第9話【不審者疑惑】
「村長、こっちです。」
村長と言われて連れてこられたのは案外、若いやつ。
30くらいかな?厳つい。
もっと髭モジャモジャなのが来ると思ってた...。
「こいつが不審者か?」
「こんにちは。」
「...村長。」
え、無視?挨拶したのに?
ってか村長って...。
「こんにちは。」
厳つい奴の後ろから出てきたのは、ちっちゃいおじいちゃん。
モジャモジャ。
めっちゃ村長っぽい。
「...こんにちは。」
さっきの奴は話聞かなそうだったけど、この人なら話聞いてくれるかも...。
少しだけ希望が見えてきた。
ここは、できるだけ誠実なかんじでいこう。
「...はぁ。」
なんかため息吐かれたけど。
「ネル、また無理矢理起こしたのか?」
「だって起きないから...」
「免罪だったらどうするんだ?」
「でも、アルフェが不審者って...」
「アルフェは絶対じゃない。とりあえず、毛布を持ってきなさい。」
「はい...」
ネルフィスさん、めっちゃショボーンって感じだけど、なぜに?
「すまんな、ネルは悪い奴ではない。ちょっとバカなんだ。」
「えっと...何の事でしょう?」
「...その格好、そして水。」
俺の姿?水?
そこで自分を見たことでやっと納得した。
俺は一糸纏わぬ姿で、さらにビシャビジャ。
あぁ、水ぶっかけられたから話の途中で起きちゃったんだなー。
そんなのはどうでもいい。
なんか着るものが欲しい。
今までこの格好でみんなの前に晒されてたのか。
興奮す...じゃなくて恥ずかしい。
毛布はよ!!
しばらくした後、ネルフィスさんが毛布を3枚持ってきた。
体を拭いていると村長が話しかけてきた。
「お前は...不審者か?」
わーお、とってもストレート。
「いいえ、そのつもりは無いです。しかし、突然現れて、名前を名乗らなかったので不審者扱いされるのもしょうがないと........」
「村長の質問にだけ答えろ!!」
厳つい奴が吠える。予想通りのうるさい奴だな。犬か。
「下がりなさい、ジーク。」
「しかし...」
「下がれと言っている。」
「...はい。」
村長が睨むとジークは静かになった。
何故か俺を睨むジーク、俺はなにもしてないぜ?
そんなのお構い無しに村長が話を続ける。
「私の記憶が正しければ、この家は約10年間、誰も住んでいない。
そこに勝手に住んでいるなら、それだけで犯罪だ。」
「...」
村長の言葉には威圧があり、思わず、すいませんと言ってしまいそうになる。
しかし、謝れば自分の非を認めたことになる。
この村の文化は知らない。
でも、異世界っていうくらいだ。
不審者は即、死刑とかいうルールがあるかもしれない。
下手な事は喋れない。
「もう一度聞く、お前は、不審者か?」
「...いいえ、違います。」
「家の事はどう説明する?」
「家は、ある人が僕に授けてくれました。」
何故か、あいつのことは伏せたほうがいい気がした。
「それなら...」
「...」
「お前は何者だ?」
「それは........」
「...訳ありか?」
「少々。」
「この村のルールを知っているか?」
「いいえ、なにも。ここには来たばかりで。村どころかこの世界の事はほとんど知りません。」
この人の目は、俺のように課金で練り上げたものではない、本物の歴戦の勇者の目だ。
多分...この人はすごい。
この人に、嘘はつけない。
「俺は...」
「異世界から来ました。」
遅くなりました!!




