明日に繋がる道
この作品はフィクションです。
この作品に登場する高校の数は、実際はそんなに多く在りません。この作品に登場する高校名・施設・事件は架空の出来事です。現実とは、一切関係在りません。
登場人物名役職
山森健一山戸川高校生徒会会長
白岩涼子:生徒会副会長
鳥桧勝:生徒会副会長
矢鳥美希:生徒会会員
矢鳥早織:生徒会会員
矢鳥龍:生徒会会員
薺楓:生徒会会員
榊蒼:生徒会会員
漣劔聖王高校生徒会会長
白井雪:生徒会副会長
山竝證 聖神学園理事長
俺の名前は、山森健一。山森財閥の、御曹司だ。俺の通っていた聖王高校をこの街で知らない人はいない。聖王高校は、聖神学園と呼ばれる学園の傘下にある高校の1つだ。聖神学園は、今から30年前に出来た学園だ。その傘下の聖王高校は、今から10年前にこの街に出来た高校だ。歴史こそ新しいものの、開校僅か10年で、国内有数の進学校に登り詰めた。聖王高校の、3km先に見える高校は、私立山戸川高校、聖王高校が出来て開校10年を迎えるまではこの街では、進学校として有名だった。しかし、聖王高校が出来てからは、進学校として目立たなくなったが、今でも東都大学等々アードス等の国内で有名な大学や、企業に多くの卒業生が進学や就職している。俺には、一緒に山戸川高校に通う彼女がいる。彼女の名前は、白岩涼子。この街の、東にある少し古い家に、住んでいて家では父親の仕事がなく家計は火の車になっている。
俺と白岩は、中学の頃に出会い、何度か色々な事を話す内に俺は彼女に惹かれていた。俺はその後も白岩を、何度かデートに連れて行きその度に白岩は、目を丸くして驚いていた。そんなある日、白岩が俺に対してふと質問をしてきた。
「どうして、私と色々なとこに行ってくれるの?私なんて、なんの取り柄もないし、皆から蔑んだ目で見られているし、山森君と違って皆から、慕われていないし、何も、出来ないから。」
白岩は自分はなんの取り柄もない人間だと、俺に対して言う。俺は気づいたら白岩に、
「白岩は他の人と変わらないよ 。俺より、白岩の方が皆に慕われるべきだ。それに、俺が白岩と一緒にどこか行くのは、俺が白岩の事が……………」
俺は、いつの間にかそう言っていた。すると白岩は俺の言葉に驚いて俺に、
「今なんて、言ったの?」
白岩は、俺に当然の質問をしてきた。俺は、白岩に微笑んでこう言った。
「俺は白岩の事が好きだ。俺と付き合ってほしい。」
俺は、白岩にそう言った。白岩は、何を言われたのか、一瞬戸惑っていた。そして、言葉の意味が分かって、
「え、だって私は家も貧乏だから、私なんかと付き合ったら、他の人に何を言われるか、わからないんだよ。それでも、いいの?」
白岩は、当然の如く俺に言って来る。だから、俺は白岩に、
「俺にとって君は、他のどんな人よりも輝いていてる人なんだ。君の、代わりなんてどこにもいない。俺は、白岩涼子というたった一人の女の子に惚れたんだ。だから、自分を悪く言うのはやめなよ。だからさ、俺と付き合ってくれないか。」
俺は、もう一度白岩涼子に言う。白岩は、
「こんな私でいいの?」
俺に言う。俺は黙って頷く。さらに、白岩は
「私、可愛いか。」
そう言って来る。俺は、
「可愛いよ。」
と、そう言うと白岩は顔を真っ赤にして、俯いている。けれど、黙って見ていて上げるとそっと、顔を上げて、一言。
「…………………はい。」
俺と白岩は付き合う事になった。白岩は、学校内では、美人のグループに入り、思った事をキッパリと言うので、美人でもクールビューティーと言った方が正しいかな。けれど、そんな白岩も俺の前ではツンデレになる。年相応の女の子なんだと実感する。それが、中学3年生の3学期の頃だった。俺と白岩は、私立高校つまり俺は聖王高校、白岩は山戸川高校に行くはずだった。俺と白岩は卒業後は、色々と忙しくてなかなか会えなかった。けれど、少し時間が出来たら、近所の河川敷に行って会っていた。そして、俺は聖王高校に白岩は山戸川高校に入学するはずだった。俺は、聖王高校いや、聖神学園の理事長が変わっていたことを知らないでいた。もちろん、俺だけじゃない周りの皆も、知らなかった。そう、入学式から1年前の3ヶ月前までは………──────
俺は、聖王高校の先輩に何人か知り合いが居たので、時々会って話をするんだが一昨日の先輩達の様子が変だったので、俺は担任である佐々波昂にコンピュータ室の鍵を借りて、コンピュータから聖神学園の裏ホームページにアクセスしてみた。そこには、信じられない内容が記述されていた。その内容は、『我が聖神学園では、生徒の進路先は全て理事長が決めている。理事長の決めた、進路先に行かないと生徒は、就職はおろか進学も出来ない。』と、記述されていた。さらにその下には、理事長の言葉と見れる記述があった。『私にとって学校というのは、ビジネスなんです。有名な進学校に、するには生徒の進路先は全て、私が決めることで進学校になれるんです。生徒は、私にとってビジネスの道具なんです。』と、そう記述されていた。俺は、その記述に言葉を失った。生徒は道具。学校はビジネス。俺は心の中で、ふざけるな、何が学校はビジネスだ。生徒は道具だ。ふざけるな、俺は心のそう思った後、いてもたってもいられず、急いで俺は聖神学園に向かった。聖王高校は、埼玉県の南部にある。聖神学園は、東京都にあるため電車で、50分の距離にあるのでそう遠くはない。俺は東京に着いた後直ぐに聖神学園に向かった。俺は、聖神学園に着いて直ぐ俺は理事長室に向かった。途中で警備員の人に、何者かと聞かれて生徒手帳を見せて通過して行く。そして、俺は理事長室の前に着いて勢いよく扉を開けた。理事長室で理事長は、まるで俺を待っていたのか
「いや~、よく来たね。山森君。私になんの用かな。」
そう尋ねて来た。俺は、心の中で怒りを抑えつつ、理事長に向かって、数枚の紙を叩きつけた。さらに俺は、学校でコピーしてきた、書類も叩きつけた。
「ここに、あんたが生徒にやった数々の悪事がある。これを俺が警察や、マスコミに公表すればあんたも理事長の椅子から降りることになるけどな。」
俺は、理事長に脅しをかけた。だが、理事長は俺が叩きつけた書類等を見てあろうことか、俺の目の前で、燃やしやがった。俺は、
