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義妹のいる本屋さん

作者: 山田 勝
掲載日:2026/03/01

「呪いの本は・・ございますか?って幼女!!」


 如何にも寂れた本屋さんに入ったら、幼女がいた。

 レジ台には猫が寝ている・・・・・



「店主なの~」

「ンニャー?」(ご飯?)


「話してみるの~」


 何故か、幼女に言われるままに話してしまった。呪いは禁じられている。


 皆の前で婚約破棄をされ。罵倒されて大恥をかいた。


「これを買うの~」

「魔道大全?」

「そうなの。呪いは禁止されているの~、カモフラージュなの~」

「はい・・・」

「金貨三枚なの~」



 令嬢は去った。

 私はメアリー、お母様が亡くなってからお屋敷を追い出された。この本屋の店主になれと言う。

 頭がパンクする状況だが、しかし、私には秘密がある。転生者だ。


「ミャア?」(ごはん?)

「今、用意するの~」


 呪いの本なんてあるわけない。しかし、魔道大全は500ページを超える本だ。

 読んでいるうちに気が変わるかも知れない。ようは気の持ち方だ。



 そのうち、ご令嬢は顔を輝かせながらやってきた。


「メアリーちゃん。効果ありましたわ!あの二人、婚前旅行をしたのがバレましたわ」


「そうなの・・・」


 そっちか、ようは気を紛らわせなくては・・・

 とまた本を売った。会計関係だ。貴族なら読んで損はない。これで金貨4枚だ。



 それから、貴族令嬢たちが訪れた。


「あの・・・レオニー様から聞いてきました。遠い親戚が来て出て行けと言われましたわ。この国は男系相続だからと・・・」

「状況を教えるの~」

「はい、お父様が亡くなってから、お母様と二人で家を運営しようとしたら・・・相続は男が認められていると・・・」


「なら、王国相続法解説なの~、親戚は解釈間違っているの。あくまでも、男系相続は、男親の血を受け継いでいれば娘にも相続権があるの~」


「まあ、そうなのですか?」

「ページに付箋を貼っておくの~、金貨2枚なの~」

「有難うございます」


「後、貴族院訴状書式集は~如何なの~」

「それも頂きますわ」



 売れるが、ほどほどだ。

 さて、当分はニケちゃんと暮らして行ける。ここは王都の寂れた所、家賃はないが地価は安い。

 今、ある本を全て売れきれば終わりだ。


「ニャン!ニャア-」(ねえ!これなに)


 ニケちゃんが奥の物置から布を被った魔道器械を見つけた。


「魔道印刷機なの~!」


 この世界植物紙はある。そうか、活版印刷できそうだ。

 ホコリを払い。魔石をセットしたら、光った。動くようだ。


 そうだ。オリジナルの本を書こう。

 と言っても日本時代のアニメや漫画を刊行してもな。著作権は異世界だから良いとしても・・・・


 そうだ。科学史を書こう。


『拭え軟膏!』だ。


 いわゆる武器軟膏だ。


 中世から近世まで西欧の頭脳が騙された事件だ。

 ある医者が民間療法を集めて、使える。使えないを判別したが、当時でもおかしな治療法が有効とされた。


 怪我をしたら、刃物に軟膏を塗れば、傷の治りが早くなる・・・

 実験をしたらその通りだった。


 おかしいと論争に発展し。銃が登場し。銃創には武器軟膏は効かない。その理由までも細かなに論争されたが・・・


 軟膏を塗った方が傷の治りが早くなった。


 それは軟膏の質が向上し。昔の軟膏はワニのフンなどが使われた不潔な物だった。



 ・・・・・・・・・・・・・・


 これを異世界物として書いた。

 おろかな地球に転生した女神圏の人達が魔法で解決して無双をする話だ。

 時間は腐るほどある。


 だが、ペラペラだ。まあ、良い。魔道印刷機で10冊ほど作り書棚に置いた。


 売れないな。値段も大銅貨2枚にしたのに・・・挿絵なしか・・・


「これ・・・下さい。って、幼女!」


 今度は男が来た。本を二冊、おっ、上に『拭え軟膏!』だ。買ってくれるのか?


