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消えない殺意  作者: 七龍
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第一章

 第一章

 


12月10日。琵琶別荘。

 森安将太は氷室康成と酒を飲んでいた。

「康成、もっとちょくちょく顔出してくれよ」

「うん」

「どうした?なんか暗いぞ。明るく行こうぜ」

「うん、・・・・・・・。もう俺帰るわ・・・。」

森安は3本目のビールを開けようとした手を止めた。

「もう帰るのか?」

「あぁ」

「そうか・・・・。分かった」

じゃぁな、といって見送った。ドアの閉まる音が異常に響いた。

「どうしたんだ、康成のやつ」

森安は開けようとしていたビールを冷蔵庫に戻し、ベッドに寝転んだ。

その時、

ピーンポーン

玄関から呼び鈴が聞こえた。

森安は、びっくりし、飛び起きた。

「はーい」





なんで、俺がこんなところに。俺はもっと高度な事件を扱いたいんだよ。

有田大樹は、交番にいた。

ちょっと、ミスしただけなのに、何で交番勤務なんだよ。

って言うか、ここ何処だよ。

こんな事件もない、平和的な村なんかに、いれっかよ。


「あのー」

有田はいきなり、声をかけられて、びっくりした。

「はい、なんでしょう?」

有田は、愛想尽かしたい気持ちを胸に秘め言った。

もう、でっかい事件じゃないと心の中で決め付けていた。

がしかし、有田の予想に反した答えが返ってきた。

「友人が消えたんですけど、探してもらえます?」

「あっ?今なんと」

「友人が消えたんです」

やった!でかい事件にめぐり会えた。

「それは、こちらで何とかしておきます。」

相手の人は、何度も頭をぺこぺこ下げ、

「ありがとうございます」

相手は、そういうとどこかに行ってしまった。

「あのー、有田さん」

有田はびっくりした。

後ろを見たら、杉下八太郎が立っていた。

こいつは、先輩なのに、やけに敬語を使ってくる。

最初は、おれも敬語だったけど、最近じゃぁ、タメ口になってきている。

「どうしたんすか?」

「いやー、さっき君と話してた人何しに来たのかな?と思って」

そういうことか、俺の大切なマイ インポータント事件を横取りしようと

してるんだ。

「いやー、猫探してくれって言われたので、

探偵に頼めっていってやりました」

「分かりました。教えてくれてありがとう」

よし。一難乗り切ったぞ。

はっ、探しに行こうと思った有田はあることを思った。

「どういう人か、聞くのを忘れた」

ポツリと口から出てきてしまった。

有田は、周囲を見回し、杉下が聞いていないか、確認した。

杉下は、聞いていないようだ。

有田は我に返った。

どうしよう・・・・・・・・・。

有田は、口をポカンと開けていた。  

交番の前で融然と立っていた。






「ふあ~」

坂本龍輝は大あくびした。

僕は、名探偵ともいえないが、一応探偵だ。

まぁ、殺人事件ななんて、あまりに、無縁すぎて、考えたこともない。

そしてこの助手。名前は平美香と言う

顔はまぁまぁだけど、性格は最悪。

仕事はきちんとやって、しかもド器用。さらに、頭が良い。

まぁ、みんなから見たら、いい性格だけど僕から見たら、めんどくさい塊のようだ。

すると、助手の平が怒った。

「あくびしてる暇があったら、この人を探してください」

「あっ、その人、俺の友人だから」

「軽々しく嘘を言わないでください」

「はーい」


3時間ほど前


坂本はおかしなことを考えていた。

なんでおれは坂本龍輝って言うんじゃろ。どうせなら坂本龍馬にしてくれたらよかったのに、

まぁ、俺の母ちゃんも父ちゃんもあほじゃからな。

龍馬のことさえも知らんじゃろうな。

すると、男の人が入ってきた。

「失礼します」

坂本は言った。

「はーい、今日はどういったご用件で?」

