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6-4 謎の円板

 逆恨みのバカ共を返り討ちにして、本来の目的である妙な板を見てみる。

 輪切りにした魔法士の血がかかっちまったな。ちょっと読みづらいが、何が書いてあるんだ?

 板は、円くて黒く、人が肩幅に足を開いて載るのにちょうどいい大きさだ。

 まさか、人が載ると浮くとかいうわけでもないだろうが。

 白っぽい線で何かが書いてあるが、文字じゃなさそうだ。図形か? とりあえず書き写しておこう。


 「レイル、読めるか?」


 「バッカじゃないの? なんで僕がこんなイタズラ書きを読めると思うわけ? こういうのは魔法士の領分でしょ」


 魔法士だって、こんな妙な絵描きゃしないんだがなぁ。こんなので魔法が使えるわけでも…ん?


 「おい、レイル、見ろ! この板、血を吸ってる!」


 「ん? あ、ホントだ。どういう仕掛け?」


 黒い円板に、魔法士の血が吸い込まれてく。

 馬鹿馬鹿しい話だが、そうとしか見えないんだ。


 ちょっと待て! 今、転がってる魔法士の頭が動かなかったか?


 「レイル、今、この頭…」

 「引っ張られてるね。どういうこと?」


 「なんか嫌な予感がするな。

  まさか、頭まで円板に飲み込まれるわけじゃないと思うが…。念のため、焼いておくか」


 範囲を極小に絞って炎の玉を魔法士の頭にぶつける。

 どうなってやがる!? 炎の玉は、頭に当たったと思ったら、頭から、流れた血の上を滑るようにして円板に吸い込まれていった。


 「おいレイル、見たな?」


 レイルは、黙って、倒した剣士が持っていた剣を拾い、魔法士の頭に向かってぶん投げた。

 そして、投げた剣は、あっさり頭に跳ね返される。まるで岩かなんかに投げたみたいに、ギン、と音を立てて。

 まるで、円板が吸い込むために保護してるかのようだ。


 魔法士の死体をよく見ると、肩の辺りまで、右腕、左の肩から肘まで、肘から先、胸、腹、腰と太股の上半分、太股から下の左右の足、と9つに分かれてる。そのうち、円板に血が触れてないのは、2本の足と左手の肘から先くらいか。


 「レイル、今と同じように、どっちかの足を引き離してみてくれ」


 「…ふぅん」


 俺の考えを悟ってくれたらしいレイルは、もう1人の剣士の剣を拾ってきて、右足に投げつけた。今度は素直に吹っ飛んでいった。

 どうやら、血でもなんでも、円板に触れたところから吸収されてるみたいだ。

 俺は、さっきと同じように、小さく絞った炎の玉を左足に飛ばしてみた。やはり、問題なく燃えた。次に、レイルが吹っ飛ばした右足と、左手の先も燃やした。


 「レイル、剣士2人の手帳だけ回収して、死体は燃やすぞ。吸収されるとまずい気がする」


 「あいよ」


 レイルが剣士2人の胸元を漁ってる間に、猫を探してみた。さっきからいるかいないかわからないくらい静かだ。

 猫は少し距離を置いたところで、おとなしく座っていた。こいつ、本当に賢いな。

 相手が魔獣だと真っ先に飛びついて肉を食うのに、今回は人間だからか近寄りもしない。

 まぁ、人間の肉も食うようだと、ちょっと連れ歩くのは考えるところだから、ちょうどいいが。わかってやってるわけじゃないよな?

 そして、円板の模様を書き写す。

 こいつは触るとヤバそうだから、今のうちに何が書いてあるかだけ書き写しておくべきだ。まさかとは思うが、次に見たら形や模様が変化しているかもしれないしな。




 書き写し終わったら、剣士2人の死体の始末だ。

 熱を高めに、持続時間を長めに魔力を練って、炎の玉を2つ飛ばす。

 燃え上がる死体を後目に、俺達は洞窟を出た。


 「かなりヤバいシロモノだな、ありゃ」


 「血だの魔力だの吸う板なんて、聞いたことないね。

  あの陰険女、信じてくれないんじゃない?」


 「そうかもしれないがな、どう見たって、ありゃ人が作ったもんだ。

  何考えてあそこに置いたのか知らんが、何か目的があんだろよ。

  そこんとこ無視して信じねぇって言われりゃ、俺達としちゃどうにもできんだろ。

  ま、セシリアのことだ、信じられなきゃもう一組送り込むんじゃねぇか」


 どっちにしても、俺達の仕事はここまでだ。

 よく考えてみると、逆恨みで襲われてなけりゃ、あの板が血を吸うところは見なかったわけで。

 これが吉と出るか凶と出るか、それも俺にゃどうにもできねぇことだよな。

 洞窟で見付かった謎の円板に描かれていたもの。

 血を吸う板の秘密とは。

 次回「ごつひょろ」7話「魔法陣」

 それは、ギルドが調査中の謎の技術。

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― 新着の感想 ―
[良い点] >ありゃ人が作ったもんだ。 魔素溜りと関係あるかな。 魔力を吸うって、コンセプトは似てる。 [気になる点] それにしても、円板の仕組みが難しくて何度も読んだーー。 >投げた剣は、あっさ…
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