう言って古い知人に話かける。


 「ちゃんと彩夜芽って呼んでくれた?」


 「ちゃんと指示どうりにした・・・」


 やっぱり夏牙は悲しそうだ。こうなることはわかっていた。


 「ありがとう、・・・ごめんね。元通りになるのはもう少し時間がかかる」


 「・・・友達と家族がいるんだな」


 「うん。友達っていうのは私たちだけどね」


 「君たち・・・あの人を・・裏切るなんてことはしないよね」


 ずっと静かにしていた成雨がそう言って厳しい目を向けた。


 「するわけないじゃん」


 「そうだ。・・俺たちにとっても二人は大切な存在だ」


 大切にもいろんな意味があるが友人としても大切な存在だ。


 「・・・今は少し距離をとって欲しい。もう思い出す前兆はあるから・・・それまでは」


 「わかってる。今日も明らかに戸惑ってたからね」


 「だけど・・・」


 「それがあの人のためだよ」

 

 「わかった」


 二人ともあの子のことをとても大事に思っている。だからあの子を困らせるようなことはしない。


 「一つ聞いていいかな?」


 「何?」


 「他のみんなはどこに?」


 「・・・まだ眠ってる。もうちょっと前に起きて今の生活に馴染んでる人もいる」


 「全ては君たちが?」


 「そう、・・・・私たちまだ十二歳だから自由に動けるようになったのは最近でね」


 「やっとここまでできた」


 この二人には本当の目的を気づかれてはいけない。


 気づかれたかどんな目に遭うか・・何をされるかわからない。


 「・・・この子たちは起こさないのか?」


 夏牙が手に持つ小さな透明な丸い石を見る。


 その中には小さな子供、まだ2歳になったかならないかくらいの双子が眠っている。


 「ずっとこのままなのもかわいそうだ」


 「もう少し寝かせてあげて」


 その石を優しく撫でると二人が動く。ほんの少し目を開ける。


 「ごめんね、もう少しだけ眠ってて」


 「・・・ーー・・」


 「どこにいるの?」


 半分夢の中なのだろう。夢の中でこの子達はあの子を探してる。


 「大丈夫、会わせてあげるから」


 そういうと安心したようにまた眠る。


 昔はこれくらいで二人が起きることなんてなかった。もうそろそろこの術が解けるのかもしれない。

 

 時間がない。早くしないと・・・・


 「これから俺たちはどうすればいい?」


 「んー、とりあえず私の住んでる町に来てよ。あの子もそばにいるよ」


 「そうする」


 「場所は用意してるから・・・移動は・・・」


 「姿を見えないようにして動けばいいか?」


 「うん。ちょっと面倒な時代だけど・・・町に着いたらまたその時説明する」


 どうにかしてお姉ちゃんの目は誤魔化そう。


 そうすればどうにか時間が取れるはずだ。


 「ねえ、あの方は?」


 「・・・あの子と一緒だよ」


 「ならよかった」


 「よくない」


 二人の反応は反対だ。


 成雨は安堵の表情を見せて夏牙はまた複雑な表情を見せる。


 「色葉 結理、それがあの方の名前」


 「どっちも何も知らないからね」


 これは何度も言っておかなければならない。


 でも行動が矛盾しているのもわかっている。


 きっと夏牙達と会わせてふれあった方が早く思い出す。けれどそれをしたら・・・・


 そう思うとなかなか行動できない。


 「・・・最後に一つ、彩夜芽ちゃんは人間だね」


 「みてわかるでしょう」


 これは成雨にとっても複雑なはずだ。


 「中はあの頃と・・・」

 

 「オドオドしてて、おとなしい。何も変わってない」


 「うん。そういうことだから・・」


 「もう電車の時間が・・」


 「え!」


 「早く行くぞ」


 「うん。また町で!」


 頑張って走ったらどうにか時間には間に合った。







 夜


 「ここが・・」


 「うん。ここが私たちの住んでる町」


 「いいところだ」


 「・・・・そこの家に住んで、すでに一人先に起きた人が住んでるから。他にも何人かいるんだけどここには住んでなくて・・」


 古い一軒家に案内する。


 「ここ?」


 「うん。・・・私たちはこれで。門限が近いから早く帰らないと」


 「あ、これ」


 「そうだった」


 何枚かの紙を渡す。


 「彩夜芽ちゃんと結理くん、そしてその周りの人の情報」


 「・・・いいの?」


 「自分で確認しにいかれるよりいいよ」


 ちゃんと受け取ってくれた。


 「おやすみ」


 「また今度くる」


 綺麗な星空を眺めながらそれぞれの家に帰った。



 

読んでいただきありがとうございます。

今回でお出かけのお話は終わりです。次回からは学校のお話が入ってくると思います。一体どうなるんでしょうか?

そして後半、夏牙達との出会いには裏があるようです。誰がなんのために色々なことをしているのでしょうか?

これから少しずつわかっていくと思います。

次話も読んでいただけると嬉しいです。

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