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彩る夜に結ぶ  作者: 浅葱 咲愛
一章 知らない世界
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二十五話 日常


 「おはよう。彩夜ちゃん」


 「みーちゃんおはよう。宙は?」


 「さあ? 寝坊したんじゃない?」


 いつものように学校に行って友達と話す。


 「ねえ、昨日の宿題ってここまでだったよね?」


 「あれ? 次のところまでじゃないっけ?」


 「えー、どうしよう」


 「五時間目だし昼休みに終わらせたら?」


 何でもない毎日。ただそれを繰り返す。


 「おはよう、二人とも早くない?」


 「宙ギリギリじゃん。寝坊したんじゃないの?」


 「違うって。ただ・・・時計を見たら思ったより遅くて・・・彩夜ちゃんは俺の味方だよな」


 「えー、何で?」


 「ねえねえ、幼馴染三人でいつも一緒で何もないってどうなの?」


 ただいつもの日常に戻っただけ。


 「よくない?」


 「三角関係とかってこと?」


 「それもあるけどさ・・・誰も他の友達と遊ぶとか言わないじゃん」


 「・・・俺はあるって」


 あれはやはり夢だったんだろうか?


 「・・・しょうがないよ。・・友達少ないんだから」 


 「彩夜ちゃん、それを言ったらだめだよ」


 「みーちゃんだって遠回しにそんなこと言ってるよ」


 「俺は二人ほど友達少なくないから」


 「私だってみんなとよく話すよ。ただ・・・遊んだりはしないだけで・・」


 また近いうちにって言ったのに・・・・気づけば5月になっていた。


 「私から見れば二人とも友達多いように見えるよ。・・・私と違って・・・」


 「彩夜ちゃん、そんなこと言わないで!」


 私さえ望めばって奏さんは言っていたのに・・・


 「・・・彩夜ちゃんどうかした?」


 「ううん。何でもないよ」


 「みーちゃんはなんか変だと思わない?」


 「もしかして・・・好きな人でもできた?」


 「違うよー。そうだったら兄ちゃんにバレてる」


 私はまた行きたいと思っているのに。


 「秋翔くん過保護だもんね」

 

 「付き合っても認めなさそう」


 「でもさ・・・秋翔くんもモテてそう」


 「俺もあんな人がお兄ちゃんだったらよかったのに」


 「うちのお姉ちゃん多分秋翔くんが好きだよ」


 何で?


 「葉月(はづき)ちゃんにはもうちょっと大雑把な人がいいんじゃない? 秋翔くんみたいな人・・彼氏だったらめんどくさいって」


 「そうかな? お姉ちゃんめんどくさがり屋だからちょうどいいと思うよ」


 「お兄ちゃんの作る料理美味しいよ」


 「彩夜ちゃんさ、お兄ちゃん好きだよね?」


 「違うよ。・・まあ嫌いではないけど・・・ずっと面倒見てくれてたから・・・それだけだって」


 どこかでもう一度向こうに行くのは怖いとも思っている。


 いない間私がここでどうなっているのか分からないから。


 「堂々と好きって言えばいいのに。私だってお姉ちゃん好きだよ」


 「姉妹と兄妹は違うって」


 でも・・・・二度と会えないのは嫌だ。


 「もしもタイムスリップできるならどこに行きたい?」


 「・・・珍しいね。彩夜ちゃんそんな話あんまりしないのに」


 「俺だったら・・・戦国時代とか」


 「戦国時代は怖そう」


 戦国時代は鎌倉時代とあんまり変わらないのかな?