「な、あんた何を?今あんたがしたこと分かってんのか!こんなことが許されると思ってんのか!」
俺が、そう怒鳴ると理事長は
「それが許されるんだよね。」
俺は言葉を失った。理事長はさらに続けて、
「日本政府も、私のやっていることには目をつぶってもらっていてね。それにね、日本政府から支援金も、貰っていてね。どんなに悪いことを、やっても罪にならないのでね。でも、君は勇敢だね危険を顧みずここに来れたことは、誉めて上げよう。でもそれは、無謀とでも言うべきかな。」
そう言ってきたが、俺は焦りを隠して、
「危険な目に合わないより、危険に合う方が好きなんでね。無謀とでも何とでも言え。俺は、あんたに負けない。」
そう言って理事長に俺は、退学届を出した。俺は気が付いたら、走って駅に向かっていた。俺は、埼玉県南部に帰ってくるやいなや、そのまま山戸川高校に向かっていた。山戸川高校に着いた俺は、事務室まで走った。そして俺は、事務室で転入届を出した。事務職の先生が転入届を受理した。その後、俺は簡単な手続きを済ませた後に、山戸川高校の制服についての説明を受けるとブレザーということなので、俺は聖王高校の制服ブレザーを使うことにした。それと、来週の火曜日にもう一度来て欲しい、そこで転入生として紹介すると、言われて俺は頷き家まで急いで帰る。
そして……────1年が立ち俺は、山戸川高校生徒会会長になっている。俺以外の生徒会メンバーは、副会長で俺の彼女の白岩涼子。彼女は、1学年の時の学年順位、全学年順位ではトップ3に入っていた。生徒会会員2学年の矢鳥美希と早織双子の姉妹で何か言う時も2人とも同じ事を言う恐るべし1学年の時の学年順位、全学年順位ではトップ10入りしている。そして、生徒会会長の俺山森健一。俺は1学年の時転入してきて、俺以外のメンバーも生徒会に推薦選挙で当選して入ることになり、そのまま会長職につくことになった。1学年の時の学年順位、全学年順位ではトップの成績を納めている。山戸川高校はもうすぐ、文化祭こと山戸川祭が近くなってきて学校中が、盛り上がっている。因みに現在7月上旬で学期末考査が終わって、もうすぐ控えている、生徒会推薦選挙。山戸川高校では、生徒会選挙は1学期末考査が、終わった後にやるため、生徒全員は1学期末考査まで勉強に、一生懸命になるが今年度のみ1年生を対象として推薦するため、2年生は生徒会メンバーに入ることができなくなった。1学年の時に生徒会に所属していたメンバーは、そのまま生徒会として活動できる。新生徒会メンバーの発表は、1学期の終業式の前日に行われる。その日は、学校に登校後直ぐに体育館に集まって、発表を待つことになる。現在の、推薦候補者の投票数は、副会長候補者鳥桧勝754票,山口賢446票、会員候補者薺楓418票,矢鳥龍312票,守崎梓127票,榊蒼203票,海東慧190票となっていて、発表まで残り1週間後と迫って来ている。因みに生徒会メンバーは当日の準備に追われていた。因みに、今回の学期末考査は、山森健一が学年順位、全学年順位でトップだった。それから2週間が過ぎて、山戸川高校生徒会推薦選挙の日がやってきた。全校生徒が体育館に集まっていた。朝から集まるため全校生徒は皆眠そうにしているが、中にはしっかりとしている生徒もいる。AM8:35になって遂に新生徒会メンバーの発表の時間になった。俺は生徒会会長として、新生徒会メンバーの発表をしなければならない。俺は、壇上に登ると女子生徒が歓声を上げて俺は、少し戸惑ったが軽く微笑んだ。俺は軽く会釈をすると、新生徒会メンバーの発表を始めた。
「それでは、これより新生徒会メンバーの発表を始めます。まずは生徒会会員から、薺楓さん,矢鳥龍君,榊蒼君,続いて副会長鳥桧勝君以上が新生徒会メンバーです。当選した4人の皆さんおめでとうございます。惜しくも当選できなかった3人の皆さん今後は山戸川高校の生徒として、行事等で活躍するのを楽しみにしています。それから、時々生徒会のお仕事を手伝ってもらうかも知れないのでよろしくお願いします。では、これで新生徒会メンバーの発表を終わりにします。」
俺は軽く会釈をして壇上から降壇する。その後、全校生徒の前で当選した4人の生徒会メンバーに、現生徒会メンバーから花束の贈呈をした後、全校生徒に向かって教師から、明日の終業式の時間等のお知らせがあった後解散となった。俺たち生徒会メンバーは、1度生徒会室に行きそこで新生徒会メンバーを歓迎した。この日の為に俺たちは、色々な準備をしていた。俺たちは1人ひとり自分の特技を披露して、新生徒会メンバーを迎えた。1学年薺楓,矢鳥龍,榊蒼,鳥桧勝,2学年矢鳥美希と早織,白岩涼子,そして俺山森健一全8名が新生徒会として活動を開始した。翌日1学期が終了した。俺たち、生徒会メンバーは明日7月24日から7月28日まで、山戸川祭の準備等で学校にくることを生徒会メンバーで確認した後解散した。俺は白岩と一緒に下校することにした。他の皆は、俺と白岩とは家の方向が違うので校門で別れた。因みに俺と白岩は付き合ってはいるものの、手も繋いだことが無ければ、キスをしたこともない。付き合いはじめて2年目になるのに、すると白岩が俺の腕に絡んできた。
「白岩………」
俺は、驚いていたが白岩は気にせずに俺の腕に絡んでくる。俺は、言葉が見つからないというかなにも浮かばないというか、だけど嬉しくないわけがない。俺は、そのまま歩いて行くことにした。途中白岩が、大通りに面しているウェディングドレスの仕立て屋を見つけて目を輝かせていた。俺は、少し恥ずかしかったけど、
「この右のドレス,白岩に似合うと思うんだけど。」
俺は、なんとなくそう言っていて隣の白岩が顔を赤くして、
「わ,私に、に,似合うかな。」
そう言ってきて更に顔を赤くした。俺は、軽く微笑んでいた。その後は、適当な会話をしている内に白岩の家に着いた。
「ごめんね、家まで付いてきてもらって。」
白岩は俺に頭を下げてお礼を言っているので、
「白岩…顔上げてくれないか?」
俺がそう言うと白岩が顔を上げた。更に言葉を続けて、
「俺は、別にお礼を言われることは、そのしてないし彼女を家まで送るのは、彼氏として当然のことだし、何よりも大切な人だから当然だよ。」
