第6話【甘やかしと異世界】
〈000年 zero space〉
【僕視点】
「はぁ...僕って甘いな...。あんな奴ここで殺せばいいのに。」
"人の死に干渉できない"完璧な嘘だ。
僕は人を簡単に殺せる。この場所なら運命をねじ曲げられる。
彼を殺さないように嘘をついた。
なぜそんなことが必要なのか。
...僕は、彼を知っている。
それなりに仲も良かったし、それに...
まあ、彼は忘れてたけどね。
それもしょうがない。
覚えていられるわけがないのだから。
〈海暦5130年 レンス村〉
【原田涼介視点】
...えーっとー、ここどこ?
頭がぼーっとしていて記憶が定かでないけど、あいつの言うことが確かなら、ここは異世界。
10分ほど経って、やっと頭が冴えてきた。
...どうやら、ここは誰かの家らしい。
普通のログハウスのような場所。
広さは10畳程度でワンルーム。
キッチン、風呂、家具は無かったが、申し訳程度にトイレが付いていた。
周りに誰かが居る様子は無い。
「ん?」
足元に手紙が落ちていた。
読んで...いいのかな?
"原田君 へ
この手紙を読んでるってことは、無事にたどり着いたんだね。
そこは"レンス村"
のどかな田舎村だ。
そして、これからそこは君の部屋だ。
自由に使っていいよ。
君はこの村に住むんだ。
そこで、たくさんのことを学ぶ。
そして、全てを思い出したら、その上で君が"運命"をうち壊せたら、
元の世界に返してあげるから。
それが出来ないなら、僕が手を出さなくても勝手に死ぬだろうしね。
頑張ってね。
P.S.最低限必要そうなものは揃えておいたから、箇条書きにしとくね。
・言語:この世界で一番使われてる言葉は使えるようにしたよ。
"魔界"に行くことがあったら自分で言葉を覚えてね。
・記憶:村に急に君が現れたら追い出されるだろうから、君に10日間だけ使える能力をプレゼントしておくね。
この期間にこの村の人に会うと、記憶が上書きされて"前から知り合いだった"ような状態になる。
今のうちにたくさんの人に会うんだよ。
・姿:今の君の姿は17歳の青年だ。前の姿じゃ逃げられるだろうからね。
...冗談だよ。
通常、異世界への転移には"代償"を払わせなきゃいけない。
複雑なものを送るほどだ。
未来の君は左手を失っていた。
でも、そんなの不便だからね。
魂だけならそんなに大きな代償はいらない。
せいぜい頭がぼーっとしたり、気持ち悪くなったりするだけだ。
だから、そっちで新しい体を用意しておくね。その体ならみんな助けてくれるだろう。
僕 より"
手紙と同封されていた鏡のようなもの。
そこに写っていたのは16~18歳くらいのイケメンの青年。
いや、そんな言い方は止めよう。
これは、17歳の時の俺だ。
髪こそ染まっていないけど、一番世界を舐めていた時代の俺そのものだった。
「なんでこの年にするかねぇ...」
当時は寝不足とか栄養不足で人相が悪かったけど、ちゃんと栄養を摂ればこんなにイケメンになるらしい。
代償とか、魔界とか、能力とか...。
本当に異世界なんだな...........。
いや、まだそれはわからん。
あいつの嘘かもしれない。
気絶させられてここまで連れてこられたのかもしれない。
疑おう。
それより...
思い出すって何を─?
題名って難しいね。




