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第1話

「……う、うるさい」


枕元で鳴り響く目覚まし時計を叩く様にして止めると、上半身を起こしグッと背伸びをした。


東向きの窓からは朝陽が差し込み、部屋を明るく照らしている。


「……よっと」


二度寝したくなるような衝動を何とか振り切り、まだ温もりの残るベッドから降りると、部屋の隅に置かれたクローゼットへと向かう。

そして、中から真新しい濃紺色のブレザーとスカート、それに黒のハイソックスを取り出すと、のそのそと着替えを始める。


「よいしょっと。これで、完了っと」


クローゼットの脇に立て掛けられた全身鏡の前に立ち、何処かに乱れが無いかの確認。


腰まで伸びるフワッとした淡い栗色の髪。

大きくパッチリとした、睫の長い瞳。

ふっくらとした肉感のある艶やかな紅い唇。

精巧に造られた人形の様に整った小さな顔立ち。


自分で言うのもアレだが、可愛いかそうでないかの二択だと、可愛いと呼ばれる方に分類されるだと思う。

ただ惜しむらくは、身長が”小学校高学年よりほんの僅か高い程度しかない”ことか。

ああ、せめて中学3年女子の平均ぐらいは欲しいけど、無理かなー。


と、ここらで自己紹介をば。


私の名前は、藤代ふじしろ 薫子かおるこ

前世の『男』だった時の記憶が残る、『転生者』というものである。



◇ ◇ ◇ ◇



―――どうして転生なんてしたのか―――


これは実際のところ、あんまりよく覚えてはいない。

ただ、生まれて3歳を迎えた辺りの頃に、ふと自分が前世で”『男』の大学生”だったという記憶が呼び覚まされたのである。


その時に『自分は一度死んでいて、どういう訳か記憶を持ったままこうして新たな生を受けた』とはっきり理解した。


そしてその記憶を思い出した後は、怪しまれない様に年相応な振る舞いをしようと心がけたのだが、存外記憶というのは余計なものでうまく振る舞えず、両親からは手がかからなくてなんだか寂しいと言われたこともあった。


初めは不慣れな『女』の体に戸惑いもしたが今ではそんな事も無くなり、藤代家の長女として楽しく生活出来ているので、転生の理由が分からなくても全く問題無しという感じだ。



◇ ◇ ◇ ◇



「薫子ー、起きなさーい」


階下から母の声が聞こえてくる。

鏡から時計に目を移すと、針は既に7時を少し回ったぐらいを指している。

結構な時間鏡とにらめっこしていたらしい。


「もう起きてるよー、今降りるー」


椅子の上に置かれていた制服と同様新品である鞄に、筆記用具とメモ帳・その他諸々を適当に詰め込むと、小走りで部屋を後にした。

転生した理由はごちゃごちゃと付けるとだらけて面倒なので、無しにしました。

まあ、内容に影響があるわけじゃないからべつに良いよね?

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