俺は、白岩にそう言っていた。すると
「ねぇ、明日の朝学校にい,一緒に行かない?」
白岩がそう言ってきたので、俺は白岩を抱きしめた。抱きしめると白岩が、
「ちょっと健一。」
そう言ったので、俺は白岩から離れ
「それじゃ、明日7時30分にここでいいか?」
と、俺が白岩に聞くと頷いた。俺は、白岩に軽く微笑んで家に帰ろうとしたら、白岩が近くにきて俺の頬にキスをする。キスはしたことがないが、こういうことはしている。俺は、
「白岩……」
俺は言葉が見つからなかった。
「それじゃ、明日7時30分にここで。」
そう言って白岩は、走って家の中に戻っていった。俺も、止まっていた足を進めて家に帰ることにした。それから4日間生徒会は山戸川祭の準備をして、後は各自のクラスの催し物、山戸川祭の担当係の仕事をすることになるので、生徒会の活動は山戸川祭が終わるまでは、活動はほとんどないことを伝えて準備をして解散となった。その後、夏休みでは俺と白岩は時々デートに行ったりした。夏休みが終わって2学期始業式があった。その後は、クラスの催し物の準備をして解散となった。そんな日を繰り返して、山戸川祭の日を迎えた。
山戸川祭のことはまた別の話なので、いずれ話すとして2学期も中間に差し掛かった頃山戸川高校に高校生と思える姿が100名程、山戸川高校のグラウンドに入ってきた。俺は、グラウンドに入ってきた100名の高校生を見て教室から飛び出して、グラウンドに向かった。健一がグラウンドに出ると、全校生徒が教室の窓からグラウンドを見ていると、100名の高校生の前に1人で立っている生徒がいた。それは、健一だった。白岩は、グラウンドに1人で立っている健一をずっと見続けている。
「あんたら、一体何しに来た!何が目的だ!何のためにここにいる!」
健一は、全校生徒に聞こえるぐらいの大きな声で喋っている。それに対して、100名の生徒の1番前にいる生徒。恐らく、生徒会会長と思われる男子生徒は低く良く通る声で、
「私たちは、聖王高校生徒会及び成績上位のメンバーです。私たちは、貴方に用があって来ました。」
男子生徒は、そう言って軽く頭を下げた。
「聖王高校の勝ち組が俺に何の用ですか?」
俺は、その男子生徒に負けず劣らず反論する。俺の反論に対してその男子生徒は、
「いや、実は理事長から貴方を連れてくるように言われていて、それで貴方を連れて行く為に来たわけだ。どうする?」
男子生徒は、健一に尋ねる。それに対して、健一は
「もし俺が断ったらあんたらどうするんだ。」
その言葉に対して男子生徒は、
「それは、もう力づくでも連れていくしかないけどな。」
男子生徒は、俺が用件を否定すれば力づくで無理やりにでも俺を連れていくだろう。だからといって俺だって、簡単には引き下がらない。だから
「嫌だね。あんたらの言う通りにはしない。力づくで連れていくなら、力づくで連れていけばいい。俺も力づくで抵抗しよう。あんたら100名に対して、こっちは1人でいい。」
俺は、男子生徒に対してそう言っていた。
「そうかい、それじゃあ力づくで連れていかせてもらうよ。」
男子生徒が、そう言うと全員で俺を取り囲んだ。100名ともなると流石に脱出する隙はない。だけど、脱出する気はない。はじめから、全員倒すつもりだからだ。
「ところで、あんたの名前は?」
俺は、男子生徒に問いかけた。
「私か?私の名前は、漣劔です。」
男子生徒は、漣劔と名乗った。それに対して俺は、
「山森健一だ。」
そう名乗った。男子生徒─漣劔─は、口の端を上げ不適にも笑みをこぼした。俺は、その不適な笑みに対して自然に同じような笑みを返していた。そして、漣劔が指を鳴らすと健一を取り囲んでいた生徒が一斉に、健一に飛び掛かったが健一は全員の拳による攻撃を予測しているのか、必要最小限の動きで回避していく。健一は、ずっと回避しているわけではなく、多少の反撃をしているがほとんど相手に効果がないように見える。しかし、それは健一の拳による反撃が速すぎるために、当たっていないように見えるだけで、100名いた生徒の3割は倒れていた。
「くっこのままでは埓があかない。お前ら、分散して攻撃だ。」
漣劔が他の生徒に指示を出して攻撃方法を変えた。けど、健一に対してはそんなもの無意味だった。健一は必要最小限の動きで回避して、相手が隙を見せては拳を当てていた。そんなこんなで既に100名いた生徒は8割倒れていた。
「くっ、どうするお前ら。」
漣劔は、残りの生徒に問いかけると1人の生徒が、
「漣会長、全員で分散するよりここはもう全員で正面から、当たるしかないと思うけどね。どうします?」
漣劔に問いかけていた。漣はその生徒の問いかけに頷いて、全員で正面から健一に向かった。けれど、健一は残りの全員の動きに集中して、攻撃を予測していたので健一は信じられないスピードで、正面から向かって来た生徒の後に回り込んで、最小限の動きで攻撃を当てた。軽い衝撃が、漣劔たちを襲った。
その後、しばらくの間漣たちは動くことも喋ることが出来なかったが何とか喋れるようになると、
「いや、強いね。まぁ、いきなり押し掛けたりして悪かった。まぁ、もうそろそろ帰るよ。でも、その前に──」
漣は周りの生徒を見渡すと、周りの生徒は漣の視線に頷いて、
「貴方に言っておくことがある。この情報を信用するか、しないかは貴方の自由です。聖神学園の理事長は、裏でもっと恐ろしいことを考えていてね。その内容は、今ここにいる全員は知らないが1部の生徒たちは知っている。というか、正確に言うと理事長が裏でやっていることに協力していたからね。」
漣は、普通に健一に大事なことを伝えている。健一は
「あんたらは──いや、漣たちはその計画に協力してたのか。」
漣にそう問いかけた。すると、
「私たちは──僕たちは、理事長の計画に1時的に協力していたけど、その計画に気付いた後に僕は僕と同じ考えを持つ生徒たちを集めて、全国の高校の生徒会会長と話をしたりして協力を求めているんだ。でも、中々皆協力してくれなくてもしかしたら君が──健一君が僕たちに協力してくれれば全国の生徒会会長も協力してくれると思うんだ。どうかな?」
漣は、理事長の計画に協力していないどころか全国の生徒会会長に協力を求めていた。健一は、
