第11話【互いの考え】
〈海暦5130年 レンス村〉
【原田涼介視点】
さて、その後監視されながら村長の家に来た俺ですが...
まあ、村長の家のでかいこと。
俺ん家の3倍かな。
...こんなにいらんだろ。
割り当てられた部屋もかなりでかい。
俺ん家の玄関ホールくらい。
家具はベッドと小さな棚だけだった。
自分で稼いだ金でなら何を置いてもいいが、俺ん家から持ってくるのは駄目らしい。
俺ん家って言ってるけど、正式には俺ん家じゃないことになってるしね。
あの家は俺が自分で稼いで買わないといけない。
一応この村の所有物だから。納得。
ちょっと値引きしてくれるらしいし、本当にいい人だよな。
「ごはん出来たって...」
「ん?あぁ、ありがとう。」
ごはんが出来たと伝えに来てくれたのはアルフェールだった。
アルフェールは村長の孫らしい。
はじめの人懐っこいかんじとは程遠く、今は素っ気ないかんじだ。
まぁ、当然だろう。不審者だと判断した本人だし、俺は彼女の腕を掴んだ。村長の判決に納得していないはずだ。
でも、呼びに来てくれるんだから優しいよな...。うん、まだ大丈夫だよな?
ごはんはとても美味しかった。日本の食べ物ではない、というか地球の食べ物ではなかったが、食べてみたら美味しかった。
不審者とされた俺からしたら、これ以上ないような厚待遇だ。
俺が言うのもなんだが...村長は何を考えている?
みんなの意見をはねのけてまで、俺を助ける様な理由。
さっきの魔族がどうたらってのが関係あるのかな?
悪いが何もしらん。
食事中、村長を見ていたが何もわからない。優しいおじいちゃんってかんじだ。
牢獄のときと全然違う。
気配を操作してるよな。完璧に。
「ごちそうさまでした。」
部屋に戻ってぼーっとする。
監視と言っても、部屋を覗かれたりするわけじゃないようだ。
やっと緊張がほぐれた。
どっと疲れが押し寄せ、瞼が重くなる。気がつけば夜、といっても、まだ1日目。
とても長い1日だった。
明日からは仕事もしないといけないし、今日は考えるのを止めて寝よう。
意識が遠退く。
「おもしろいことになってきたな─」
奴の声が聞こえてきた気がした。
〈海暦5130年 レンス村〉
【村長視点】
はっきり言おう、奴は怪しい。
もちろん分かっている。現役でないとはいえ、冒険者だった。強者の気配は分かる。
奴は、気配をぼかしていた。
あのジークに分からないほどうまく。
だが、その奥にあるのは、獣のような...いや、化け物のような強い野生。
見たことのないような凄まじいものだったため、平静をよそおうことで精一杯だった。
目を見るだけで逃げたくなった。
しかし、なんとか目を見たことで判断できた。
奴は自分の恐ろしさに気付いていない。
ならば、取り込もう。敵に回すことは決して吉ではない。
恩を売る。弱味をにぎる。汚い手だが、村を守ることは義務であり、私の償いだ。
誰にも分からないように、奴を鎖で繋いでいこう。
遅くなりました!!
また(笑)




