看板娘の苦労
看板娘のお話
少女2人は酒場を出て行った。
看板娘は彼女たちを店先まで見送っていた。
ーーほんとに大丈夫かなあ?
自分と同じくらいの歳の子が、
傭兵を生業としてることが未だ信じられなかった。
看板娘は店に戻り、仕事に戻る。
いつものように忙しく店中を跳ね回っていると、
女将から急に呼び立てられた。
「フロー!あんたなんだい、
あの子らに付いてったんじゃないのかい?」
「あの子らって、メアリーさんたちのこと?」
「メアリーさんかは知らないけど、
あの器量の良い2人組の女の子たちだよ」
「あのふたりなら多分
傭兵ギルドに行ったと思うよ。なんで?」
「なんでって、あの子らだけじゃ、
どこ行ったって危ないだろうに。
傭兵ギルドなんて
まともに取り合ってもらえるかどうか」
女将が心配だ心配だと矢継ぎ早に言うので、
看板娘ももう焦り始めた。
「ええ、どうしよう」
「どうしようじゃないよ!
とっとと追いかけてきな!」
そう言って、看板娘を店先まで追い立てた。
追い出されるように出された看板娘は
前掛けも付けたまま、先のふたりを追いかけ始めた。
「もう!お母さんてば、
いっつも強引なんだから!!」
看板娘はフローレンスです。
大抵はフローと呼ばれます。