「その前に健一君はやめて欲しいな。一応同い年だよな。」
漣にそう問いかけた。
「う~んなんて呼べばいいかな。」
そう困っているので、
「健一。健一でいいさ。漣。」
健一はそう言った。
「わかった。よろしくね、健一。」
漣は、そう言った。健一は漣に対して、
「それより、何で俺が漣たちに協力すれば全国の生徒会会長たちが協力するんだ?」
そう問いかけていてそれに対して漣は健一に
「いや、実はさ全国の生徒会会長たちから条件を出されてね。その内容がさ、山戸川高校の生徒会会長山森健一が協力するのであれば、協力する。というわけで全国の生徒会会長が口を揃えてそう言ってきてね。協力してくれないかな。」
漣のあまりにも、信じられない内容に健一は驚きというより、言葉が見つからなかった。すると健一の後に申し訳なさそうに立つ女子生徒がいた。健一は後に気付いて、
「白岩……何してるんだ?」
健一の問いかけに対して、
「えっと、あの、その、健一のことが心配で、教室から急いできて、その、えっと、心配で、心配で、心配したんだから!」
そう言って白岩が俺に抱きついてきた。俺は、一瞬何が起きたか分からなかったけど、目線を下に向けると、白岩涼子が俺の大切な彼女が俺の胸に顔を埋めて泣いていた。
「白岩……ゴメン。」
俺は、そう白岩に言ったがまだ俺の胸に顔を埋めて泣いている。その光景を見て、漣たち少し笑っていた。
「2人は、付き合ってるの?」
漣が不意に俺に質問をしてきた。俺は顔が熱くなるのを感じて頷いていた。
「あ、その、白岩そのもういいか?」
俺は、俺の胸に顔を埋めて泣いていた白岩に尋ねると、白岩は顔を上げて目を赤く腫らしていてまだ少し嗚咽しているが、笑っていた。
「漣、その協力の件だけど協力させてもらうよ。」
俺は、漣にそう言った。すると、
「そうだよね。協力してくれるわけないよね………」
「「ってえええええ!」」
漣をはじめとした聖王高校の生徒たちは驚いてしまった。それに対してどうにか落ち着いた、漣が
「いいの健一?そんな簡単に決めていいの?」
そう俺に尋ねると、
「俺が決めたことだ。全国の生徒会会長たちの力が必要なんだろ。それには、俺が協力しないと彼らも協力してくれないんだろ?そんなことがなくても、俺ははじめから協力するつもりだよ。」
俺はそう漣に伝えて微笑んだ。漣は、
「うん。わかったよ。じゃあこれから全国の生徒会会長のところに行って伝えてくるよ。」
そう言って漣は、99名の生徒に指示を出した。それから、携帯を取り出して何処かに電話をして何かを話し終えると、俺と白岩の方に向くと
「今、僕たちと同じ考えを持つ生徒たちに連絡して直ぐに全国の生徒会会長たちに知らせるように指示したから、明後日10月25日土曜日には全員集まるから2人も来てくれる?」
漣はそう言った。俺は隣の白岩を見ると、俺を信頼してそっと腕に絡んでいる。
「わかった。じゃあ明後日10月25日土曜日にまた会おう。」
俺は、漣にそう伝えた。すると、
「明日時間と場所については、連絡するからメールアドレス交換してくれる?」
漣は、携帯を出してきて俺も携帯を出してメールアドレスを交換した。漣は俺と白岩に軽く会釈して、足早に駆けていった。俺は隣の白岩の顔を見て、
「何だか子供みたいな奴だな。」
そう言って白岩は
「うん。そうだね。でも、芯が通ってるいい子だね。将来私たちに子供が出来たら、あんな風に育つのかな?」
そう言うと、自分が何を言ったのか驚いて白岩は顔が熱くなった。
「そうだな。ああいう風に育ってくれたらいいな。でも、それは今の俺たちにとってみれば、まだまだ大きな壁が立ちはだかってるからな。」
俺は、そう言っていた。隣の白岩が、俺の顔を見て微笑んだ。俺にとってみれば、どんなものより白岩の笑顔が大切だ。俺は、この大切な彼女の笑顔を守ろう。そう心の中で誓った。俺が、かつて守れなかった幼なじみのために。その翌日漣から連絡があり、時間と場所が決まったそうだ。時間はAM10:45に東京駅の近くのレストラン『ドゥトゥレット・レルス・メイト』に決まった。因みに、このレストランは時々山森家が行くレストランだった。そして、翌日10月25日AM8:25白岩家玄関前。
「お~い。白岩まだか?」
男の子の声が聞こえる。その声の主はわかっている。私は玄関のドアを開ける。
「ごめんね。準備に時間掛かっちゃって。」
私は、目の前にいる身長は172㎝はある男の子に謝っている。その人は、私の大切な彼氏の山森健一。今俺の前で頭を下げて謝っているのは、俺の大切な彼女の白岩涼子。
「まぁ、女の子は色々と準備が大変なのはわかっているから。」
俺は、白岩にそう言いさらに言葉を続けて、
「さてと、そろそろ行こうか。寺坂が待ってるから。」
今、白岩家前に停まっているリムジンの前でこっちを見ている男の人は、寺坂拓斗36歳で山森家の執事としては10年と働いていてベテランの1人に入る。俺の執事になったのは、ちょうど10年前で俺が6歳の時だった。つまり、10年前に働きはじめた頃からの一緒にいた。俺は白岩が差し出した手をとってエスコートする。俺と白岩がリムジンに近づくと寺坂が後のドアを開けたので、俺は白岩に先に入るように促す。白岩は、ゆっくりと乗り込む。俺と付き合い始めた頃は、遠慮がちだったが今では白岩の家にも、リムジンが1台あるので乗りなれている。俺は白岩が奥まで行ったのを確認して乗り込む。俺と白岩が乗り込むのを確認すると寺坂はリムジンのドアを閉め運転席に乗り、発進する。向かう場所は東京駅。およそ、1時間30分程で着き寺坂が後のドアを開けたので俺は先に降りて、白岩に手を差し伸べた。その手を白岩が軽く握るとゆっくりと奥から降りてくる。白岩が降りるのを確認すると寺坂はドアを閉める。俺は寺坂に向き直り、
「ありがとな。多分、2,3時間は戻ってこないからどこかで朝食と昼食をとっているといいよ。」
そう言うと
「いえ、健一様。その様なことをしては旦那様に怒られてしまいますので…」
寺坂は俺にそう反論するけど、
「大丈夫だよ。父さんには俺の方から言っておくから、寺坂は気にしないで行ってきなよ。」
俺は寺坂にそう言い、
