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血塗れ少女は死にたがり  作者: うつむき
2/14

2 傭兵少女

絡まれる


「おう嬢ちゃん、いまの話、本当かよ」


リリーたちの座る卓に大男が近づいてきた。

片手にエールを持って、にやにやとして少女たちに話しかける。


「そっちの栗毛の嬢ちゃんが傭兵だって聞こえたんだが、聞き違いだよなあ」


「栗毛じゃない、赤毛だ。」


看板娘はメアリーが初めてしゃべったことに驚いたが、とりあえず場を仲裁しようとする。


「ガドさん、こっちは女の子なんですよ。失礼なこと言わないでくださいね」


「おう、フロー。俺はなんも失礼なこた言ってねえさ。

 そっちの小さいのが傭兵だって聞こえたから、確認してんだろお」


このガドと呼ばれる大男はタチが悪くて有名だった、酒場に来ては騒ぎを起こしていく。

看板娘フローは、少女ふたりが被害に遭わないようなんとか遠ざけようとしたが、なかなかにしつこいのだった。


「おう、聞いてんのか。」


「ああ、あたしは傭兵だよ、なんか文句あるか」


メアリーは料理から目を離さずに答える。大男に心底興味がないようだった。



「ガハハハッ聞いたか、傭兵だとさ! 剣より細い腕でなにができる?神官だってわけじゃないだろう」


「そこまでだよ、ガド。女の子に絡むんじゃない、とっとと仕事に行きな!」


女将が間に入って、ガドは笑いながら離れていった。




「ごめんなさい。ガドさんお酒飲むと誰にでも絡んでくの」


「いえいえ、ああいうことは何度も遭ったので慣れっこですよ。

 メアリーは絡まれやすく、売り言葉に買い言葉なので喧嘩になることも多くて」


このあいだもメアリーは黙々と食事をしている。

今は湯気をふいてるふかし芋に苦戦して、涙目になっていた。


「メアリーさん、また絡まれちゃうので、あまり傭兵だとか言わない方が良いですよ」


「余計なお世話だ、傭兵が傭兵と名乗って何が悪い」


メアリーは看板娘をじろりと睨んでいたが、涙目なので格好がつかない。


「でもこの街なら、ほかにも仕事はあるし、傭兵は危ないですよ」


「あたしはここに戦うためにきたんだ」



「フローさん、まあメアリーなら大丈夫ですよ。

 ところで、お尋ねしたいのですが、この街で傭兵を募集しているところを知りませんか」


「ああ、それなら傭兵ギルドに行けばいいですよ。

 中央通りにあるので、ここからまっすぐ行って、城から降りていけばわかりますよ。

 あなたも戦うんですか?」


「ふふ、私も戦いますが、後衛ですね。ほとんど基地にこもっていますが。」


「ほんとに気をつけてくださいね。戦争に行って明日帰らなくなるなんてよくあるんですから」


いつのまにか卓に溢れていた料理は平らげてあった。

大盛りの料理はほとんどがメアリーがひとりで食べてしまった。


「またくる。」


卓に飯代をおいて、少女ふたりは店を出ていった。












神官だけが魔法を使える世界

神官は貴重なので前線にはほとんどいません。

信じる者は救われる

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