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彩る夜に結ぶ  作者: 浅葱 咲愛
一章 知らない世界
20/111

十九話 雨の日 2


 「・・・・」


 パチパチと枝の燃える音がする。良い匂いがする。


 さっきより部屋が暗い。もしかしたら思ったより長く眠っていたのかもしれない。


 起き上がると濡れた布が降ってきた。額に乗せられていたらしい。


 「彩夜、どう? 具合は」


 「あ・・・・多分大丈夫」


 結の手が私の額に触れる。


 「うん。熱下がってる。よかったー」


 「これ、乗っけてくれたんだ。ありがとう」


 「うん」


 周りを見ると布が広がっていた。昨日買ったものだ。


 「もう縫ってるの?」


 「うん。まだこれだけしか出来てないけど・・・」


 私には十分速いように見えるのにな・・・


 「彩夜、・・・悪い夢でも見た?」


 「・・・・悪くはないよ」


 だけど・・・・・寂しかった。未来への希望と不安、寂しさが混ざってぐちゃぐちゃだった。あの人に笑って見せるのが・・・・・本当は泣きたかった。


 あれは夢なの? あれは本当にあったこと?


 一人は私だった。もう一人は誰なのだろう。


 顔は見えなかった。名前もわからない。どうしたら・・・・・・



      あの人に会えるの?



 「彩夜? どうした?」


 「・・・・なんでもない」


 また隠してしまった。話してしまえばいいのに。


 「・・・結、お腹すいた」


 こうやってまた話をそらす。無かったことにしようとする。


 「作っといたよ。今日なにも食べてないから結構お腹すいたんじゃない?」


 「うん」


 そして夜にあーすればよかった、こうすればよかったと思うことになる。


 「いい匂い。美味しそう」


 「ほら、水。水分はとらないと」


 「ありがとう」


 わかっているのに一歩踏み出せない・・・・・・



    それが嫌いだ



 「結・・・・」


 「ん?」


 「あとで着物の作り方教えてくれる?」


 「もちろん。でも・・・桜に聞いた方がいいかも。おれはあんまり上手じゃないから」


 「そうなんだ・・・・」


 そういえばどうして最近あんな夢ばかり見るのだろう。


 「・・・・・彩夜、・・・・明日から帰る方法を探そう」


 「え・・・・うん。ありがとう」


 「・・・・・一つ思い出したことがあって・・・・確かかはわからないけど・・・」


 「そうなんだ」


 「・・・・どうかした?」


 「・・・・・すぐに帰る方法見つかったら・・・・これ・・・着れないなって思っただけ」


 せっかくたくさん山菜を売って買ったのに・・・できる前に帰るのかな?


 「・・・・・・いつでもまた来ればいいじゃん。おれはここにいるし・・・」


 「そう・・・だね・・・うん」


 どうしてこんなに嬉しくないのだろう。


     帰れるかもしれないのに・・・・・




読んでいただきありがとうございます。

今回は区切りの都合で短くなってしまいました。

ここから物語は動いていきます。

次話も読んでいただけると嬉しいです。

次話は少し遅くなるかもしれません。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 文章力高いですね。 [気になる点] なんでAだけそんなにポイント入るんだよぅ、ずるい、ずるい、ずるいぃ~(嫉妬)。wwwww [一言] 彩夜芽ちゃん・・・、可愛いっ!!
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