「判りました。健一様がそう仰るのであれば、行ってきます。」
寺坂はそう言い俺は軽く頷くとリムジンに乗り、何処かのレストランに向かっていった。俺は白岩の手を握って歩き始めた。白岩は、一瞬びっくりしていたけど、直ぐに手を握り返し歩いていく。俺たちは連絡できていた、レストラン『ドゥトレット・レルス・メイト』に少し早くついたが、既に漣は椅子に座って待っていた。
「早いな。何時ごろについたんだ?」
俺の問いかけに、
「いや、このお店ね。実は家が経営しているお店で、ここのオーナーが家の父さんだから送ってもらったんだ。」
因みに言うと、漣劔の家は俺と同じで漣財閥の御曹司だ。山森財閥が機械工業に対して漣財閥は商業やホビー等の会社を経営している。このレストランはその1つだ。
「まだ他の皆は来てないのか?」
俺が、漣に尋ねると
「うん。まだ集合時間まで、20分はあるからね。まぁ、九州と北海道の生徒会会長は遅れるからテレビ電話での会話になったけど、他の皆はこっちに来てくれるから。」
漣はそう返答して、俺は時間を確認して自分の名前が書かれたカードが置かれている席に座った。10分が過ぎて、続々と生徒会会長と思わしき人たちが集まってきた。中には見たことのある奴もいた。集合時間になると、全ての生徒会会長が集まった。俺は心の中で、凄い光景だな。俺がいて平気かな。と、俺は思った。そんな男の生徒会会長の中に唯1人女の子がいた。しかし、その目つきの鋭さは狙った獲物は必ず仕留めるといった目つきだ。それと、周りの人は敵と見えた目つきだ。
「さてと、時間も時間だからそろそろ話しでも始めようか。」
漣がそう言うと全員の視線が俺の方に集まる。俺は、一瞬背筋に冷たいものを感じた。
「まずは、軽く自己紹介から行こうか。じゃあ初めは、北海道の生徒会会長からお願いするね。」
漣がそう言うと北海道の生徒会会長は1人1人自己紹介をした。九州までの生徒会会長の自己紹介が終わり、まだ自己紹介をしていないのは聖王高校の漣劔と山戸川高校の俺だけだった。
「えっと、まだ自己紹介してないのは僕と健一だけかじゃあ先に僕が自己紹介しよう。漣劔。聖王高校の生徒会会長です。さあ、健一の番だよ。」
俺は、漣に促されて
「えっと、や、山戸川高校生徒会会長の山森健一です。よろしくお願いします。」
俺は、簡単に自己紹介した。
「それじゃあ、そろそろ本題に──」
漣がそう言いかけた時、
「ちょっと待て漣。そこの、山森の隣にいる女の子は誰だ?」
先ほど自己紹介をした、長野県の生徒会会長名前を確か四ッ谷徳といった奴が漣に質問をする。
「ん、ああこの女の子は──」
俺は、漣がその先を言うのを右手で制止して、
「白岩涼子。俺の彼女だ。」
そう言うと、白岩の顔が耳まで真っ赤になった。質問をした四ッ谷徳が、なるほどといった感じの顔で頷いた。
「さてと、そろそろ本題に入るけどいいかな。」
漣の、一言に全員頷く。
「まずは、現状から説明します。現在は、ここにいる全生徒会会長…健一を除いた生徒会会長の大切な彼氏彼女が人質として、聖神学園の地下に囚われている。そこの警戒網はかなり厳重で何度か、救出しようと試みたけどそのほとんどが、失敗しています。なので、現在の状況では救出する術がありません。唯、聖神学園理事長の計画については、ある程度わかっていますので話そうと思います。」
漣は、1度水を一口飲み再び話し始める。
「現在、聖神学園理事長が進めている計画ですが、わかっている情報では聖神学園による、日本の全高等学校5992校の掌握です。中には、掌握されないように反抗する高等学校が現れる前に聖神学園理事長は、全高校の生徒会会長の大切な人たちを人質に取って動けないようにしました。しかし、山戸川高校の生徒会会長……つまり健一の彼女である白岩涼子さんのみ人質に囚われていません。」
漣は、そう言うと俺の方をちらっと見て俺に話しをしてくれ、と目で頼んでいる。仕方がなく俺は、漣の代わりに話そうとすると
「私を聖神学園の理事長さんが、人質に取れないのは私のパパの知り合いに現警視総監の山川久志さんがいて、手が出せないのと健一のお義父さんが政界にも顔がきくので手が出せないんだと思います。」
俺の隣に座っている白岩が周りの生徒会会長にそう言っていた。俺を含めた生徒会会長はその言葉に固まっていた。固まっていた俺たちの先陣を切って、
「つまり、そういうことだよ。だから、僕たちは何があろうと健一と白岩さんを守らなくてはいけない。しかし知り合いに警視総監がいても油断は禁物だからね。さて、僕たちが集めることができた情報はこんなところだ。皆もそろそろお腹空いたよね。お昼にしよう。」
漣がそう言うと北海道と九州の生徒会会長はテレビ電話からだったので俺たちに手を振り電話を切った。その後俺たちは昼食をとり生徒会会長たちと色々と情報交換をした。途中で白岩が先ほど言った言葉に驚いて泣いてしまって、周りの生徒会会長たちの目の前で白岩を宥めるが、中々泣き止んでくれないので俺は白岩を抱きしめることになってしまった。白岩は俺の胸に顔を埋めて泣いていた。俺は、白岩の頭をそっと撫でてあげる。その様子を見て、周りの生徒会会長たちは微笑んでいた。まるで、自分たちも前はそんなことをしていたかのような目をしていた。その後、俺たちは昼食をとり終わり解散となり、俺は生徒会会長たちとメールアドレスを交換した。全部で、5991名分のメールアドレスと。その後俺と白岩は東京駅まで手を繋いでいった。その後リムジンに乗り埼玉県川越まで帰った。帰りの車内で白岩は疲れたのか、こっくりこっくりとしていて俺の肩に頭を乗せて寝てしまった。俺は、そっと手を回して頭を撫でてあげる。その後白岩の家に着いたが、ぐっすりと寝ているので俺は白岩をお姫様抱っこで玄関まで連れていき、インターフォンを鳴らすと中から白岩の母親が出て来てくれた。俺は、軽く会釈すると、白岩の母親は俺を家の中に招き入れて白岩を部屋まで運んでいった。俺は白岩をそっとベットに寝かせて、風邪をひかないように布団をかけてあげた。俺は、白岩の母親に挨拶して帰ろうとすると白岩の母親が俺に小さな小箱を渡してきて俺は、何かわからなかったが受け取り母親に挨拶をして白岩家を後にする。