いまなんじ?
雨上がりの空を見上げて、隣の人に声をかける。
空には、ふたつ。
濃い方と、薄い方。
鏡でゆがませた、ふたつの橋。
一つははっきり。
もう一つは、薄ぼんやり。
どっちに向かって歩いていったら、君のもとへとつけるだろう。
どっちの上に、足をのせたら。
君を迎えに行けるだろう。
僕が登れるのは濃い方で。
君が登っているのは、薄い方。
やっと手を伸ばしたら、届くかもしれないけれど。
届く前に、橋は日没とともに消えた。
ねぇ。
さっきは、何時?
ちょうど、色分けがさかさまになるのだな、と、今日思った。
だから、表を歩くのと、裏を歩くぐらいの違いがあるんだろう。