これは、お決まりのセリフになっている。

言い過ぎて、もう条件反射になっている。

「あのー、人捜しとかって頼めますか?」

この坂本探偵事務所は依頼人の依頼を極力、受け入れるのががルールだ。

とういか、坂本はそこが売りだと思ってる。

「おやすいごようです」

といって、紙を出した。

「ではこちらの紙に、あなたの名前、電話番号、住所。それから、捜してもらいたい

人の名前とか、できれば写真もあれば・・・・」

「あります。一応と思って、持ってきました」

「ありがとうございます」

坂本は、男が一生懸命書いている紙を横から覗いた。

丁寧に自分の趣味のところまで書いてくれてる。

え~っと名前は・・・・

って、字きたなっ、・・・戊由建也?

違った

ナリタタツヤだ。漢字はそう難しくなく成田達也。

「あのー」

「はいっ」

坂本はびっくりし、声が裏返った。

「もう帰って、良いですか」

「あっ」

成田の手にある、紙を見た。

すべての質問に答えていた。

「分かりました。もう大丈夫です」

成田はありがとうございますといって、出て行った。

坂本は紙に目をやった。

びっしりと字が書いてあった。

「猫見つかりました」

平が入ってきた。

「ありがとさん。次はこの人探すから」

「どんな人ですか?」

「これじゃ」

はいと言って紙と写真を渡した。

「この人を探せばいいんですね」

「うん」

「分かりました。では、早速、この人の家に行きたいと思います」

「ああ、よろしく」

平は思い切ってドアを開けて出て行った。


2時間半後


「坂本さーん」

平は思いっきりドアを開けて、入ってきた。

「どうした、なんか摑めたかいな?」

「いいえ、それより、聞いてください」

「なんだ、どうした」

「その、森安って言う人の家には、誰もいませんでした」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

「で、どうした、まさかそれだけ?」

「はい、それだけです」

坂本は、苦笑した。

「ってのは、嘘で大家さんに話しをしたら、部屋に入れてもらえました。

 けど、龍輝さんと一緒のほうがいいと思って・・・・・一聞は百見にしかずって言うじゃないですか」

坂本は呆れて超えも出せなかった

こいつは、仕事も、頭もすべて良いのに、なぜか天然なんだ。

自分では、否定してるが、100%天然だ。

「言っとくが、百聞は一見にしかずだ」

坂本は成田が書いた紙を見て

「よし、じゃぁ、この琵琶別荘って言うところに行くぞ、意外にここから近い

 家に行くのはそのあとだ」

「はい。・・・・・・・・・その前にトイレに行ってきて良いですか?」

「んぬぅ、まぁ良いか、ささっと行って来い」

「ありがとうございます」

坂本は、自分のいすに座り、何気なく外を見た。

こういう、時間は坂本にとって一番幸せな時間である。

心が、いつものんびりしている高齢者を妬む気持ちで染まっていく。

最近はこんな変なことしか考えれなくなった。

そろそろ俺も、高齢者の仲間入りかもな、そう思った瞬間、

坂本にあくびが襲ってきた。






有田が事件現場に着いたのは、正午から2、3分たった頃だった。

少し居眠りしてしまい、遅れてしまった。

っと言っても、約束された時間などない、遅れたといってるが、客観的に思っただけだ。

有田は、野次馬をどかしながら別荘の中に入る。

すると、鑑識課の上野康祐が他の刑事をかき分けながら、近づいてきた。

「遅いじゃないか」

「わりぃ、少し寝ちまった。それにしても久しぶりだな。

交番勤務になったときには、もう会えないかと思ってたぜ」

有田は冗談半分に言った。

上野は苦笑した。

「ところで、被害者は?

ここは山荘らしいが・・・・」

「別荘だ」

「・・・・・・。別荘らしいがってそんなことはどうでもいいんだ。

窃盗?放火?まさかの・・・・・殺人?」

「ああ、そのまさかの殺人だ」

事件も何もない平和的な村になんと殺人が起こった?