まさか、この時手渡された小さな小箱が1年前から始まっていたことを、終わらせる大切な鍵であることを俺は、知らなかった。それからは、時々漣からメールで連絡が来るがほとんど変わったことはなく、そのまま1ヵ月半が過ぎたころ漣から緊急のメールがきた。その文面が『理事長が動き始めた。1度どこかで会えないかな。もちろん今回は僕の方の生徒会メンバーと健一の方の生徒会メンバーだけで。日付は、クリスマスイブの前日でいいかな。空いていたら、返信をお願いします。』と送られてきて、俺は急いで白岩と一緒に生徒会メンバーの教室にいき、12月23日の予定を聞くと全員が何も予定がないということなので、俺は漣に返信のメールを送って直ぐに返信がきた。『わかった。場所は川越駅前のレストランで。』そう返ってきて、俺は『了解』とメールを送って生徒会メンバーに場所を伝えた。そして12月23日川越駅前の某レストラン一室。山戸川高校と聖王高校の生徒会メンバーが揃った。
「ごめんね。クリスマスイブの前日に呼び出して。どうしても、早く伝えなきゃいけなくて。」
漣が頭を下げて謝っている。
「それより、あのメールに書いてあったことは本当か?」
俺は、漣に顔を上げさせて質問をする。
「うん。本当だよ。時間もないから、簡単に今わかっていることを言うよ。」
漣は、俺たちの顔を1度見てから話しを始めた。
「現在、理事長は全ての準備がほとんど終わって、来年の2月に行動に移る。」
漣がそう言った後に
「でも、まだ行動するまでは時間があるのか?」
俺が、そう質問すると
「ほとんど無い。ただし、理事長が行動に移る瞬間ならなんとかなると思う。」
漣はそう返して、
「それと、日本全国の高校5991校の生徒会の方も僕が、指示しておいた準備が終わったから行動に移れるよ。」
そう言った。俺は、
「もし、その準備しておいたことが失敗したらどうなるんだ?」
俺の質問に対して漣は、
「何もかもが終わり。そして理事長に日本全国の高校が掌握される。」
俺を除いた山戸川高校の生徒会メンバーは開いた口が塞がらなかった。俺の隣にいた白岩が俺の膝に手を置く。その手は、震えていた。俺はそっと、その上に自分の手を置いた。
「つまり、来年2月に阻止できないと全てが終わり俺たちは、理事長の指示に従わざるえないわけか。だから、必ず成功させる。」
俺は漣にそう言うと漣は頷いた。
「うん。健一の言う通りだ。だから、僕たちはここに反・聖神学園連合を結成する。後参加していないのは、山戸川高校だけなんだけどどうする?」
漣の問いかけに対して、俺は山戸川高校の生徒会メンバーの顔を見ると皆俺の言葉を待っている。だから、
「俺たち、山戸川高校も参加する。反・聖神学園連合に。」
俺がそう言うと、
「ありがとう。1つ言っておくけど、2月はほとんど学校にいけないけどそれでもいい?」
漣の言葉に俺たちは黙って頷いた。その後俺たちは他愛もない話しをして解散した。その帰り道白岩が、俺の服を掴んで震えていた。
「嫌だよ。私、進路先を勝手に決められるの。私は、健一の側にずっと居たい。だから、必ず成功させよう。」
白岩は、そう言ってもまだ震えていた。俺は、そっと白岩を抱き寄せて
「俺だって、同じだ。進路先を勝手に決められるのは。俺だって、白岩の……涼子の側に居たい。」
俺は、そう言って涼子を抱きしめている腕に力を入れる。涼子は、俺の胸に顔を埋めて嗚咽を漏らして泣いている。しばらくして、泣き止んだ涼子は軽く俺に微笑んでくれた。すると涼子は、目を瞑って顔を差し出してきて俺は、そっと優しく涼子の唇に自分の唇を重ねる。これが、俺と涼子にとって初めての正式なキスだった。時間にして、ほんの10秒ほどだったけどそれだけでもお互いの気持ちが、通じたんだから。それから、半月が過ぎて1月15日日曜日。俺と涼子は、近くの河川敷に来ていた。
「懐かしいな。あの日以来、来てないからな。」
俺がそう言うと、隣で俺の肩に頭を乗せている涼子が、
「うん。でも1つだけ違うのは、あの日と違って私たちは、相談相手じゃなくて恋人同士だよ。」
そう言って俺の肩に乗せていた頭を上げて、上を向いて寝転んだ。俺も、その隣で寝転ぶ。すると、涼子が近寄り俺の胸のところに頭を乗せてくる。
「健一の音が聴こえる。」
俺はそっと涼子の頭を撫でる。それから、俺たちは30分ほどそうしていた。日も傾き始めたので、俺は涼子を家まで送っていくことにした。けど涼子はそれを拒んだけど、俺は
「漣に言われてるんだ。必ず涼子を守れって。」
その言葉に涼子は赤くなったが、頷いて俺の腕に絡んできた。俺は、涼子を家まで送っていった。そして、2月に入り漣が言っていた通りほとんど学校にいけないことを校長に言うと、
「理由は、聞かないよ。けれど、8人全員が必ずこの高校に戻ってくることを待っているよ。皆成績優秀だから、進級できるようにしておく。行ってらっしゃい。」
校長はそう言い俺は
「必ずここにいる8名全員で戻ります。だから、行ってきます。」
そう言って、校長室を後にして急いで集合場所である東京ステーションホテルのスイートルームに向かった。俺たちが到着すると、既に日本全国の高校の生徒会メンバーが揃っていた。
「やっと、来た。これで全員揃ったね。」
漣の言葉にここにいる5993校の生徒会メンバーは頷いた。
「僕たちは、これから聖神学園に乗り込むんだけど今は、警備が厳重で侵入は不可能なんだ。でも3日間だけ、警備態勢が解かれるからその隙に乗り込んで人質として囚われている5992名の大切な人を全員救出して理事長の計画を潰す。それが、最終目的。でも、人質として囚われている5992名さえ救出できれば5992名の生徒会会長が動けるから、この救出には山戸川高校の生徒会に一任します。」
漣が、そう言うと5992名の生徒会メンバーの視線が俺たちに集まる。その視線から、俺たちは失敗はできないと悟った。
「えっと、まぁ、必ずここにいる5992名の大切な人を必ず救出してみせます。」
俺は、そう言っていた。心の中で、もう後戻りはできないな。と、思った。俺は苦笑いしていた。
「漣その3日間ていつからだ。」
俺は、漣にそう言うと、
「うん。その3日間ていうのは2月13日~2月15日までの3日間のことだよ。」
