二十話 雨の日 3
「・・・・行こうか」
「うん」
朝から結の思い出したことに関係ある場所に向かうことになった。
「どこにあるの?」
「山の中」
気のせいかもしれないけれど結の口数が少ない。空気が重い。
その空気の中、気のせいかいつもより暗くて静かな山を登っていく。
「彩夜、元気ないのか?」
「そんなことないよ。まだ少し眠いだけ」
「ならいいけど。病み上がりなんだから無理はするなよ」
「うん」
あれくらいの熱は一日もあれば治るのに・・・・結は心配性なんだろうか?
「・・・これ食べれるかな?」
山の中はたくさん色々な植物が生えている。どうせなら今のうちに食材を集めたい。
「それは苦い。苦いの食べれるのか?」
「食べれない」
「寄り道してないで早く行こう」
「行きながら食材集めた方が効率良くない?」
「重い物持って山を登る方が効率が悪い」
そう言われればそうだ。
「帰りに取って帰るから問題ない」
「また見つけるの?」
「どこにあったかくらい覚えてる」
「・・・記憶力いいね。すごいな・・・なんでもできて」
私は記憶力がない。それでいつも勉強で苦労している。
「なんでもは出来ない」
「怖いものってある?」
「それくらいある」
なんだろう? 気になる。
「ねえ」
「彩夜が言ったら言う」
いつもだけどどうしてここまで言いたいことがわかるの?
「流れでわかるから」
「・・・・大きい音が苦手」
花火とか綺麗だとは思うけれど音が怖い。
「おれは・・・火が苦手」
「なんで?」
手から炎を出したりするのに?
「大きい音が苦手なのはどうしてって聞かれて答えられるか?」
「答えられない」
そんなのはただ怖いからだ。
「・・・・」
「でも・・・結は火をボワーって出せるじゃん」
「昔は囲炉裏の火もだめだった」
「そうなんだ」
聞いたらいけないことだったかな? ・・・・・良く分からない。
「彩夜、高いところ平気?」
「嫌い」
「・・・なら頑張って」
結はちょっと意地悪そうな笑みを浮かべていた。
「?」
「そこを渡らないといけないんだ」
これは・・・・・・吊り橋?
ぼろぼろで植物と一体化している。今にも落ちそう。壊れそう。
「え・・・・行かないとだめ?」
「ここで一人で待っとくのとどっちがいい?」
「・・・・んー」
「ここ、もちろん蛇とか動物も出るけど・・・・どうする?」
難しい。あれを2回渡るのと一人で待つの・・・・
「いく」
「なら早く渡ってしまおう」
結はスタスタ行ってしまう。これが怖くないの?
「待って。置いていかないで」
「・・・・早くこないと揺らす」
でも橋に乗るのが怖い。けれど揺らされるよりはマシだ。
「揺れてるよ」
「だから早く渡ってしまった方が怖くないって」
「無理」
なんか今日の結は冷たい。
「ほら」
手を掴まれ引っ張られた。
「真っ直ぐ前を見て歩け」
「うん」
「下は見ないように」
「もう見ちゃったよ!」
下は深い谷になっている。落ちたらひとたまりもないだろう。
「そんなに距離はないから」
「やだ、無理、帰る」
「後ろに蛇と猪が・・・もうすぐ吊り橋壊れそう」
「ぎゃあぁぁぁぁーーー!」
急いで向こう岸まで走った。
「はあ、はあ」
色々びっくりして疲れた。
「渡れたじゃん」
さっきまでいた向こうを見た。
「あ・・・・あれうそだったの!」
「本当にいたらもっと急ぐって」
「・・・・ひどい」
すごく怖かったのに。
「そうか。もうすぐそこだから」
「すぐ?」
「見えてるよ・・・あの洞窟みたいなの」
「あれって・・・・」
夢で何度も出てきた場所に似ている。
「洞窟って言っても大した深さはないんだけど」
「そうなんだ・・・」
なんか入ってはいけないような場所に見える。
「こっち」
「いっていいの?」
「うん」
結は中に入って行くから私もその後をついていく。
「どこだったっけ・・・この辺に・・・・あった」
結が地面の落ち葉を払うと地面に描かれた模様が出てきた。
「なにこれ?」
「さあ?」
どことなくアニメにででくるような魔法陣みたい。
「確か・・・これに触って・・・・・」
「うん」
二人で触れると・・・・
「なんか光ってるよ!」
「そういうものだから」
そういうものってどういうこと?
「なんか引っ張られる感じする!」
「いつものことだから」
これは本当に現実なんだろうか?
そういえばなんで結はここまで冷静なんだろう。こんなにありえない現象が起こっているのに・・・
「出てきて。聞きたいことがある」
「・・・・誰に言ってるの?」
「これに」
「・・・大丈夫?」
結はおかしくなったんだろうか?
「なんかお面の人にこうやって呼ぶように言われたんだ」
「・・・・幻覚?」
真面目な結がこんなことを言うなんて・・・
「・・・・そんなことはないはずだ」
「いや、・・・なら熱でもあるんじゃない?」
「だから本当だって!」
本当ならここはなんなのだろう。
「彩夜が疑うから早く出てきて!」
「・・・・出て来ないよ」
やっぱり結がおかしくなった!
「おかしいなー」
「ほら」
何も出てこない。
「・・・・・いや・・・・そんなはずは・・・」
「ごめんね! 遅くなっちゃった!」
どこから声が?
「?」
「こっち」
なにやら後ろから声が・・・・
「ねえ」
「・・・・・わぁぁ!」
振り返れば後ろに鬼のお面をした女性が立っていた。
読んでいただきありがとうございます。
後ろに現れたお面の人は何者なのでしょうか?
次話も読んでいただけると嬉しいです。
名前案募集しています。