 「そうかな? 意外と平和かもよ? 伝わってる歴史と全然違ったりして」


 「そうだったら面白いよね。私だったら平安時代に行きたい」


 「何で?」


 「いやー、いろいろしたい事があって。それになんか楽しそう」


 「・・・そっか・・・」


 帰ったら向こうに行けるかどうか試してみよう。


 「彩夜ちゃん、部活の人手が足りなくてさ」


 「うん」


 「だから手伝ってよ」


 「私にできる事ならいいよ」





      ・      ・       ・




 「桜、持ってきた」


 「結理、ありがとう。そこに置いといて」


 「うん。・・・そろそろ梅雨来そう?」


 「まだじゃない? もう来たら困るしね」


 今日もいい天気だ。


 彩夜のいる世界もこんなにいい天気だろうか?


 奏さんは彩夜さえ望めばまた来れると言っていた。彩夜は・・・


 来ることを望まなかったんだろうか?


 「結理、そろそろ都から役人の人が来るって。山から降りてこない方が良いかも」


 「わかった。そうする」


 「その人たちが帰ったら教えに行くから」


 「・・・着物の縫い方教えて」


 「・・・何で? 縫えるでしょう」


 すごく怪しまれる。


 「違う。女物の着物は縫い方知らないから」


 「・・・誰? 友梨? あの子は結理にはあげないからね」


 「友梨はいらない。そもそも恋愛対象じゃない」


 「え? やっぱり好きな人でもできたの?」


 何ですぐそういうことになるんだろうか?


 「違う。好きな人でもないし、・・・彩夜芽のを縫っとこうかと思っただけ」


 「故郷に帰ったんじゃなかったの?」


 「そうだけど・・・また来るって言ってたから」


 「・・・そう。でも・・会えてもあと一回・二回くらいじゃないの? あんなにかわいらしい子すぐに結婚しそうだし」


 彩夜もそういう歳なのか? なら・・


 「桜の方が良い歳じゃなかったっけ?」


 「あのね・・・言い方が悪い! 大人になったって言いなさい」


 もうすぐ成人の15歳の桜はそろそろ婚約者がいても良い年頃だ。


 「桜はそういう話ないの?」


 「・・・ないこともないけど・・・良い人がいないの!」


 「桜なら旦那さんをうまく敷きそう。・・・誰でもいけるんじゃない?」


 「うるさい。・・・友梨もいるし・・簡単には決められないの」


 そういえば・・・あんとかりんにもそんな話があるんだろうか? 


 どちらが・・・・


 「結理も早く良い人見つけなさい。ちょっと年齢的には早いけど・・・話だけなら良いでしょうし」


 「この見た目でいいって言う人いないって。おれはこのまま大人になるつもりだから」


 何もかもこのままで・・・・


 「成人したらうちで面倒みてあげないからね!」


 「・・・それは困る」


 桜は本人が知らないだけで意外と人気なのに・・・なぜか縁談がなかなか決まらなかった。





        ・        ・        ・




 「ただいま、お兄ちゃん」


 「おかえり、早かったな」


 兄ちゃんはいつものように料理をしている。


 「・・・うん。私も手伝うよ」


 最近は練習のためによく手伝っている。


 「いいよ。彩夜は宿題とか・・明日の準備とかして」


 「料理できるようになりたいの!」


 少しくらい役に立てるようになりたい。


 「・・・わかった。後で宿題とかもちゃんとするならいいよ」


 「ありがとう」


 「ならその辺の野菜切って」


 「はーい。・・・どれくらいに?」


 「食べやすいくらいに」


 何で料理ってこんなに適当なんだろう?


