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彩る夜に結ぶ  作者: 浅葱 咲愛
二章 七年間
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十二話 こちらの世界1


 「・・・どうしよう」


 あたりを見回しても木しかない。ここがどこかわからない。現代なのはわかるけれど・・・


 「彩夜、とりあえずどうする?」


 意外にも結はいつも通りだ。私ばかり焦っている。


 「んー・・・服濡れてるし、こんなんで道に出たら絶対目立つ・・」


 私の容姿はまだしも結の容姿は珍しい。


 きっと外国にも普通にはいないだろう。


 そして・・何より結は服が着物だ。浴衣なんてものじゃない。


 「彩夜?」


 「・・・ちょっと待ってて、まずここがどこか見てくる」


 家にはお兄ちゃんがいるはずだから服を借りて持ってきたっていい。


 けれど・・・家がここからどっちに行けばあるのかわからない。


 「多分・・・ここ村の近くだよ」


 「わかるの?」


 「・・・なんとなく・・・山の形はそんなに変わらないだろうから」


 それで場所を判断してるのか・・


 「・・・・向こうに行けば村なはず」


 今は町だけどそこに行けばここがどこなのかはわかる。


 「ありがとう」


 結が言った方向に進むとだんだん車の音が聞こえてきた。


 何台も通る音がするからそれなりの信号があるような通りだろう。


 「ここは・・・」


 やっぱり大きな道に出た。家から意外とすぐそばかもしれない。


 多分ここは学校のある通りで・・


 「あれ? 彩夜ちゃん?」


 聴き慣れた声がしてそちらの方を見ると私服の幼馴染二人がいた。


 「・・・みーちゃん」


 「俺もいるんだけど」


 そんなの知っている。


 「宙、みーちゃん! いいところに! ちょっと来て!」


 「え? なに?」


 「どうしたの?」


 二人を結のところに引っ張っていく。


 二人が私服ということは今日は休日かな? もしくは学校が午前中で終わったか・・


 「なにごと?」


 私が今まで何をしていたことになっているのか確かめるためにも二人は必要だ。


 「どうしたの? 三人で遊んでたのに急にいなくなるし・・・」


 「そうなんだ・・・」


 私何日向こうにいたっけ? 一週間近くいたのかな?


 「彩夜、どうだった?」


 私が戻ってきたことに気づいて声をかけた結が二人に気づいてさっと木の影に隠れる。


 「この二人は私の幼馴染、そんなに警戒しなくて大丈夫だから」


 影からちらちら顔を出しては引っ込んだりを繰り返している。


 なんか・・・小動物みたいで可愛い。


 「その人が結理くん?」


 なんで知ってるの? いない間の私が話したの?


 「最近引っ越してきたっていう?」


 どうなってるの? わからない・・・


 でもこうなったら合わせるしかない。


 「うん、そうなの」


 結が私をつついてくる。そして『どうなってる?』『なんのこと?』みたいな目で私を見てくる。


 私だってわからない。


 「・・・彩夜、この二人・・・」


 やっと出てきた結がそう言った。


 「こっちが(ふじ) 光月(みつき)。私はみーちゃんって呼んでるの。こっちは白崎(しろさき) (そら)


 「・・・よろしくね」


 「・・・よろしく」


 結も知らない人は苦手かな?


 まあ、あんな山で隠れるような生活をしていればそうなるのも当然な気がする。


 「結理くん、苗字は?」


 そういえば・・・苗字知らないな・・


 あっちの人はみんな苗字は言わないからそういうものなのかと思っていた。


 「・・・色葉」


 そうなんだ。・・・・ん? なんか・・・聞いたことがあるようなないような・・・・


 「・・・彩夜は? 苗字知らない」


 「そうだっけ?」


 「うん」


 「私は椿 彩夜芽。すごい名前でしょう」


 「・・・花がふたつも」


 一体誰がこんな名前をつけたんだろうか? 気に入っているから別にいいけれど、ちょっと書くのがめんどくさい。


 「ねえ、なんで二人とも濡れてるの?」


 「・・・川に落とされたの」


 「奏さんは何がしたかったんだろう?」


 結がボソッとつぶやいた。


 水にに入る以外に行き来する方法はないんだろうか?


