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彩る夜に結ぶ  作者: 浅葱 咲愛
二章 七年間
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十三話 こちらの世界2


 「ねぇ、どれ食べる?」


 結局はいつも全部食べるけれどこんな話をしている。


 クッキー、チョコ、ゼリーとスナック菓子。どれも美味しそう。


 「私はみかんゼリーかな」


 「私はやっぱりチョコだね」


 「まだあるからたくさん食べていいよ。賞味期限切れそうだから」


 「宙、そんなこと言ったらみーちゃんはお菓子食べ尽くすよ」


 「知ってる」


 「・・・結理くんは食べないの?」


 見た事のない食べ物ばかりかな? 向こうにはほとんどこういうものないしな・・・


 「・・・クッキーは?」


 「甘くて美味しいよ」


 この中だと一番食べやすいと思う。


 「ほら」


 一つとって渡した。


 すると結はパクッと口に入れて・・・・顔を歪ませた。


 「美味しくなかった?」


 「・・・甘すぎる」


 「あー・・・」


 あちらはほとんど甘いものがない。あるのかもしれないが・・・町にもなかったのを考えると高級品なんだろう。すると結が食べるようなのは果物くらい。それと比べるとクッキーはとても甘いのだろう。


 「お茶いる?」


 「ありがとう」


 クッキーは間違いだったかな。結構べったりした砂糖の甘さだ。


 「ゼリーはどうかな?」


 クッキーよりはマシだと思う。プルプル感が好きかどうかわからないけれど・・


 あのプルプル感、嫌いな人は嫌いらしいからな・・・・


 「みかんはわかるよね」


 「うん」


 「その味のだよ。一口食べてみて」


 私のものから新しいスプーンで一口分とって渡した。


 「どう?」


 「・・・・美味しい」


 このゼリーは酸味多めでとても美味しい。ついでにみかんの粒も入っている。


 「なら、これ食べたらいいよ。甘いのに飽きたらスナック菓子とかも食べてみて!」


 「うん」


 気に入ってくれたならよかった。


 「ねぇ、彩夜ちゃん」


 「何?」


 「明日は結理くんも一緒に行くよね」


 今度はなんの話? どこに行くの?


 「どこに?」


 結が聞いてくれた。ありがとう!


 「お出かけ。天気もいいし、みんなで公園と楽しいところに行くの」


 多分、近くの街まで電車で行くのだろう。この街に特に楽しいところなんてないから。


 みんなで電車でお出かけなんて初めてだ。楽しみ!


 「えっと・・・結が行くなら・・五人で?」


 「いや話したら、秋翔くんと葉月ちゃんも行きたいって言ったから・・・七人かな?」


 「宙もお兄ちゃん誘ってみたら?」


 「いや・・・兄ちゃんもう高3だし。ちょっと歳が離れてるから来ないと思う」


 みーちゃんと私は上と三歳差だけど宙は五歳離れている。


 だから宙のお兄ちゃんとはあんまり関わりがない。


 「葉月ちゃんも来るんだね」


 お兄ちゃんはシスコンだからついて来そうだな、とは思っていた。


 「それだれ?」


 そうだった・・・結はわからないよね。


 「葉月ちゃんはみーちゃんのお姉ちゃん」


 「秋翔くんは彩夜ちゃんのお兄ちゃん」


 「二人は同級生で幼馴染」


 「・・・わかった」


 「秋翔くんは彩夜ちゃんが心配でついてくるのかもしれないけど、姉ちゃんは秋翔くん目当てかな?」


 お兄ちゃんも葉月ちゃん目当てなところもあると思うけどな・・・お兄ちゃんが葉月ちゃんのことを好きかどうかはわからないけれど気になってはいると思う。


 「なら二人っきりにしてあげよう」


 「そうだね」


 「明日は楽しまないとね」


 「これからしばらく遊べないしな」


 「・・・部活?」


 二人とも部活をしてるし、他にも色々しているらしいから忙しい。


 「うん、もうすぐだからね。彩夜ちゃんもしばらく私たちと一緒に忙しいね」


 あ・・・あれ、やっぱり私も出ることになったんだ。


 「結理もでてよ。いい役用意するから」


 「?・・・・んー、いいけど」


 よくわかっていないけれど返事をしたって感じだ。


 でも一緒にできるのは嬉しい。


 「がんばろうね」


 「うん」


 「あ、明日何持っていくか決めなくていいの?」


 「そうだった」


 よくあることだ。みんなで話しているとすっかり話題が逸れていって本題を忘れてしまう。いつの間にかどうでもいい話になっている。


 「お弁当かな?」


 「ちょっと多めに作ってもらって。俺、秋翔くんの料理も食べたい」


 「私も!」


 二人ともお兄ちゃんが弁当を作る前提だ。


 「そんなのお兄ちゃんに言ってよ」


 「うん。そうする」


 「食べたい料理リクエストしようかな?」


 「ねえ、他に持っていくものは?」


 「適当で」


 「うん。適当に持ってくればいいよ」


 あとはいつもの感じってことかな?