「ありがとうなの~」

「ええ・・・・」


 しかし、二冊目は・・・


「恋愛指南!酌婦編・・・なの?」

「ヒィ!お代はここに置いておきます!」


 下はエロ本か。高校生か?まあ、そんぐらいの年齢だ。



 ・・・メアリーの書いた本は用済みになると思われたが。


「はあ、はあ、これ、買ったから上の本は用済みだ」


「おい、タズン、長旅に出る。馬車の中で気軽に読める本何かないか?」

「兄上、じゃあ、これ」

「何だ。変なタイトルだな・・」



 ・・・・・・・



「な、何だ。この本は!妙にリアルだな。地球という遅れた文明で我ら女神教徒が活躍するか・・・この武器軟膏!もしかして!」


 私は王宮に戻った。

 もしかして、今の医療対策が間違っているのかも知れない。


 流行病に犯されている地域がある。そもそも原因は空気というのから見直さなければならない。


「考えることが山ほどあるぞ!」




 ・・・・・・・・・・・



 その後、あたしゃ。訪ねて来る令嬢たちの相談するようになった。

 いや、最近は世間話だ。


「メアリー様、聞きまして、辺境の流行病、鳥が落ちてくるから空気感染かと思って結界を張っていたのですが、原因は鳥そのものだったそうよ」


「そうなの。鳥インフルエンザなの~」

「インフルエンザ?」

「悪い精霊さんの名前なの~」



 その後、何故か異世界ブームが起きた。異世界とは地球のことだ。


 魔法の使える女神教徒が異世界に転移して活躍する。優れた魔法と宗教を持っている女神教徒は無双でハーレム状態だ。



「うぬぬ。同じ題名ばかりで、分からないの~」


 仕入れようと思ったが、何が良いかさっぱり分からない。


 私がオリジナルなのに、『拭え軟膏!』はパチもの扱いだ。


 結局、『拭え軟膏!』は令嬢たちに売った。レオニー様だっけ。


「有難とうなの~」

「読んでみるわ。メアリーちゃんのお薦めの本なら何でも」


 すっかり呪いの事を忘れてくれて良かったぜ。




 その後、『拭え軟膏!』の問い合わせが殺到した。


「この本屋で売っていたとの証言がある!」

「是非、売ってくれ!」


 いや、もう、活版の配列治したからな・・・


「ないの~、だったら写本すれば良いの~」


「しかし、権利者のフランソワーズ・ホシガリ氏はどこにもいないのだ」

「それ、私なの~」

「嘘つけ。あれは経験豊富でなければ書けない」

「幼女に書けるものか!」


 否定された。グヌヌだ。



「なら、また本を書いて、今度は私が書いたと公表しよう」


 次はラプラスの悪魔だ。これは人造神だ。物理法則を全て正確に理解してる存在は未来の予知が可能である。


 そんな存在を書いた。それにカオス理論を入れて。不確定が生じたらラプラスの魔物は・・・・


 グチャグチャだな。これに量子論を入れよう・・・

「出来たの~」

「ンニャー!」(やったー!)


 これを今度も10冊だ。売れてから限定版や、絵師さんに依頼して挿絵を描いてもらおう。ペンネームはレディホシコ、前世の名だ。



 よしできた。ペッタンペッタン、製本したら、お父様が妻と娘を連れてやってきた。



「おい、メアリー、ここはお前に過ぎた本屋だった」

「ハニャ、お父様・・・」


 本妻とその子供だ。私よりも年上だ。姉と言うのだろうか?

 本妻は目を輝かせて言う。


「フフフフ、ここに王家も関心をよせている本が発掘されたのね・・・」


「探せ!」

「「「畏まりました」」」」


「何なの~!」


 本を荒らされ・・・


「あったぞ。新刊だ!ラプラスの悪魔とカオス理論だと、意味不明だが、この本か?」


「そうだわ。これをミリンダが書いたことにしましょう。私達親が監修して、ミリンダがレディホシコ?がペンネームね」


 まただ、この家族、私は眼中にない。


「ニケちゃん行くの~」

「ミャン!」


 幸い当分の生活費はある。

 この金でどこかに行こう。

「あら、メアリーちゃん」

「レオニー様なの~」


 事情を話したら、義妹にならないかとのことだ。


「ニケちゃんと一緒なら・・・」

「ええ、もちろん、いいわ」



 馬車でニケちゃんを膝だっこして、パカパカ向かう。何でもレオニー様は伯爵家だ。


「あれなの~」

「ニャア-」


 何故、王城に・・・


「実は、第三王子殿下と・・・婚約を結びましたの。行儀見習いで住むわ。遅れて婚約を結びましたから、メアリーちゃんも快く許可を頂きましたわ」

「ハニャ!」

「ニャン、ニャンニャー?」(王家の猫?)



「フフフフ、是非、義妹になってね」

「はいなの~」


 これは断れないな。



 その後、お父様たちが・・・本を創刊したが・・・



【邪教徒だ!】

【背信者め!】


「ヒィ、そんな馬鹿な。あれはメアリーの本屋です」

「今はお前の本屋だろう。しかも、新たに本を発行しただろう!」


 お父様とその妻と子はドナドナされた。

 遠く離れた島の修道院で修行?

 それとも魔族領に追放・・


 今、審議中だ。


 まさか、メアリーちゃんの書いた本が?


 と思ったらそうだった。


 そう言えば、ラプラスの悪魔って・・・神に似ているな・・・この世界だと女神か・・・冷や汗が出るぜ!



「フランソワーズ・ホシガリ女史を探せ!」

「他に著作はないのか?」


 と私の前で会議が行われている。

 あたしゃ、しばらくは王室図書館で勉強だ。


 だが、また書きたくてたまらない・・・



最後までお読み頂き有難うございました。

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