表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/8

第3.5話-寄り道編-

帰宅した私は、ソファに座り何気なくテレビをつけた。


 そこに映し出されたのは、ピンク色の衣装をまとった大勢のダンサーたちだった。

ダンサーたちは、一糸乱れぬ動きで見事なダンスを披露していた。

私はしばらくテレビを見ていた。


 だが、ダンサーの足元が映ったとき「あっ…?」私は思わず二度見した。

画面の中のダンサーたちの足が、

右足、左足、右足、左足、時々クロス!

そのダンスはフラミンゴたちが踊っていたのと、同じだった。

それに、ピンク色の衣装がまるでフラミンゴみたいだった。

あの夜のフラミンゴたちが、していたのと同じ動きをするダンサーたち。

あの夜のフラミンゴたちも一糸乱れぬ見事なダンスだった。


 しばらくすると、大勢のダンサーによるパフォーマンスは終了し、今度は社交ダンスのペアが十組ほど登場した。

中でも一組のペアがインタビューを受けたとき、ダンス教室でのエピソードを語り始めた。


 「ダンスの途中で、生徒さんに足を踏まれることがあるのですが、私は全然平気なんですがね、生徒さんの方がすごく気にしてくれるんですよ」


 その言葉を聞いて、ネズミとのダンスを思い出した。

私はダンスを教えてもらいながら、何度も足を踏んでしまった。

「ごめんなさい」と言っても、

大丈夫だよ、と言うかのように、優しく私の手を取ってくれた。

そのときの話…?

優しい笑顔で語るテレビの中の男性の目。

私は息をのんだ。

あのときのネズミと同じ優しい目。

このペアの人…あのときのネズミ?まさか…。


 私は子供の頃から、他の人には見えないものが見えていたが、今テレビに映っているのは、誰もが見られる人間。

私のところに来るのは、いつも動物たちばかりだ。


 そんなことを考えながらテレビを見ていると、テレビの中で「昭和三十年代の懐かしいダンス」という番組タイトルで、紹介されていた。

確かに、少し古い時代を感じる映像だった。だとすると、このダンサーの人たち…今はもういない人も…。

もしかして、この前のフラミンゴたちや、ペアのネズミは転生…?

でも、なぜ私の元に現れるの?


 もし、転生だったとしても、私はテレビに映るダンサーを誰も知らない。

私の知らないところで何か繋がりがあるの?


 フラミンゴ、ネズミ、シマウマ。

シマウマは、オセロ盤という形で、痕跡を残した。

そのオセロ盤は、私たちきょうだいが、子供の頃に遊んだもので、十年ほど前に従兄弟たちに譲ったものだった。

それが、今シマウマを通じて、また私の元に戻ってきた。


 フラミンゴ、ネズミ、シマウマ、彼らは、いつも私が落ち込んだり、悩んだりしたときに現れる。

まるで、元気のない私を元気づけに来てくれているようだった。

そして、優しさと温もりを残して消えていく。


 最近よく見る黒猫は何…?

黒猫もフラミンゴやネズミ、シマウマと関係があるの?

でも、黒猫はいつも外で会うから他の人からも見えているはず…。


わからない、どんなに考えてもわからない。

私は明日に備えて休むことにした。

最近、肩こりなのか、肩が痛くて会社でその話していたら、同僚が整形外科を紹介してくれた。明日はその整形外科を予約している。


 明日、その整形外科の診察室で、動物のナマケモノに会うとは、思ってもいなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