二十一話 雨の日 4
「ひっさしぶり!」
「キャァぁぁーーー」
「怖がらないでよ」
「来ないで!」
「・・・・よく見て。そんなに怖い人じゃないから」
「え・・・・」
確かにお面がとても怖いだけで他は普通だ。
「・・・・なんで後ろからくるの?」
「いつもそうだから」
「普通その円の中からじゃないの?」
「・・・・そういうものか?」
そっか。現代の常識?は伝わらないか。
「私も話に入れてよー」
「あ・・・今日は聞きたいことがあって・・・」
「結理は大きくなったね。もうすぐ私より大きくなっちゃう?」
「・・・・いつもこんななんだ」
「はぁ、相変わらず彩夜ちゃんかわいい!」
「・・・・結」
どうしたらいいかわからない。
「彩夜が困ってるから」
「結理も相変わらずだね」
何なのこの人? 一人でどんどん話を進めていく。
「なにが?」
「でも可愛くなくなっちゃって・・・・・お姉さん悲しい」
「うるさい!」
「あの・・・私のこと・・・・知ってるんですか?」
「もちろん! ずーっと昔から彩夜ちゃんのことも結理のことも知ってるよ」
「・・・・そうですか」
この人は一体なんなのだろう?
「それで? なんの用なの? 私も忙しいんだから!」
「時々ふらっと出てきて喋っていくくせに! こっちだってすることは山のようにあるんだからな!」
結がこんな風な言葉を使うのはめずらしいな。
こっちが素なのかな?
「そうだ!・・・色々質問していいかな?」
「なんだよ」
「まず・・・・好きな色は?」
「・・・・青。透き通った海みたいな深い青」
「うん。わかる。綺麗だよね。彩夜ちゃんは?」
「・・・・えっと・・・・なんか・・・淡い・・ピンク・・・じゃなくて・・・桃色?」
小さい頃からずっと変わらず好きな色。
「うんうん。あれね。そっかー。・・・次は・・・好きな場所は?」
「そこの空いてるとこ」
「なんで?」
「・・・・いい景色が見えるから」
「?・・・・・あー。そうなんだー。よかったね。彩夜ちゃん」
「?」
なにが『よかったね』なんだろうか?
「いや。彩夜ちゃんは?」
「この前行った・・・なんか大きな木があって周りが花畑だったとこ」
「・・・綺麗だよね」
「これなんの質問なんだ? 早く話を聞いて欲しいんだけど」
「次で終わりだから」
「・・・なに?」
「二人とも・・・・今幸せ?」
「うん・・・それだけ?」
「彩夜ちゃんはどうかな?」
「幸せ・・・だけど?」
どういう質問なんだろう? 好きな色、好きな場所、今幸せか? 共通点がなくて何をしたいのかよくわからない。
「ならよかった」
「答えたから話聞いてくれる?」
「いいよ。まあ・・大体話は分かってるけど」
なんでわかるんだろう?
「彩夜はどうしたら帰れる?」
「それはね・・・・ちょっと教えられない」
「!」
「どうして?」
「色々・・・大人の事情かな?」
「帰れるのか?」
「帰れるよ・・・・・そうだ。私のお願い聞いてくれたら帰してあげる」
なんで帰る方法を知ってるの? 私が帰るのは未来だよ。
「安心して。帰っても彩夜ちゃんさえ望めばまた来れるよ」
「そうなんですか?」
「うん。二人ともホッとした?」
「・・・・それで? お願いを聞いたら帰れるようになるんだろう。なにを聞けばいい?」
「・・・・どうしようかなー。・・・そうだ! とりあえず私についてきてくれる?」
「・・分かった」
「よかったー。こっちだよ」
「あ、はい」
さらに奥に進んでいくお面の人についていく。
だんだん道もなくなって、高い木と草だらけの薄暗い不気味なところになっていく。
どこまでいくのだろう? そうだ。聞いてみようか。
「・・・・あの・・・・あなたは・・・人間・・・ではないですよね」
「さすが彩夜ちゃん。わかるんだ。・・・・・そうだよ。私は人じゃない」
「なになんですか?」
私には人ではないことしかわからない。
「それは・・・ひ・み・つ!」
「そうですか・・・・なら・・・呼び方とか・・ありますか?」
とてもお面の人とは呼べない。
「特別に私の名前教えてあげる」
「いいんですか?」
「うん。私は奏。名前で呼んでね」
「はい。奏さん」
よく分からないけれど、なんか・・・安心できる空気をもつ人だ。
「ねえ、二人とも見えるあやかしと見えないあやかしの違いわかる?」
「・・・両方見えるから・・・」
「わかりません」
「・・・教えてあげよう! 違いは強さなの」
「「?」」
「弱いと見えない。けど、子供には見えたりもするの」
「なんで?」
見えないのに見える? どういうこと?
「つまり・・・見つからないようにしようとしてもできないっていうか・・・・」
「なんで子供には見えるんですか?」
「子供はよーく見てるからかな? ・・・見えないって言っても本当はそこにいるの。見ていないだけ」
「?」
「今通ってきた道に虫はどれくらいいた?」
「・・・・わからない」
「そういうことだよ」
なんとなく分かったかもしれない。
「次、見えるやつね」
「はい」
「見えるくらいになると少し強いの。人は負けるくらいかな? 考え的には存在感のある人って感じ」
「あー・・・」
「けど、さっきと同じで自分で見えないようにはできないの」
ということは・・・・・自分で見えないようにできる人もいるってこと?
「そう。さすが彩夜ちゃん。優秀だね」
なんでわかるんだろう?
「それは私がすごいから!」
心でも読んでいるんだろうか? 奏さんならありそう。
「なにを一人で言ってるんだ?」
「最後、自分で見えないようにできるやつね」
奏さんは完璧に結を無視した。
「その人達は・・・そのままなら誰にでも見えるの。けど・・・同じあやかしにも見えないようにすることだってできるし、人間のように化けることだってできる」
「すごい・・」
「だからこそ気をつけないといけないの。それだけできるってことはすごく強いんだ」
「どれくらい?」
「んー・・・・色々いるけど・・私の知り合いで一番強いのは・・・琵琶湖作れちゃうくらいかな?」
! 琵琶湖って・・・地形変えれるくらいってこと?
「びわこ? なにそれ?」
結は知らないんだ。そっか・・・遠いから仕方ないのかな?
「湖だよ」
「みずうみ?」
「そっか・・・この辺にはないもんね。・・・大きすぎる池のこと」
「あー・・・え!」
「そんなに驚かなくても」
いや、驚くなと言う方が無理だと思う。
「いや、だって・・・」
「うん。もうそれはいいから。・・・・・とにかく気をつけてね」
「はーい」
今まであったことのあるあやかしは弱い方ってこと?
あれより怖いのがいるなんて・・・・
「ついたよ。ここ」
「ここは?」
「それでは、お願いを発表します!」
また聞いてない。
「二人でこの前、村を襲ったあやかしと和解してください!」
読んでいただきありがとうございます。
やっと見える見えないの仕組みを説明できました。この説明で分かったでしょうか?
最後、『襲ったあやかしと和解を』というお願いが出てきましたがどうするのでしょうか?
奏さんは何者なのでしょうか?
次話も読んでいただけると嬉しいです。




