表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/104

3-3 帰還

 手負いの魔狼1頭を倒した俺達はギルドに戻り、セシリアを呼び出した。


 「フォルスさん! ご無事でよかったです。

  4日経ってもお戻りにならなかったので、何かあったんじゃないかと心配してたんですよ」


 セシリアは、俺の顔を見るなりまくし立てた。

 どうやら、本当に心配してくれていたらしい。いいとこあるじゃないか。


 「ああ、まぁ、何かあったんだが。一応、2人とも無事だ。心配してくれてありがとう」


 「レイルさんのことは、別に心配してませんけど」


 レイルが噛みつくとまずいと思って見てみると、涼しい顔をしていた。

 ああ、これは「お前に心配してもらう必要はない」って思ってるな。

 まぁ、余計なもめ事にならないのはいいことだから、黙っておこう。


 「とりあえず、依頼の件からだ。

  一通り森を探索してはみたが、例の2頭以外は見当たらなかったし、例の2頭も報告どおりの場所にいた。手負いの方は、右後足に傷を負って、あまり動けない様子だった」


 「はい、お疲れ様でした。

  2頭のみですね。

  それで、追加報告がありそうですが」


 「ああ。色々あって、元気な方に襲われかけてな。

  なんとか躱して、手負いの方だけ倒した。これが首だ。

  残念ながら、魔石を取り出すような余裕はなくてな。

  昨日戻れなかったのも、そのせいだ。この影響で、残る1頭の住処が変わったかもしれん」


 「ありがとうございます。

  残りは1頭、ただし、居所が変わっている可能性あり、と。

  では、報酬の手続をいたします」


 セシリアは、俺達のギルド手帳に預かり金を書き込みながら


 「残りの1頭について、討伐依頼をしたら、今度は受けていただけますか?」


と訊いてきた。

 正直、受けるつもりだが、すぐに受けるわけにはいかない。


 「受けてもいいが、明日すぐに、というのは無理だ。今回も結構疲弊したからな。

  受けるにしても明日は休養を取りたい。

  もし、この前のパーティーが受けるってんなら、そっち優先で構わないぞ」


 「よろしいのですか? 勝てるのでしょう?」


 「俺達だと、どうしても日が空くし、勝てるったってギリギリだ。

  今回、それなりに危ない橋も渡ったし、稼ぎもした。これ以上、欲はかかんさ。

  受けたい奴がいないってんなら、受けてもいいってところだ」


 そう。俺達ばかりが稼ぎすぎると、余計な嫉妬を招く。特に、今回はよそが犠牲を出しながら手負いにした奴を倒してる。しかも、合同依頼を断った上でだ。

 ぴんぴんしてる奴で悪いが、1頭くらい倒す機会はやらないと恨まれちまう。

 もちろん、向こうがいらないってんなら、ありがたくこっちでいただくが。


 「とりあえず、明日は休むから、余程のことが起きなけりゃ明後日にしてくれ」


 そうして、ひとまず魔狼騒ぎは終わり、俺は娼館に行った。もちろん、レイルに蔑むような目で見送られて。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] >1頭くらい倒す機会はやらないと恨まれちまう。 そんな簡単かなあ。生き残った方の魔狼、どんな奴なのか全然分かんないじゃん! 魔力も能力も不明。ただ騙して走らせただけで、その慢心はなんだ!…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