そう言われて、皆の目から必ず計画を潰す。という目付きを感じた。俺は、そっと目を瞑ると涼子の手が俺の手の上に重なる。俺は、隣の涼子を見ると微笑んでいた。俺は空いていた右手をその上に重ねた。
「さて、明日は救出チームと陽動チームを決めよう。今日はここまで、また明日。」
漣がそう言って今日は解散となった。俺たち山戸川高校生徒会メンバーの部屋は、聖王高校生徒会メンバーの605号室の隣の606号室だ。俺たちは、部屋に入るや否やベットに横になった。俺は、一息ついてベランダに出た。
「……………」
俺が、夕暮れの東京を眺めていると部屋からそっとベランダに涼子が出てきて、
「どうしたの?」
俺に話しかけてきて
「ん、ああ。本当に俺たちに5992名の生徒会会長の大切な人を救出できるのかな~って思ってさ、ほんの少しだけ怖いんだ。もし、失敗したら全てが終わりでもう何もできないんだって思っちゃって、怖いんだ。」
俺は、初めて自分の弱いところを見せた気がする。涼子は、俺にそっと近寄り俺の肩に頭を乗せてきて
「皆同じだよ。私も、他の生徒会メンバーも。皆同じ事考えてる。1人じゃない仲間がいるんだよ。大切な仲間が。」
そう言って笑ってくれる。俺は、それを見て前に誓った事を思い出した。俺は誓ったじゃないか。俺の大切な彼女、白岩涼子の笑顔を守るって。だから、
「なぁ、涼子。」
俺が、そう言うと
「何?健一。」
涼子は笑顔で俺に尋ねてくる。
「この一件が解決したら、涼子に聞いて欲しいことがある。」
俺はそう言うと隣の涼子は、頷いてくれた。俺は、必ず言うんだ。涼子にあの一言を。そう誓った。翌日に、救出チームと陽動チームを決めた。救出チームは、山戸川高校を入れて僅か22校プラス聖王高校の生徒会メンバー5名を入れて少数精鋭での救出となり、残りの5970校プラス5名が陽動チームとなりその後チームごとに当日の計画を決めた。そして、2月13日。ついに、聖神学園に乗り込む日が来た。全員の準備は万端だ。後は、PM5:55になるのを待つだけだ。そして、PM5:55になり俺たちは陽動チームの合図があるまで待機。陽動チームがある程度聖神学園の警備を引き付けたところで、突如空に白い閃光が見えた。突入の合図だ。俺たち救出チームは、聖神学園に侵入後は、警備に引っ掛からないように慎重に地下に降りていく。俺たちは地下について、人質のいる部屋の鍵を開け直ぐに地下から脱出する。俺たちは脱出したことを、空中に向かって閃光玉を投げた。空に赤い閃光が見えて僕たちは引き付けていた警備部隊を押し返して聖神学園に正面から侵入する。俺たちは救出した人質、日本全国の生徒会会長の大切な人を外に用意しておいた。リムジンバスに乗せ、10校の生徒会メンバーを残して12校プラス5名を連れて、聖神学園に侵入する。その後は聖王高校と7校の生徒会メンバーが、聖神学園生徒会執行部の部屋にいくときに俺は、小さな小箱を手渡した。残りの4校は聖神学園の警備部隊を警戒して、各方面に散らばった。俺たち山戸川高校生徒会メンバーは聖神学園の理事長室に向かった。俺たちが理事長室に入ると、漣をはじめとした生徒会会長たちが倒れていた。皆死んではいないが、全員気を失っている。
「山竝證。俺は、あんたを許さない。あんたは、俺が。俺があんたを刑務所に招待してやる。」
俺がそう言うと、
「へぇ~、でも君には無理だよ。私には、警察に知り合いがいてね。例え捕まっても、直ぐに釈放されるからね。どんな、証拠があっても意味がないよ。私は捕まらない。」
山竝證がそう言うと
「悪いけど、あんたは捕まる。あんたの知り合いは、機密情報漏洩及び公務執行妨害その他諸々の容疑で逮捕された。つまり、あんたが捕まっても誰もあんたを助けてくれる人はいない。神妙にお縄につけ!」
俺はそう言ったが
「くっくっくっあははは。私が捕まる?残念だったね。私は捕まらないよ。なぜなら、今ここにいる君たちはここで死ぬんだから。」
山竝はそう言って俺と涼子を除く生徒会メンバーを突き飛ばした。さらに、俺の横にいた涼子が突き飛ばされた。そして、俺も突き飛ばされた。俺は、なんとか空中で受け身を取り、態勢を立て直して涼子の下へ走る。
「大丈夫か?涼子。」
俺がそう涼子に尋ねると、
「うん。大丈夫。」
そう答えてくれた。幸い大きな怪我はなく軽い捻挫をしていた。他の生徒会メンバーは、倒れているが気を失っているわけではなく膝を付いている。すると、
「健一、後!」
涼子の叫びに反応すると背後から山竝の背面蹴りが迫って来るのを感じ、俺は後を振り向かずにその蹴りを右腕で受け止めた。俺は、右腕に力を入れて押し返した。山竝が後方に下がった。俺は立ち上がり後を振り向いて、
「どうした?山竝證理事長!その程度か!」
俺は山竝にそう言って山竝の懐に潜り込み、左アッパーと見せかけて右アッパーを山竝の顎に打ち込んだ。その反動で後に飛んだが、空中で受け身を取り俺に左フックを打ち込んできたが、俺はそれを避けてそののままの勢いで回転蹴りを山竝のみぞおちに蹴り込み、さらに怯んだところに飛び膝蹴りを打ち込み、俺は空中で1回転して山竝證理事長の脳天にかかと落としををして、最後に俺は右ハイキックを山竝證の左頬に蹴り込んだ。山竝證はそのまま壁にぶつかり気を失った。ところで倒れていた生徒会会長たちが起き上がり、「終わったのか?」と口々に言っていた。俺は、疲れて床に座り込んだ。俺の下に、涼子が駆け寄ってきて俺の右腕に飛び付いてきた時、俺は右腕に違和感を感じた。俺は、左手でそっと右腕を擦ると激痛が走り俺は、
「うっぐっ右腕が…」
俺の様子がおかしいのを見て、涼子が
「どうしたの?」
と俺に尋ねてきたが、痛みに耐えることに夢中な俺は、涼子の質問に答えられなかった。その後、理事長室に警察が乗り込んで、山竝證29歳は逮捕された。警察の話しによると向こう先20年は刑務所から、出てこれないらしい。例え、出てきたとしても社会復帰するのは難しいだろう。救出された5992名の人たちは、検査のため1度病院に運ばれるらしい。でも、さすがに5992名分の救急車は用意できないため、山森財閥と漣財閥の超大型のリムジンバス40台で送ることになった。病院の場所は東京にある病院だ。俺も、右腕に違和感があったので一応病院に向かった。病院での診察の結果重度の打撲と診断された。病院の先生は、「その怪我で打撲ですんでいるとは、信じられない。もう少しでひびが入っていたよ。」と言っていた。俺は、診察室から出ると涼子が診察室前の椅子で眠っていた。俺は、そっと涼子に近寄り左手でとんとんと軽く肩を叩く。涼子は、顔を上げて俺の顔を見て驚いていた。俺は、苦笑していた。