どう考えてもありえない。

「ありえないって顔しているな。

どうせこんなに平和な村なのに・・・とでも思ってんだろ」

本心を見抜かれた有田は悠然としていた。

「嘘だろ」

有田は、中に突き進んでいった。

すると、ある部屋の古い本棚が見えてきた。

当然、ある部屋というのは、殺人現場だ。空気で分かる。

一応、俺は元刑事だ。今じゃ交番にたってるイケメンお巡りさんだけど・・・・。

って、こんなこと言ったら、上野に冗談も休み休み言えと叱られてしまう。

「誰だこれ?」

「名前は森安将太、34歳。身元が分かったのは、免許証のおかげだ」

ふうん、と頷き、手帳に

<森安 翔太   34才>と書いた。

それを見た上野が

「しょうたって字違うぞ。将軍の将だ。翔破するの翔ではない」

ふうん、今度は曖昧に頷き、書き直した。

有田が死体を見ていると、妙なものが落ちていた。

「何だこれ?」

有田がそれを取ろうとした。

「お前はあほか」

上野にたたかれた。

今のは、痛かった。

やり返そうと、右手を振りかざした。

そこであることに、気がついた。

手袋をしていなかった。上野がなぜ自分に罵声を浴びせたのか、なぞが解けた。

「すまん」

「ははは、いいって。ほらっ」

上野が手袋を投げてきた。

「ありがとう」

有田は手袋を嵌め、落ちていたものを拾った。

それは鍵だった。






「えっ、はい・・・・・・はいそうです、森安さんは、確かに常連さんです。・・・・えっと常連って言っても1ヶ月に2,3度ぐらいで・・・。

はい、分かりました」

田中奈々は受話器を戻した。

今日は何かおかしい。

さっきほんの少し前に、2人記者だとか言って、森安さんの事を聞いてきた。

そして、さっきの電話、警察からだ。よく分からないが、森安さんの事を聞いてきた。

田中は思考をめぐらせる。

もしかしたら、さっきの記者は警察が調べてることに、関係あるんじゃないか?

うん~どうなんだろう。

ガラガラガラガラガラ

「いらっしゃ~い」

ある男の人が入ってきた。

「こんちわ、しょうゆラーメン一つ」

どこかで聞いたことのありそうな声だった。

はい分かりました、と笑顔で頷き厨房に足を向けた。

「パパ、しょうゆラーメン一つ!」

おう、元気のいい声が聞こえた。

今のところ、客はあの男の人しかいなく、退屈していたのだろう。

数分後、ラーメンができたので、例の男の人にところへ、もっていった。

男はにこやかに、

「これ食べたら、話聞かせてもらうよ」

と言った。

「あの~どちら様で__」

「あれ、まだ分からない?」

声が出なかった、なぜならその声は、紛れもなくさっきの電話の主だった。

電話というのは、ほかでもない、警察からの電話のことだ。

「えっと、私は何を言えば・・・・。」

「うん、まあ、その前に、このラーメン食べさせてくれるかな」

「あっ、すみません」

田中は、厨房に逃げるように、歩いていった。

「パパ、あの人警察の人だって」

「なに?お前、なんかやったのか」

「なんもやってないよ。って、そうじゃなくて森安さんのことだよ」

「ああ、そういえばこの前、記者とか言ったやつが来てたな」

う~ん、なんだろう・・・

二人は思考回路めぐらさせた

「その話、詳しく聞かせてもらえませんか」

うわぁ、厨房で話していた2人は後ろを向いた。

「えっ、そのお話ってどでのお話ですか?」

「記者が来たというお話です」

そして、刑事は少し考えて

「分かりました、ちょうどお客さんがいないので、向こうで話しましょう」

田中は強制的に決められたことにちょっと腹が立った。

刑事はそんなことは知らぬという顔でさくさくと椅子に座りに行った。

仕方ない、とパパは言い二人も刑事の座った席に向かった。

「-で先の話なんですけど、記者が来たんですか?」

田中は自分が言えば良いのかとパパに視線を送ると、

「はい」

とパパが言ってしまった。

そして続けて約2時間前ぐらいの出来事を話し始めた。





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