いつものこと
ギルド到着
メアリー達は既に傭兵ギルドの前に着いていた。
ギルドの前には、獅子の紋章の描かれた大ぶりな看板が吊るされ、鎧を着込んだ傭兵達が屯していた。
少女たちはギルドに入り、一番端の受付に近づく。
受付には年若い青年が書き物をしていた。
青年が少女に気づくと、
愛想の良い笑みを浮かべた。
「傭兵ギルドにようこそ!
依頼発注のご予定ですか?」
「違う、依頼受注のご予定だ」
青年は少女の冷たい返答に面食らう。
「え、依頼受注ですか。
えっと、ギルドの依頼を受けるには、ギルドにお名前を登録されている必要がありますが・・・」
「はい、大丈夫ですよ。
二人とも以前にトロニの街で登録しましたので」
金糸のような髪の少女が、微笑を浮かべて、応えた。
メアリーは無言で二枚の羊皮紙を置く。
「あ、ありがとうございます」
青年は書面を確認していくが、
だんだんと顔が曇っていく。
「あの、本当におふたりとも傭兵なんですか?」
「ええ、書類に間違いはないでしょう?」
「は、はあ、しかし、まだ子どもですし、
それにこんな女の子が傭兵とは」
メアリーは露骨に面倒臭そうな顔をする。
「傭兵に年齢も性別もないだろう」
「そ、そうですが」
煮え切らない態度にメアリーは苛立ち、
青年に詰め寄り、騒ぎが大きくなる。
ただでさえ、目立つふたりだ。
ギルド内でも注目を集めていた。
「おう!なに騒いでんだ」
そこに、大男が人を割って近づいていく。
「って、さっきの嬢ちゃんたちかよ。
なに喧嘩してんだ?困らせてやるなよ」
「あたしは何も無理を言っていない。
こいつが書類を通さないから悪い」
「書類ってなんのだよ。
ああ、傭兵登録か?そりゃあ無理だろう。
そんな小さいなりじゃ戦えない」
「前に別の街で登録したんだ!
それをそのまま通せばいいだろ」
メアリーが無理を言ってる訳ではない。
筋は通っているが、信用されていないかった。
傭兵登録には試験があり、それなりに戦えなければならないが、少女たちが通過してるとは思えなかった。
ギルドの青年も、少女を傭兵に送り出すことを
善意で止めているだけだった。
メアリーはすでに肩を怒らしていた。
怒鳴り散らす少女とそれをなだめる大人達という
構図ができ、完全に分が悪かった。
しばらくすると、
そこに別の少女達が割って入り、なんとか場は収まった。
はやく戦いたい