 「何時に集まる?」


 「七時!」


 「起きれない!」


 「八時?」


 「もうちょっと!」


 「はぁ・・・・八時半」


 「・・・それなら・・・いや、九時!」


 「遅い!」


 みーちゃんと宙が言い合った結果集合は八時半になった。


 こんな二人のやりとりは見ていて飽きない。


 







 夕方


 「彩夜、帰ろう」


 後ろから聞き慣れた声がした。振り向けばそこにお兄ちゃんが立っていた。


 「お兄ちゃん!」


 「迎えに来た」


 私はもう中学生になったのにな・・・


 「一人で帰れるよ!」


 「買い物の帰りでちょうど通ったから迎えにきたんだ。すぐ膨れるからまだ一人で帰らせられないな」


 ふくれてるつもりはないのにな・・


 「ねえねえ、秋翔くん」


 「みーちゃん、どうした?」


 みーちゃんは昔、自分のことをみーちゃんと呼んでいた。それでお兄ちゃんもみーちゃんと呼んでいる。


 「明日のお弁当、私も食べたいから多めに作ってきて!」


 「葉月もそんなこと言ってたからそのつもりで準備してるよ」


 「俺も食べるからね!」


 「わかってるって」


 「秋翔くん、うちでたくさんとれた野菜持って帰って」


 「おー、ちょうどなかったからよかったよ。うちにもとれたてのたくさん取れた野菜あるから明日持ってくる」


 「ありがとう」


 宙のおじいちゃんは農家をやっている。だからよく野菜をたくさんくれる。この野菜が結構美味しい。


 うちは農家ではないけど畑はあるからそこで育った野菜をお裾分けしている。


 「ねぇ、今日から結理くんは彩夜ちゃん家に行くんでしょ」


 「あー、うん。荷物は届いてるし、あとは本人が来るだけ」


 そうなってるの! 何がどうしてそうなったことになってるの?


 もう何が何だかわからない。


 けど・・・そしたら一日中結と一緒にいられる?


 それはとても嬉しい。


 「今日、彩夜が連れて帰ってくるって言ってたよな。・・・どこに?」


 「え? あ、あそこにいるよ」


 もうちょっと待って! 頭が追いつかないよ!


 でも、とりあえずお兄ちゃんが来たから影に隠れてしまった結を連れてきて・・・・・


 「この人」


 「・・・・思ったより・・小さい。細い。ちゃんと食べてるか?」


 ・・・あんまり食べてないかもしれないですね。


 結は身長がそこまで低いわけじゃないけど痩せているから小さく見えるのだろう。


 それに兄ちゃんを怖がっているのか怯える小動物みたいになっているし。


 「・・・いくつだっけ?」


 「今年14になる」


 「・・・誕生日は?」


 「5月」


 5月! 知らなかった! もうすぎたかな?


 「俺と二歳くらい違うじゃん」


 「あー、そうだね」


 宙は三月生まれだ。だから結とは一歳十ヶ月違うのかな? 確かにほぼ二歳離れている。


 宙もそんなに背が高いわけじゃない。平均くらいだろう。


 やっぱり結は小さいのかな?


 「これから大きくなるよ」


 「私ももうちょっと大きくなりたいな」


 みーちゃんはもう身長が止まりかけている。


 私はまだ伸びているけれど。


 「みーちゃん、それだけあればもういらないでしょ」


 みーちゃんは160センチはあるはずだ。


 「165センチは欲しいの」


 葉月ちゃんもそれくらいあるからかな?


 「彩夜」


 結がまた私を「助けて」みたいな目で見てくる。


 「・・・お兄ちゃん私がいうのもなんだけど・・・結構優しいよ。私がこんな容姿だからお兄ちゃんは何も言わないよ」


 「・・・」


 「・・・この容姿のせいで何か言われたらいっつも助けてくれたの」


 だからお兄ちゃんは大丈夫。結にとってもきっと安心できる人になるはずだ。


 「じゃあね、また明日」


 「バイバイ」


 三人で並んで家までの道を歩いた。


 


 


 


 


 

読んでいただきありがとうございます。

今回は彩夜がとても困っていました。結が色々なことに戸惑うのはもう少しあとでしょうか?

現代の色々なものを見た時の反応が楽しみです。

次話も読んできただけると嬉しいです。

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