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彩る夜に結ぶ  作者: 浅葱 咲愛
一章 知らない世界
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十七話 町6


 「うわぁー・・・ベシャベシャ」


 「着替えないと」


 雨の中、帰ってはきたけれどもちろんすごく濡れてしまった。


 数日前にもこんなふうにベシャベシャになったような・・・


 「桜のとこに荷物を届けてくるからこの間に着替えていて」


 「はーい」


 結が出ていったのを確認するとさっと体操服に着替えた。


 することもなく囲炉裏の周りを2回ほど回ってふと脱いだ着物を見た。


 どうしようか? この狭い家の中には干すことができないし・・よく見れば着物の周りの床が濡れて

いる。持ち上げるとポタポタと水が滴った。

 

 床に置きっぱなしにしたのはまずかったかもしれない。

 

 着物を持って外に出てぎゅっと絞った。すごい。こんなに水が。コップ一杯分くらい絞れた気がする。


 あとは雑巾で床を拭き証拠隠滅して・・・することがなくなった。

 

 寒い。まだ囲炉裏に火がついていない。自分でつけることはできないし・・結、早く帰って来ないかな?

 

 お風呂があったらいいのに、どっかに温泉でもないかな?


 せめてあったかいココアが飲みたい。あ! レモン蜂蜜でもいいかも。

 

 ココアはないだろうけれど蜂蜜はどこかにあるかな? レモンは漢字で書けるからありそうだし無くても柚子や橙で代わりになる。

 

 あとは・・・そういえばこっちに来てから甘いものをひとつも食べていない。もしかしてないの? 

 

 「はぁー」

 

 色々と違いすぎる。

 

 「彩夜」

 

 結が帰ってきたらしい。なぜか入ってこないから戸を開ける。

 

 「おかえり」

 

 「あ・・・うん・・・・ただいま」

 

 結はすごく嬉しそうな顔になった。

 

 「結、どうしたの?」

 

 「おかえりって言われたの久しぶりだから」

 

 そっか。一人だと言ってくれる人いないんだ。


 「結、早く着替えたら?」


 「うん」


 私ここにいない方がいいよね。


 「えっと・・・水汲んでくるね」


 「濡れるだろ。おれが行ってくるよ」


 「大丈夫」


 学校のカバンの中から折り畳み傘を取り出した。


 「何それ?」


 「傘だよ」


 いつもカバンの中に入れていたのに存在をすっかり忘れていた。雨の中帰っている時に持ってくれば

よかったと何度も思った。


 「鍋に入れて来ればいい?」


 「うん」


 鍋に手を伸ばすとその影からガサガサと音が・・・まさか・・・・また?


 チラッと見えたのは細いしっぽ。


 「彩夜どうした?」


 「これ・・・・」


 「あー、外に出してくるよ」


 結が掴んで手に乗っけたのは細長い体にまんまるの目、四本足の・・・


 「やもちゃん! かわいい」


 「?」


 この子はまだ小さくて余計かわいい。


 「かわいいの? ヤモリが?」


 「かわいいよ!」


 「ヘビは怖がるのに?」


 「うん」


 「意味がわからない」


 全然違うのに。流石に触れないけど家にいても平気だ。


 昔は少し苦手だったけれどよく網戸に張り付いていたから見慣れてやもちゃんと呼ぶようになった。


 「一緒じゃない?」


 「違うよ。ほらヘビとはサイズと顔が違うでしょ」


 「さいず?」


 「あっ・・・大きさってこと」


 「へぇー」


 「だから家の中にいたままにしていいよ。じゃあ水汲んでくるね」




 彩夜は蛇は苦手なのにヤモリは良いらしい。おれには違いがよくわからない。


 色々考えてみてもやっぱりわからないから諦めて濡れた服を着替えることにした。


 夕食を何にしようか。彩夜が喜んでくれそうなのは何か考えながら。


読んでいただきありがとうございます。

ちょっとおまけの話なので短くなりました。

今日は大晦日です。始めて半年経ちます。今年もありがとうございました。

来年もよろしくお願いします。

次話も読んでいただけると嬉しいです

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― 新着の感想 ―
[良い点] やもちゃんとても可愛いですよね。 私も田舎育ちなのでよくわかります。 [気になる点] おれって漢字じゃないんですか? 最後の結の心情のところ 俺→おれ 奈月 […
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