20-4 魔神の封印
専属で魔神復活を阻止しろ、とか言われちまったわけだが。
「こっちに専属ってのは、どういうことになんですかね?」
とりあえず、支部長の腹を確認しよう。
何考えてんのかわかんねぇし。いや、ギルドの支部長やってるくらいだから、色々考えてんだろうけど、わけわからずに振り回されんのはなぁ。
「門を通った奴のチェックなんて、冒険者のやるこっちゃないし、魔神の封印されてるとこ探すったって、近くに行きゃわかるって話なら、今頃誰も近付かなくなってるでしょう」
「門の方はギルドで調べるとして、当面君達に頼みたいのは、魔法陣の仕組みの解析と、魔神が封印されていそうな場所の調査ということになるな。
何もわからない状況ですまないが、進んでいなかった魔法陣の研究に一石を投じた君達の洞察力は、今、貴重な戦力となる。
ジークの装備の魔法陣らしきものについては、今、写しを取り寄せているところだ。
魔素や魔力の流れを見たり操ったりできる君の力は、稀有なものだ。
力を貸してほしい。
魔神の封印場所については、こちらで推測した場所に妙な魔力の流れができていないかの調査が主となるだろう。
もちろん、君達の方で当たりを付けて調べてもらっても構わない。
とにかく、フリードが行方を眩ませた以上、いつ、どんな動きがあるかもしれん。
君達が他の仕事で街を離れるのは困るのでな、指名依頼という形で街に縛り付けておこうというわけだ」
それなら、まぁ、悪い話じゃねぇかな。
レイルを見ると、何か考えてるようだ。俺が勝手に受けるわけにゃいかねぇからなぁ。
「セシリアは、連れて歩いてもいいの?」
なんか妙なことを言い出したぞ。セシリアは連絡係って言ってたんだから、ギルドにいんだろうよ。
「それは、連れて行きたいところがある、という解釈でいいのかな?」
「まだわかんないけど。
必要なら、連れてっていい?」
「必要なら構わん。
君達なら、彼女を無意味に危険に晒すこともないだろうからな」
「僕の相棒のやる気に関わる大きな問題だからね」
「俺!?」
いきなり何言ってんだ、こいつ。
「とりあえず、セシリアを神殿に連れてきたいんだけど、外出させていい?」
「ほう、神殿か」
「フォルスが守りたいものがしっかりしてた方が、そっちもいいよね」
「そういうことなら、許可しよう。
今後も、逐一こちらの許可を取ってくれ。
必要性を考えて対応しよう」
おいおい、なに勝手に話進めてんだよ。
「おい、レイル…」「せっかく君がその気になったんだ、さっさと手続すませとこうよ」
「今日のところは話はこれで終わりだ、すぐ行ってくるといい。
手続が終わったら、セシリアはこっちに戻してくれよ」
なんで俺の結婚が、レイルと支部長に仕切られてんだよ。
面白くない。面白くないが、頬を染めて隣を歩くセシリアは、嬉しそうだ。
まぁ、しゃあねぇか。
神殿で届けにサインして、俺とセシリアは夫婦になった。
魔神の封印された場所を探すため、駆けずり回るフォルスとレイル。北の森の魔素溜まりの様子を確認しに行った2人は、魔素溜まりの様子が変わっているのに気付く。
次回「ごつひょろ」21話「五角形の魔法陣」
目の前を走った、この魔力はなんだ!?




