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他人と書いて友とよむ  作者: 白髪祭
1/1

ぼっち二人の日常

友達って曖昧だ

どこからどこまでが友達?

目と目があったら、たまに顔を見かけたら、毎日顔合わせてたら、一年ずっと仲良くしてたら。

どうやったらあなたと友達になれる?

もう一つ。

友達という関係はあまりにも簡単に切れてしまう、切られてしまう

些細な事で、ちょっとしたすれ違いで。

・・・なぜ切れる?

なぜ切れてしまう?

そんな簡単に切れてしまう関係を

あなたは友達と呼んでずっと大事にできる?


ぼっちは、彼らは考える

友達とはなんたるかを

「はーい準備体操始めまーす。二人一組になってくださーい」


体育教師が言うと、生徒の皆はぞろぞろとペアを作り始める

雑談混じりで、楽しそうに、和気藹々と

うぇーいなんてはしゃぎながら、笑顔で


そんな中で独りポツンと立っている者が二人

そして、お互いにその存在に気付く


「・・・・よお」


「・・・・ああ」


「・・・・やるか?」


「・・・・そうしよう」


そして彼らは黙々と準備体操を始めた



*   *   *



「ねえ知ってる?イケメンぼっち'sって」


「何それ、イケメンぼっち?」


「え~美咲知らないの~?」


「一年生の中で有名なのよ。まずは山ヶ崎君からね」


「あ!金髪で外国人みたいな子の事よね!」


「そうそう、でも日本語ペラペラだから帰国子女だったりして」


「へー、クラスは?」


「1-2だったから私達の隣のクラスね」


「確かもう一人も同じクラスだったわよ」


「え、そうなの!?」


「うん。白雪君ね」


「なんか名字きれ~い」


「なにその感想。まあ確かにいい名前してるわよね」


「頭脳明晰で成績優秀なんだって。すごいよね」


「七三分けにメガネでいかにもって感じするよね~」


「うんうん。で、その二人がイケメンぼっちてわけ」


「でもなんでぼっちなのかな?」


「なーんか二人共無愛想で友達作ろうとしないんだって」


「え?たったそれだけ?」


「うーん、私が聞いた限りじゃそれくらいしかなくてね・・・」


「へー、他に二人に共通点とかないの?」


「あ、そういえばあの二人ねー」




(・・・はあ、うるせえ)

