第4話【誰?】
それからは何もやる気が無くなってしまった。
もともと無かったが、今までとは明らかに違う。
ご飯を食べようとすら思わなかったんだ。
俺は生放送のページから全く動かず、その時と全く同じ体勢のまま呆然としていた。
何日経ったのだろう。
何日経とうと関係ないけど。
動きたくないなぁ。
不思議ともうお腹は空いてない。
体もこの体勢になれたから、動くほうが辛いだろう。
なぜここまで廃人になったのか。
普通の人ならここまで追い詰められないだろう。
しかし、俺にとっては、ゲームは生きる理由そのものだった。
スポーツ選手が自分のミスで怪我をして、一生その競技はできないと言われたかのような。
最愛の恋人が自分をかばって事故に巻き込まれた所を目の前で見たかのような。
そんな感覚。
誰だって嫌になるだろう。
俺だって...
昔はこんなことしか生き甲斐の無いようなクソニートじゃなかった。
中学校のころは頭が良かったし、運動もできない訳じゃ無かった。
案外モテたし、明るくていい時代だっただろう。
だからこそ、調子に乗った。
やればできるから、そんなにやらないでいいよなって。
毎日友達とゲーセン行ってた。
その時期だ。
俺はネトゲに出会った。
楽しくて毎日やってたな。
勉強もほとんどしなくなった。
取り返しのつかないくらいまでおいてかれて、高校はどうしようもないバカ高校に入った。
そこらへんからかな。
人は離れてった。
それで余計にゲームに没頭していった。
本当になんも出来なかったから、大学にも行けなくて、就職もできなかった。
そっからは親の脛かじりながらゲーム三昧。
壁ドンと床ドンを駆使して極力、人と関わらないようにした。
親は心配してたまに話しかけてきたが、うざがってわめき散らしたせいで、今では話しかけてすらこない。
迷惑をかけたって気持ちがない訳じゃない。
むしろ申し訳ない気持ちが勝ってるよ...。
でも、なんか言われるたびに、見下されてるような気持ちになって、強く当たった。
どこから間違えてたんだろう。
どこを直せば幸せになれたんだろう。
生まれた時点から間違えてたのかもね。
どうでもいいや。
眠くなってきたし、寝ちゃえば楽になれる気がする。
おやすみ─
〈000年???〉
【原田涼介視点】
「ん?」
.....えーっと、ここどこ?
俺寝てたんだよな?
目が覚めたら変なとこに居た。
真っ白な空間。
そこで俺はふわふわと浮いていた。
なんだか気持ちいいところだな。
天国なのかな?
それなら...もう少し寝てもいいよね...。
「ねぇ、なんで二度寝しようとしてるの?」
ん?誰かいる?
誰も居なかったはずの真っ白な空間にいつの間にか少年?が立っていた。
顔に仮面を着けているせいで、顔は伺えない。
「誰?」
「僕かい?僕は僕だよ」
は?何言ってんの?
「名前聞いてるんだけど」
「だから僕だって」
「へぇ...」
なんか埒が明かないし、イライラするからいいや。
奇抜な名前ってことにしとこう。
「で、僕とやら。お前は何者だ?天使かなんかか?」
「はぁ?何言ってるのさ。君は頭が可笑しいのかい?こんな場所に天使が居るわけないだろ?」
呆れた顔で言ってくる。
うざいな。
...ってあれ?ここ天国じゃないの?
「えっとー...つかぬことをお伺いしますがー、ここって何処ですか?」
「ここかい?ここはね、僕の部屋。【zero space】ってみんなは言ってる。」
無い場所?確かになんもないけど。
「この場所はね、始まりの場所であって終わりの場所でもある。まさに"無"そのものなんだ。」
「じゃあー、やっぱり俺って死んだんですか?」
「死んでないよ?」
そうかーやっぱり死ん...ん?死んでないの?
「確かに君は瀕死状態だ。でも死なない。君はここで死ぬ"運命"じゃ無いからだ。この後、ご飯すら食べようとしない君を心配して、君の親が部屋を覗く。君の状態を見て救急車を呼ぶ。そして3日後、君は目覚める。」
へぇ、それなら安心かな。
目覚めたらちゃんと働こう。
真っ当な人生を、第二の人生を過ごすんだ。
「でもね、僕は君が今目覚めると困るんだ。」
...え?
今回は長めに書きました!




