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血塗れ少女は死にたがり  作者: うつむき
8/14

再試験


もう一度ギルドへ


ーーー翌日


日が昇り、陽光が秋天を照らし始めた朝


まだ、人の出入りが鈍い頃


少女3人が傭兵ギルドに訪れた



        *


ーーすこし前


看板娘が酒場の下準備を手伝っていたときだった。

開店前に少女ふたりが看板娘を尋ねてきた。


メアリーたちは朝早くに、これからギルドに出直す旨を伝えた。

それにあたり、他所から来て信用がなく、加えて昨日さわぎを起こしてしまい立つ瀬がない。

顔の知れている看板娘の助けを借りたい、と申し出た。



女将がその申し出を聞いていた。


「やっぱり絡まれたんだね、かわいそうに!

 フロー! あんた、付いてってギルドの連中にバシッと言ってやんな!

 ああ、こんな女の子を困らせるなんてねえ!

 またなんか困ったことがあったら言うんだよ、あたしらが何とかしてやるから」


ということを豪快にまくし立て、フローレンスはまた追い出された。





「ごめんなさい、フローさん。またご迷惑をお掛けして」


「いえいえ! わたしも、もともと付いていこうかなって思ってたんですよ。

 また絡まれちゃいそうで心配だったんです!」



    *



ということで、少女たちは3人で傭兵ギルドを訪れた。


まだひとも少ない、昨日と同じ、一番端の受付に近づいた。


「ようこそ・・・、 あ、昨日の」



「はい。昨日ご迷惑をかけた者です。」

「その、昨日は悪かった。 いろいろと」


メアリーは腕を組み、すこし俯いている。


「メアリーさんは悪い方ではないんです。 わたしが保証します!」




意外にも、ギルドの青年は嫌な顔をしなかった。


「いえいえ、こちらも失礼なことを言ってしまったので」


メアリーは安堵し、眉がすこしほどけた。



「そ、そうか。 

 あたしは、ただ傭兵登録したいだけなんだ。迷惑をかけるきはないから」


「それはよかった。

 昨日、失礼なことを言ってしまったので、やめてしまうかと思ったんです。

 僕の独断で決めていいことではなかったのに。本当にごめんなさい」



「べつに、もう気にしてないから、大丈夫だ」

 


青年は人の良さそうな笑みを浮かべる。  


「あ! それで昨日、こちらの証明書を預かったままでした」



青年はメアリーたちの傭兵証明書を取り出した。


「あの後ギルド長に相談したところですね。 

 おふたりの傭兵としての腕が認められるなら、傭兵登録を受理する、と」



「腕を認められる、というのはどういったことでしょう」


「はい、それなんですが―――」




そこで青年の後ろから影が下りた。




「単純だ。 もう一度、試験を受ければいい」


顔に傷のある壮年の男が出てきた。




「あんたは?」



「俺はこのギルドの代表者をしている。

 そんで、お嬢さんたちの今後を決めるもんだ」




「所長さん! メアリーさんは目つきは怖いけど、悪い人ではないんです。信用してください!」



「ん、おお。フローレンスか。

 俺は別に信用していないわけではないぞ」



ギルドの所長さん、と呼ばれる男はメアリーたちをじろじろと見る。

看板娘はメアリーたちを守ろうとひとり奮闘していた。



「フロー、おまえも知っているだろう?

 傭兵ってのは戦えなきゃならない。半端な奴を戦場に出しても、死体が増えるだけ。

 上の奴らは誰だろうと気にしないんだ、ここで止めてやれるなら止める。

 それに、こんな若い子らを安易に送る訳にいかない」




所長はメアリーたちの傭兵証明書を見る。



「メアリーとリリー、傭兵で片方は神官。

 まあ、腕は戦ってみればわかる。

 俺が受け持ってやる。自信があるなら訓練場へ行くが・・・どうする?」



「所長さんと戦うんですか!」


フローレンスだけが驚いていた。


「フローさん、大丈夫ですよ」

「ああ、心配するな」





「挑戦するか?」


「ああ、頼む」


メアリーは爛々と眼を輝かせた。



フローレンスは孤軍奮闘


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