2/3
2/3 生命を刻む彫刻と光の森
外観の前に立つと
空気が一変する
サグラダ・ファミリアを取り巻く空間は
その壮大な存在感によって
特別な緊張感を生んでいる
風は
大聖堂の影をかすめるように通り過ぎ
彫刻の隙間を
滑る音が聞こえるような気さえする
その風が
頬をかすめるたびに
神聖で透明な冷気が
胸の奥まで届く感覚がした
周囲には
石の香りと
わずかな花の香りが混ざり合い
自然と人工が調和している
大地の匂いと石畳の匂い
そして湿った朝露が織り成すこの香りは
世界にここだけのものだと感じる
太陽が昇るにつれて
ステンドグラスに光が差し込む
その光が
まるで生き物のように色を変えながら
建物全体を踊らせている
彫刻に刻まれた物語が
静かに
命を宿していくような感覚が広がった