 毎回濡れるのはちょっと・・・・


 「どうする? 一回着替えた方がいいよね」


 「うん。でも・・・」


 結をどうしよう? いきなり家に連れて行ってもいいのかな? 兄ちゃんは結のこと知ってるの?


 「・・・うちに来る? 裏から入れるし、表の道を通らなくてもいいし、すぐそこだけど。結理のなら着替えもあるから貸すよ」


 「お願い。宙、ありがとう」


 「いいって。俺と結理そんなに身長変わらない?」


 「うん。多分」


 「ちょっと二人並んでみて」


 見比べてみても・・・


 「変わらないね」


 「なら俺の服でいいな」


 宙にはちょっと歳の離れた兄がいる。


 「どっちにいけば宙の家に着く?」


 「向こう、ついてきて」


 「彩夜ちゃん、その荷物持つよ」


 「ありがとう」


 バックに着替えを入れて持って行っていたからそれまで水に濡れていて重かった。


 「うわー、これもあとで絞ろうか」


 「中に濡れちゃいけないもの入れてなくてよかった・・・」


 「・・・手紙は?」


 「あっ!」


 奏さんからもらったものを入れておいたんだった! 忘れてた・・・


 「えっと・・・あれ?」


 ポケットにティッシュを入れたまま洗濯機に入れた時みたいに大変なことになっているかと思ったけれど・・・


 若干湿っているだけでどうもなってない。


 「よかった」


 「彩夜ちゃん、それ何?」


 「なんか・・・もらったの」


 詳しいことはみーちゃんでも説明できない。


 「へぇー」


 「ほら、早く行こう。もう暑いくらいの時期だけど彩夜ちゃんなら風邪引きそうだし」


 「大丈夫だって」


 「行くよ! 宙、この荷物持って」


 みーちゃんに引っ張られる。小さい頃から私たちの関係はこんな感じだ。


 お互いの呼び方でわかるだろうが、一番立場が弱いのは宙だ。みーちゃんがよく宙を使っている。


 宙的には別にそれでいいらしい。


 「あ、結。行こう?」


 なぜかついて来てない。その場から動こうともしない。


 「結、・・・あ・・・」


 桜さんの家にいくことになった時の私と同じ感じかな?


 やっぱり・・・どんなところか不安だし・・・結は他人の目を怖がっているのかもしれない。


 村に行く時も、町に行く時も髪をしっかり隠してる。


 あの時代はそれくらいしとかないと何をされるかわからないから。


 「結、ちょっと変わった目で見られるけど・・・危なくはないよ。ここら辺にはあんまりいないけど・・・髪を結の色みたいに染めてたり、目をそんな色にしてる人もいるんだから」


 天然の色ではないから結みたいに綺麗な色ではないけれど・・・


 「・・・わざと?」


 「そう。・・・どうしてかはわからないけど」


 「・・・」


 「行こう」


 手を引っ張るとちゃんとついてきてくれた。


 私も結から見たら桜さん家に行く時こんな感じだったのかな?