「さてと、そろそろ帰る?」
俺がそう尋ねると
「さっき、漣君が来て病院の入り口で待ってるって。」
涼子はそう言って俺の左腕に絡んできた。俺は涼子に引っ張られて、病院の外に出ると11984名の人が俺と涼子を出迎えた。俺が、戸惑っていると涼子が、
「ねぇ、今日って何の日?」
俺に尋ねてきた。
「今日は2月13日だろ。何かあったっけ?」
俺の答えに対して
「今は、AM5:35だよ。何の日?」
涼子はそう言ってきて、
「あっ、今日はバレンタインデー……」
俺がそう言うと、
「うん。でもチョコ作ってこれなかった…2年間作ってあげられたのに、今年はごめんね。」
そう言って涼子は頭を下げて謝るけど
「別にいいよ。今年は色んな事が起きたから仕方がないよ。」
俺がそう言うと涼子は、顔を上げて
「でも今年は、チョコじゃないものが貰えるんでしょ?健一から。」
涼子がそう言うと俺は顔が赤くなるのを感じた。涼子が言って欲しいのは、あの日の事だろう。俺は一息ついて、
「そうだな。今年は俺からのプレゼントだ。白岩涼子に、伝えたい言葉があります。」
俺がそう言うと、周りを11984名と病院の院長をはじめとした諸先生方、看護師の方々、病院に来ていた患者の皆さんとその家族が俺と涼子を中心にして、取り囲むんで辺りは静かさに包まれる。東から朝日が昇ってきて涼子を後から照らす。朝日に照らされた涼子は、いつもより綺麗に感じた。そして、
「俺は、白岩涼子にこれから先どんな時でも、側に居てほしい。だから、俺と家族になって欲しい。」
俺がそう言うと、涼子は眼から涙溢すけどその涙は悲しい涙ではなく、幸せ、喜び、嬉しさの涙だった。涼子は、俺に飛び付いてくる。俺は左腕で涼子を受け止める。周りを取り囲んでいた沢山の方々が俺と涼子に祝福の拍手を送ってくれる。その後俺はお世話になった、病院の方々と病院に来ていた患者さんと家族にもお礼を言って、病院を後にして俺たちはまず東京駅に向かう。そこで北関東組と関西組と東北組と別れた。いつの日か、再会をすることを誓って。その後は成田空港に向かう。そこで、北海道組と九州組と別れた。再会を誓って。そして俺たちは、埼玉県の川越に戻りそして聖王高校のメンバーと別れる。まぁ、近いうちに俺たちはまた会うだろう。聖王高校のメンバーはこれからが大変だろう。聖神学園の理事長が逮捕されて、聖神学園が再び有名になるのはこれから8年後のことでもこれは、また別の話。その後俺たちは山戸川高校に戻る。時間にしてAM10:25もう直ぐ授業終了だ。俺たち、山戸川高校生徒会メンバーは校長室に向かい、今回の事の顛末を話した。そして、それから1年と半月が過ぎて、俺たち3年生は卒業式を迎える。中には、皆と別れるのがいやで泣くものやこれから先に希望が溢れて胸を張るものそれぞれの進路先に向かって、歩いていくだろう。俺は、卒業式で卒業生代表として、壇上で話すことになった。
「卒業生の皆、確かに悲しいかもしれない。でも、ここは、別れる場所ではなく、旅立ちの場所。終わりではなく、始まり。俺たちは、今ここから飛び立って行く。いつの日か逢えることを信じて。在校生にとっては、学校が静かになります。俺たち3年生がいなくなるので、いつも聞こえていた俺たちの笑い声、部活動で先輩として厳しくする姿、相談に乗ってくれた先輩、いつも学校をより良くしようと頑張ってくれた生徒会の人たち、今俺たち3年生はこの山戸川高校から旅立ちます。明日に向かって。」
俺はそう言って、壇上から降壇する。
──────それから7年後、俺は父さんの跡を継いで山森財閥の代表取締役になった。5年前俺は、白岩涼子と結婚して3人の子供に囲まれて生活している。あの日の事は、今でも忘れないだろう。俺はあの冬の出来事は忘れないだろう。卒業式の後俺は5992名の生徒会会長に連絡をとった。皆、無事に卒業できたらしい。それと、3年前の結婚式にはあの日のメンバー11984名と病院の院長をはじめとした諸先生方、看護師の方々を招いた。俺と涼子にとっては、最高の思い出になった。その後時々漣財閥代表取締役の漣劔と会うことがあるが、機会があればいつか話そう。
「さてと、そろそろ行くぞ。」
俺がそう言うと奥から5才になる娘の結愛と4才になる息子の龍一が、走って来る。その後から、昔と変わらない美しさを持ちやって来るのは、旧姓白岩涼子。現在は山森涼子。俺の大切な家族の1人だ。胸の前で、抱いているのはもう直ぐに2才になる甘えん坊の健汰だ。俺たち家族はこれから、千葉にある遊園地に行くところだ。その話もいつか話そうと思う。俺たち家族は幸せな日々を送っている。
─────早く行こうぜ。涼子。
─────待ってよ。健一。
─────2人とも慌てすぎだよ。
─────何言ってんだよ。漣あんたが一番はしゃいでいただろ。
─────それは、そうだけど。
─────何してんの。劔。早くいこう。
─────わかったよ。雪。待ってよ。2人とも
─────早くしろ。間に合わないだろう。
─────早く。早く。
青空に4人の高校生が走って行くのが見えた。昔の俺たちに見えた。───────────
道はどこまでも繋がっていく。明日があるかぎり。人は誰かに支えられている。人は誰かを支えているどこかの誰かを。だから、明日に繋がる道は続いていく。
明日に繋がる道やっと完成しました。5日間かかってできました。この作品には、高校生が日本を救うといった感じの仕上がりです。本当に、現実でもこんな事件が起きたら、大変ですよね。1つの学園による日本の高校の掌握、簡単に言えば支配ですよね。こんな事件起きてはほしくないです。この作品を見て、こんな高校は嫌だなとか、こんな高校には行きたくないと感じてくれたら、良いです。明日に繋がる道を読んで頂いてありがとうございますm(__)m