そう思いながら山ヶ崎真也は深くため息をついた。

席につくなり机にむかって肘をうち、ぼーっとしていたところでこれだからだ

真也は教室後ろの扉の向こうで自分の噂をしていた女子三人組を軽く睨みつける

しかし、当の彼女達は「きゃっ」と短く言うだけで嫌がられている事に気づきもしない


「ったく、聞きたくないのに聞こえてきやがるからなこういう話は・・・」


「おや、相変わらずの地獄耳のようですね」


真也の独り言に返事を返したのは白雪誠だった

不意に上から聞こえてきた声に真也は首を上げる


「・・・んだよ」


「いつものヘッドフォンをつけて音楽でも聴いていればいいのでは?」


「新曲は粗方聴き終わっちまってな」


「そうでしたか」


「他になんか用かよ」


「今日も放課後部活ですからね。遅れないように」


「はっ、毎日言わなくてもわかってるっつーの。律儀か」


「部長ですから」


そう短く会話を交わすと、誠も自分の席に着いた

こうして見てみると彼ら二人は仲がよさそうに見える

しかし彼らは親友でも友達でもない


知り合い以下の他人同士であった。


*   *   *



その日の授業も終わり、生徒たちはそれぞれ行く場所へ散っていった

部活へ駆け出すもの、友と寄り道をするもの、真っ直ぐに家へ帰るもの

そんな中でも真也は一年生校舎下の図書閲覧室に向かっていた


「今更だけどこの学校デカいよな・・・」


真也の通う学校は四つの校舎がある

大きく分けると一年、二年、三年の学生棟と特別教室や生徒会室、職員室がある特別棟の二つだ

学生棟がコの字に並びその間に特別棟があってヨの字を作っている

そこに、体育館とグラウンドを足せば全体図の完成だ


しかし、例外もあって特別棟にない部屋だって存在する

その一つが図書室とその横の図書閲覧室だ

一年生校舎一階の一番端にあるため二、三階が教室の一年生では少し遠く利便性に欠ける

上の学年の生徒は遠すぎてまず利用しないだろう

図書室には鍵がないため、前は生徒が隠れてたむろしていたこともあったらしい

最近はそんな噂も聞かなくなった、もとい聞こえなくなったなと真也は思った


「耳の感度高いのかな俺・・・」


そんなことを独り言ちながら真也は閲覧室の扉を開けた

中に入ると、パソコンを開いて画面を見ながらブツブツ言ってる誠の姿があった

やがて、真也の存在に気付くと、そちらへ顔を向ける


「来ましたね。では、始めてください」


「おう」


誠はまたパソコンに目を落とし、真也も原稿を取り出し筆を走らせる

それぞれ無言で、黙々と作業を続けていた

・・・・・・

訪れるしばしの静寂

同じ空間にいながらお互いに一言も発さず目の前のものに集中する、そんな時間

そんな静かな空気を破ったのはやや低めの女性の声だった


「おーす文学部諸君。真面目にやってるか?」


その声に返事はなかった


「お、おい」


「・・・・・・・」


「集中しすぎじゃないか?」


「・・・・・・・」


その教師らしき女性は真也と誠を交互に見やるが、二人とも部活動に没頭しているのか気づきもしない


「む、無視か・・・?」


「・・・・・・・」


「先生、悲しくなっちゃうぞ?」


「・・・・・・・」


「なあ、気づいてるんじゃないのか?」


「・・・・・・!。・・・・・」


「おい真也お前気づいてるだろ」


女性は真也から送られた視線を感知し、真也を睨む

これでも無視を決めこむのは良くないと判断し、筆を置き顔を上げる


「・・・はいはい、なんですか涼宮先生」


「なんだその適当な言い方。私は先生だぞ、もっと敬え!」


「言ってる内容が先生っぽくないんだよなあ・・・」


「それで、どうしたんですか先生」


いつの間にか誠も顔を上げて先生の方を向いていた

しかし、手は動いたままキーボードを叩いている。こいつブラインドタッチできるのか


「お前、ノールックでキーボード打てるのな」


「ノールックで女の子の会話を聞いてるあなたほどではないですよ」


「嫌味か。つーかなんで分かったんだよ」


「私達の事を話していたのが聞こえてきたので」


「お前もきいてんじゃねえか!」


こいつも耳いいなおい!と、真也は心の中でつっこんだ

そんな様子をみて、涼宮先生はくすくすと笑う


「ふふ、君たちは仲が良いなあ。いい友達だなお互いに」


「いや、こいつとは友達ではないですから」


真也の言葉に誠も頷く。しかし涼宮先生は怪訝そうな表情をみせた

どうやら今の回答だけではご満足いただけなかったらしい


「そうか?どうみてもそうにしかみえないけどな」


「他人にはそう見えても本人達は違うんです」


「だけど会話だってするし、体育とかで行動も一緒にするだろ?仲良しじゃないか」


「他に会話する奴いないし、二人一組の時は余りもの同士で集まるので必然的にそうなります」


「多分クラスと部活が違ったら顔を合わせることすらなかったでしょう」


「・・・・それ自分で言ってて悲しくならないか?」


「「・・・確かに」」


「はあ」


誠と真也が同時にあげた声に涼宮先生はため息をついた

しかしながら、やっぱり誠とは気が合うのかもしれない

・・・昔の俺なら、きっと・・・


そんなことをやっていると最終下校のチャイムが鳴った


「時間ですね。終わりましょう」


誠の声に真也も頷き身支度を整える

涼宮先生が鍵を持ってきて部室を閉めた


「では、気を付けて帰るように」


「うす、さいならっす」


「さようなら」


「じゃあ白雪、またな」


「ああ山ヶ崎。また明日」


本日も文学部の部活動は終わり、二人のぼっちは帰路についた




どうも、白髪祭です

今日からこの小説家になろうで投稿させていただきます。よろしくお願いします


次回は・・・果たしていつになるやら


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