 そうだとしたら結はかなり苦労しただろう。


 私はもっとわがままだと思うから。


 「彩夜」


 「・・・あのね、私もなんでこうなってるかはわからない」


 みーちゃんたちが聞いていない今のうちに簡単にでも伝えよう。


 「・・・わからないから・・・とりあえず話を合わせて、そしたらどうなってるのかわかるはずだから」


 「わかった」


 「ありがとう」


 「・・・・」


 「・・・色々違うことがいっぱいで困ると思うから・・・そしたら言って。その時は無理かもしれないけど・・・まとめて説明する」


 「うん」


 町に出たら、あるのは結が見たことのないものばかりなはずだ。


 私がむこうに行って生活に困ったように結もきっと困るはず。


 「ここだよ、入って」


 「久しぶりに来たなー」


 「お邪魔します」


 「・・・」


 宙の家はとても広くて大きくて古い。小さい頃、雨の日でも家の中で鬼ごっこができた。


 「・・・ここって・・・桜の家?」


 「・・・そうかも」


 そういえば、宙の家は昔この辺りをまとめていた家だったとかそうじゃないとかいう話を聞いたことがある気がする。


 「・・・残ってるんだ」


 「・・・・」


 もちろん当時のままではない。ずっと壊れたら補強して、それを繰り返しているらしい。


 だから千年前のままなところが一部あるんだと宙のおじいちゃんが自慢していた。


 本当がどうかわからないけれど・・・


 「結理、こっち来て! 着替えるんだろう」


 「あ、ありがとう」


 このまま二人は仲良くなってほしい。結は友達が少なそうだから。


 「彩夜ちゃんはどうするの?」


 「・・・一回家に帰ろうかな?」


 うちはそんなに遠くない。


 ここから歩いて5分もかからないところにある。


 「結、ちょっと帰ってくるから」


 「え・・・」


 行かないでっていう目で見てくる。そんな目で見られても・・・・濡れたまま居るわけにはいかない。


 「・・・すぐ帰ってくるから! 結が着替え終わる前に帰ってくるから・・・ね」


 「うん」


 こっちに来てから結がすごくおとなしい。ちょっと心配になるくらい。


 「・・・行ってくるね」


 「行ってらっしゃい」


 急いで家に戻った。


 幸い家に誰もいなくて濡れてることについて聞かれて足止めされることもなかった。


 もし兄ちゃんに見つかったらどうしたんだと答えるまで離してくれないだろう。


 


 


 



 彩夜は着替えてくるからと家に帰ってしまった。早く帰って来てほしい。


 やっと、桜の家に行くように言った時に彩夜がすごく嫌そうな顔をした理由がわかった。


 二人とも彩夜が信用しているから悪い人ではないんだろう。


 おれを見ても何の反応もなかった。驚きも恐怖も・・・・不自然なほどに。


 「結理、これ着て」


 宙に彩夜が来た時に来ているような服を渡された。


 「・・・どうやって着る?」


 服を広げてみても全くわからない。


 「・・・とりあえずその服脱いで」


 「・・・わかった」


 幼い頃はいつも着替えさせてもらえるような暮らしだったから人前で着替えるのはその人が知らない人でもそこまで抵抗がない。


 「手あげて」


 「こう?」


 服を上から被せられる。


 「・・・次、これ着て。俺が着てるみたいに」


 見様見真似でやってみる。意外と着るのは簡単だった。


 「あとは?」


 「これだけだけど?」


 普段着ているものと比べたらとても軽い。


 そして出ている部分が多い。腕とか・・なんでこんなに袖が短いんだ?


 「・・・似合ってるよ」


 「・・・ありがとう」


 同年代の人とほとんど話したことがない。今まで十人もいないだろう。話したことのある同年代だって家族のような関係の人だけだ。


 どんなふうに話せばいいのかわからない。


 「ただいまー」


 「よかったな、彩夜ちゃん帰ってきたよ」


 彩夜は二人の前でとても自然な表情をしている。


 俺には見せてくれたことのない表情もたくさんする。


 なぜか複雑な気持ちになるが・・・・彩夜が楽しそうだからそのことは考えないでおこう。


 「結・・・似合うね」


 「・・・そうか?」


 彩夜も光月のような服を着ていた。


 腕も足も出ていてふわふわした服を着ている。


 「・・・」


 なんか・・・見てはいけない格好な気がするけれど・・・こっちではこれが普通なのか?


 「結、どうしたの?」


 「いや・・・」

 

 向こうだったら絶対に年頃の女の子が・・・いや、もっと幼くたって絶対にしてはいけない格好だ。


 真っ直ぐ彩夜の姿を見れない・・・


 「なんか赤いよ。どうしたの?」


 心配しているのかこっちに近づいてくる。


 「・・・宙!」


 「何?」


 さっきの着替えた部屋に宙を連れていく。


 「・・・あーいう格好は当たり前なのか?」


 「あれはマシな方だと思うけど」


 「もっと上が!」


 「真夏はすごいよ。プールとか特に」


 あれが当たり前ならそういうものだと思ってみなくては・・・


 「ねえ、どうしたの?」


 「なんでもない」


 「ねえ、お菓子食べよう」


 ここからさらに知らないものが出てくるなんてこの時は考えていなかった。


 


 


 

 


 


 


 


 


 


 


 

読んでいただきありがとうございます

結理が現代にやって来てまずは彩夜の幼馴染二人と出逢います。

彩夜も結理も少し大変そうです。

次話は結理とあの人が出会います。一体どうなるんでしょうか?

次話も読んでいただけると嬉しいです。

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