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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

黒い少女と青い僕

あの日、僕は魚を獲りに海へ来ていた。

とてもいい天気で、カモメも鳴いていた。

平和な海岸だった。


異変に気付いたのは海岸に人が居なくなった夕暮れだった。

数分、数十分しても魚を見ない。

突然、カモメが狂ったように鳴きながら飛び去っていくのが分かった。

その時は、サメがいるのだと思った。

すぐに僕は海から出た。

帰る準備を進めていると声がした。


「おーい」


小さな子供の声で、思わず振り返った。

海から少女が顔を出している。


「ぱぱ」


そう言って少女は笑った。

僕は、あの少女を知っていた。

僕は咄嗟に走り出した。

水のないところへ。

少女が来ないところへ。


「あはは、ざんねん」


少女は海で僕を見ていた。

笑っていた。

強い殺意をひしひしと感じながら僕は逃げた。






「自分の娘を捨てるからそうなるんだよ?捨てられた側は溜まったもんじゃないんだから」

「はははっ、ごもっともだね」


話を聞いていた同僚はうんざりしたようにため息をつく。

あの少女は僕が作った怪異だ。

大きなヒレと小さな少女。そして五つの腕。

用済みでも捨てるのはまずかっただろうか。


「まぁ、なんとかなるさ」


楽観的というのはとても生きやすい。

あの少女は僕を憎んでいるが、僕は製造元だ。

対処法は知っているし、人間よりは丈夫だ。

死にはしないだろう。

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