 食べやすいくらいとかひとつまみとか適量とか全然わからない。


 「・・・もう少し早くできない?」


 「・・・兄ちゃんが今までさせてくれなかったんだよ。そんなに早く切れないから」


 「・・・でも・・・器用だな。その調子ですぐできるようになるよ。一ヶ月前よりはかなり速くなったし」


 「うん。あ、美味しそう。味見させて?」


 「はい、彩夜はかわいいな」


 これはお兄ちゃんの口癖だ。この歳にもなるとちょっと嫌になる。


 「美味しい。・・・お兄ちゃん、好きな人っている?」


 みーちゃんから聞いたあの話が可能性があるかどうか確かめたい。


 「え・・・・い、いないけど・・」


 これは怪しい。妹にはわかる。


 「・・・誰だかは聞かないから・・・私も知ってる人だよね?」


 葉月ちゃんであって欲しい。


 「教えない」


 「へー、そうなんだ〜」


 「・・・彩夜は?」


 「いないよ。・・・でもさ、もし私が彼氏連れてきたらお兄ちゃんどうする?」


 「・・・・彩夜は渡さない」


 「やっぱり」


 私があっちに行ったことをお兄ちゃんが知って・・・また行きたいと言ったら怒るだろう。


 「どうした?」


 「でも・・・・」


 「?」


 どうせ私がここにいなくてもいることになっているならそれでいいか・・・


 「ちょっと・・・裏山に行ってくるね」


 「早く・・・暗くなる前には帰ってこいよ」


 「うん」


 私ではない人が帰ってくるかもしれないけれど・・・


 部屋に行って簡単に荷物をまとめる。この前無くて困ったものを入れていく。


 「行ってきます」


 山の中は千年経ってもあまり変わらない。


 もちろん結の家は残っていないけれど・・・・


 「・・・近いのに・・・・すごく遠いな・・・」


 山を歩くのも悪くない。景色がキラキラして見える。


 麓から上がっていくものとても遠い。


 途中の吊り橋も怖かったけれどあれよりは新しくなっていて少しはマシだった。


 「確か・・・この辺に・・・」


 洞窟は今も残っている。ならあの魔法陣のようなものもあるはずだ。


 「・・・・あれ?」


 洞窟はあったけれど・・・中は小さな池のようになっていた。


 事件のあの時もここにいたはずなのに・・・・


 「もしかして・・・・」


 あの時・・・私はあちらの方にいたってこと? だから神隠しとか・・・


 「・・・なら・・・早くそっちに行かせてよ。奏さん」


 池はとても浅かった。深くても膝のあたりまでしかない。だから奥まで入っていく。


 「・・・ここだ」


 薄くあとが残っている。


 「奏さん、・・・連れて行ってください」


 薄い跡を指でなぞると・・・


 水に包まれるような感覚になり、闇に包まれた。





         ・          ・           ・




 「彩夜!」


 妹は聞こえていないのかどんどん山の奥に入っていく。


 何か様子が変だったからこっそりついてきたのに・・・


 「帰ろう。彩夜」


 慣れない山道は思ったように動けなくて追いつけない。


 高いところや暗いところが怖いはずなのに楽しそうに進んでいく。

 

 「この辺に・・・」


 彩夜が何か言っている。


 そして洞窟のようなところに入って行ってしまう。


 「彩夜!」


 あんなところ危ない。速く連れ戻さなければ!


 急いで洞窟のところまでいく。


 「あ・・彩夜芽?」


 思ったよりも深くない洞窟だったそこには・・・


 誰もいなかった。確かに彩夜はここに入って行ったのに・・・


 「彩夜! どこだ? 隠れてるのか?」


 「・・・お兄ちゃん? どうしたの?」


 振り返れば彩夜はそこに立っていた。


 「・・・彩夜か?」


 「何言ってるの? わからないの?」


 「・・・いや・・・よかった。いなくなったかと思ったから・・・」


 「私自分で帰ってこれるって、もうそんなに子供じゃないんだよ」


 「・・・こんな山奥は行ったらダメだ。危ないから」


 「・・大丈夫だよ。お兄ちゃんが事件のあったところに近づけたくないのもわかるけど・・・」


 確かに彩夜芽だ。


 「・・うん・・帰ろうか」


 「うん」


 


 




読んでいただきありがとうございます。

今回は彩夜芽・結理・秋翔からの視点の帰ってきたあとの話を書いてみました。

本物の彩夜はそこにはいないのにいることになっている。どういうことになっているのでしょうか?

次話から次章を始めます。

次話も読んでいただけると嬉しいです。

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