【Night 43】神授人(後編)
いい? おちついて聞いてね。
前みたいに、にげるのはなしだよ。
わたしだけを見て。そう。大じょうぶだから。
ゆっくり……ゆっくり……。
うん。おちついたね。
じゃあ、はなすよ。
まず、前にこんなこと、きいたよね?
『漢字は読める?』って。
その答えを言うね。
え?
ヒカリのことなのに、なんで知ってるのか……って?
うん。わたし、知ってるんだよ。
見てたから。
ヒカリちゃんが『こんびに』にいたとき、つぶやいてるのを見たんだよ。
ふふっ。そうだよ。あの時ヒカリちゃんがね落ちする直前に見たかげは、わたし。すぐにねちゃったから、わからなかったかな?
まあいいや。
その時にヒカリちゃん、『影』って言ったよね?
わたしにはわかったよ。
ヒカリちゃん、『影』って漢字だけ、読めるでしょ。今までずっとヒカリちゃんのこと見てきたけど、この文字だけ、言い方が大人っぽかった。
えっ? 何が言いたいのか、って?
えっと、こういうことだよ。
神授人の力は、かげの力をかりることによって生まれる力。つまり、より知れるようになるのは、かげにかんけいすることだけなんだ。
くらい中でよく見えたのも、神授人の力だよ。かげが世界をくらくしたから、かげにかんけいすることのえいきょうを受けなくなったんだ。
そして、ヒカリちゃん、ほかの人たちとはなればなれになっても、また会えたよね。
それも同じだよ。神授人の力。まあ、正かくには、会いたい人に強く「会いたい」とねがってすすんでいけば、めぐり会えるというものだけどね。だから、よく言えば、2人の思いが通じた、ってことかな?
とまあ、ヒカリちゃんたちの神授人の力はここまで。
ここからは、わたしたちの力の話だよ。
え? かげにも神授人の力はあるのか、って?
あるよ!
〈ゲッタ〉さん、〈ソカ〉さん、〈ナク〉さん、そしてわたし……この4人も、とくべつな力をもっているんだ。
き本てきに人間のものとかわらないけど……わたしだけ、ちょっと有利なところがあるんだ!
それは、ほかの人にその力を分けられること。おとーさんとおかーさんに分けたよ。なんだかとってもうれしそうだった……。
え?
なんでそんな目をするの?
かなしそうって?
いやだなぁ。そんなことないよ。
つづきを言うね。
さいごに1つ。
もうにんげんは、ヒカリちゃんたちしかのこってないよ。
あ、正かくには、ぎいんさんと少しの人間がまだのこってるんだけど、ものの数に入れるほどじゃないかなあって。
ほかの人たちは全員、かげにのみこまれた。
あと少しで、わたしたちのかち。
これで、おとーさんとおかーさんにも、よろこんでもらえる……。
え?
ちがうってば。ないてないってば。
ヒカリちゃんは数少ない大じな生きのこりになっちゃったね。
しんどいでしょ。
わたしが助けてあげるよ。さあ、こっちにおいで。
え? 大じょうぶ、って?
ふうん。そうやっていじはるんだ。
……。
だから、ないてないよ!
そんな、手をのばさなくても……のばさなくても……いいってば!
だってわたしは……もう子どもじゃないもん。
かげのきぼうなんだから。
……さあ、見とどけよう。
ヒカリちゃんのなか間の、さいごのたたかいを。




