十九話 雨の日 2
「・・・・」
パチパチと枝の燃える音がする。良い匂いがする。
さっきより部屋が暗い。もしかしたら思ったより長く眠っていたのかもしれない。
起き上がると濡れた布が降ってきた。額に乗せられていたらしい。
「彩夜、どう? 具合は」
「あ・・・・多分大丈夫」
結の手が私の額に触れる。
「うん。熱下がってる。よかったー」
「これ、乗っけてくれたんだ。ありがとう」
「うん」
周りを見ると布が広がっていた。昨日買ったものだ。
「もう縫ってるの?」
「うん。まだこれだけしか出来てないけど・・・」
私には十分速いように見えるのにな・・・
「彩夜、・・・悪い夢でも見た?」
「・・・・悪くはないよ」
だけど・・・・・寂しかった。未来への希望と不安、寂しさが混ざってぐちゃぐちゃだった。あの人に笑って見せるのが・・・・・本当は泣きたかった。
あれは夢なの? あれは本当にあったこと?
一人は私だった。もう一人は誰なのだろう。
顔は見えなかった。名前もわからない。どうしたら・・・・・・
あの人に会えるの?
「彩夜? どうした?」
「・・・・なんでもない」
また隠してしまった。話してしまえばいいのに。
「・・・結、お腹すいた」
こうやってまた話をそらす。無かったことにしようとする。
「作っといたよ。今日なにも食べてないから結構お腹すいたんじゃない?」
「うん」
そして夜にあーすればよかった、こうすればよかったと思うことになる。
「いい匂い。美味しそう」
「ほら、水。水分はとらないと」
「ありがとう」
わかっているのに一歩踏み出せない・・・・・・
それが嫌いだ
「結・・・・」
「ん?」
「あとで着物の作り方教えてくれる?」
「もちろん。でも・・・桜に聞いた方がいいかも。おれはあんまり上手じゃないから」
「そうなんだ・・・・」
そういえばどうして最近あんな夢ばかり見るのだろう。
「・・・・・彩夜、・・・・明日から帰る方法を探そう」
「え・・・・うん。ありがとう」
「・・・・・一つ思い出したことがあって・・・・確かかはわからないけど・・・」
「そうなんだ」
「・・・・どうかした?」
「・・・・・すぐに帰る方法見つかったら・・・・これ・・・着れないなって思っただけ」
せっかくたくさん山菜を売って買ったのに・・・できる前に帰るのかな?
「・・・・・・いつでもまた来ればいいじゃん。おれはここにいるし・・・」
「そう・・・だね・・・うん」
どうしてこんなに嬉しくないのだろう。
帰れるかもしれないのに・・・・・
読んでいただきありがとうございます。
今回は区切りの都合で短くなってしまいました。
ここから物語は動いていきます。
次話も読んでいただけると嬉しいです。
次話は少し遅くなるかもしれません。




