表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

袋鼠

作者: ハピ

アオイは10年前、連続殺人事件で父親を殺された。その犯人は未だ見つからず、指名手配犯となって世界をさまよい続けている。アオイはフリーでモデル活動を行う傍ら、密かに奴の手掛かりを探っていたがなかなか見つかることはなかった。それもそのはず、犯人の痕跡はこの10年全く示されることはなく、完全にこの事件は迷宮入りしていた。アオイの今の生きる活力は、奴を絶対に捕まえて一生檻にブチ込むという復讐心と、20年前から実家で飼って譲り受けたカンガルーのモハメドだけだ。モハメドはいつでも心を癒し、支えてくれた大事な存在だ。小さい頃はよく袋に入れて遊んでくれてたが、いつの間にかその遊びはしなくなった。単純にデカくなったからってのもあると思うけど、久々にその袋に入りたくなった。モハメドの袋を広げ、足から順に入ろうとした。しかしその時、足に違和感を感じるのと同時に「痛っ!!」とどこからか聞き馴染みのある声が聞こえてきた。思わず足を引っ込めて、逃げるようにトイレへ駆け込んだ。一旦落ち着こう。きっと疲れすぎて幻聴が聞こえてきただけだ。そう信じ込もうとしたが、第六感がビンビンに反応している。いや、、、まさかな。アオイはこの感覚を完全否定するために再びモハメドに駆け寄った。逃げようとするモハメドを必死でつかみ、思いきり袋の中身を覗いた。そこに入っていたのは、数十年前に実家で使っていたデジカメだった。フォルダを見返すと、モハメドが初めて家にきて父をパンチして痛がる動画があった。モハメドはこの動画を見返していたらしい。当時は子供ながらに衝撃的な出来事であったが、今となってはその光景はとても面白いものだった。何よりモハメドの袋にまさか父が入っているわけないよな。アオイは寝室に行って体を休めることにした。自分の袋を労わるように。そのカンガルーの袋から顔を出していたのは、父親だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