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短編:詩&エッセイ

感染 浸食 腐敗

作者: 尖角

外に出て、誰かと過ごせば、何かに感染する。


病気もそうだけど、その誰かの思想を受け継ぐ。


互いに影響を及ぼし合って、時として滅んでしまう。


よく、一緒にいる奴とは、何も言わなくとも、何もせずとも、


そいつの考えていることとかが大体わかったりすることがあるだろ?


それもそう。 そいつの考えが感染している証拠。



だが、いい影響ならそれでいい。


しかし、どこからか変な考えを拾ってきて、


その植えつけられた病原菌を、自慢げに披露したりすることがある。


感染者。  もう、重病人で、隔離が必要かもしれない。



浸食され、自らが病巣になって、さらに他にも感染者を増やす。


感染拡大。 もう、手の施しようがないくらい、外は病気に満ちている。






じゃあ、家にいればいいのだろうか?


外出はできるだけ控え、何か買うときは宅配にする。


で、さらに現金を玄関先に置いておいて、


届けられた荷物もそこに置いておいてもらえばいい。



そうすれば、外との関わりがなくなり、病気はうつらない。


完璧ではないだろうか?  まるで無菌室のようだ。





しかし、考えてみて欲しい。


生活するにはお金が必要。 それがなければ、生活できない。



欲しいものを買うことができず、ただ「腹が減った」と死んでいく。



だから、外出せず、自宅にいるにしても働く必要がある。





例えば、内職。


コツコツと何か物を作ったり、組み立てていればお金が手に入る。



しかし、生活するには不十分。  だから、内職だけで生活はできない。





じゃあ、パソコンを開いてWebで収入を得ればいい。



PC起動。  お客さんとの会話。 悪影響。



結局、家にいても感染。




むしろ、家にいてテレビを見ているだけでも感染。


漫画を読んでいるだけでも感染。 ネットをしていているだけでも感染。



管をつながれて、意識があるかどうかの植物人間でない限り、


永遠に自分の世界に引きこもることなんでできやしない。





頑張って殻に閉じこもっているつもりでも、どこからか病を拾う。






だが、考えてみて欲しい。


自分が植物人間になったとしても、


さらに言ってしまえば、自殺して自分という概念から飛び立ったとしても、



結局は、どこかの誰かに何らかの影響を及ぼし、


そのどこかの誰かの中で病原菌となって生きていかなければならない。





自分では殻に引きこもって、誰にも接することなく腐敗しているつもりでも、


結局は、その匂いは誰かに届いている。 影響を誰かに与えることになる。




もう、この世界に自分はいないからいい。  きっと、大丈夫。






しかし、昔、誰かが言っていた。


人間は二度、死ぬんだよ。  命を失った時と、誰かに忘れられた時。





要するに、誰かの記憶に残っている限り、腐敗しきることなんてできない。




結局は、何をしたとしても生という名の地獄に縛られるほかないということだ。


































人生なんてくだらない。


特に人間に生きる価値なんてあるのだろうか?


意味もなくほかの生物を殺し、時として己の魂も駆逐する。


無意味。  俺はそう思うけれども、影響力は少なからずあると思う。


だから、必死にもがき、もがき、  これでもか!ってくらいもがいて、


悪影響ではなく、何か少しでもいいから、


“生きた欠片”という名の良い影響を残そうとするのではないのか?



生きる意味を考えたところで意味がないことはなんとなく気付いている。


だけど、俺は、それを考えなければ前に進めない気がするんだ。



人生なんてくだらない。



しかし、どんなに足掻いたところで俺は人間。


だから、「人が生きる」と書いた最後を気にしている。









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