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ホラー・ホラー風味

道を踏み外した者たち

作者: まい

夏のホラー2023投稿用。



 正直恐怖要素がほぼありません。

 それでも楽しんでいただけるなら嬉しいなと。

「………………なんですの、一体?」




 ここは剣と魔法とご都合主義的な、とある全寮制貴族学園が舞台の乙女ゲーム世界。


 いわゆる大変な思いをしてきたヒロインが、実は凄い存在で恋愛を邪魔してくる悪役から酷い扱いをされても耐え抜き、学園で同室となる親友の助けも受けて見目麗(みめうるわ)しい殿方(とのがた)に見初められて幸せになる。


 そんな王道な世界に、なぜか悪役の一大勢力である、王太子の婚約者の悪役令嬢として転生してしまいました。


 (わたし)はそのゲームの王道シナリオは好きでも、攻略対象の殿方達を好きとは思えず。


 なにしろ私が転生してしまった悪役令嬢の、一本筋が通った淑女ぶりに、貴族令嬢としての心の強さを感じられる位の素晴らしきライバルっぷりに魅了されたので。


 陰湿なイジメは良しとせず、淑女のあるべき姿から外れる行動の批難や、ヒロインと攻略対象との身分違いによって起こる苦労や悲劇等を説教する役回り。


 最終的には自身より王太子に相応しいと認めたら、その席を譲り、更にソレによって発生する問題の解決に協力すると誓う侠気(おとこぎ)っぷりもまた魅力。



 そんな恋愛バトル小説みたいな感覚で楽しんでいた作品の世界です。


 ヒロインは転生者ではない様なので、原作そのままの裏表がなさそうな愛らしい性格をしていました。


 そしてヒロインがそのままなら作品オチは予想できていますし、婚約者に興味はありませんので、令嬢として必要な事や王太子の婚約者としての義務以外は好きにさせて頂いています。


 その一環として学園の授業が終わりましたら、その後の用事が無い限り寮へ引っ込む生活を送っています。




 ですが……何というか…………。


 この帰ろうとする(たび)に、跡切れ跡切れに怪しい感情を感じ取れる視線が飛んでくるのです。


 学園内で私の魔法の腕はトップクラスで、その私の探知魔法に異変は毎度ありません。


 私の取り巻きの令嬢と言う(てい)で常に(そば)にいてもおかしくない立場を利用した、国の影の顔を見ても。


 …………ふるふる。


 悔しそうに首を横に振ります。


 ええ。 私は王太子の婚約者ですので、何かがあってはいけませんのでね。 分かりやすい護衛になるメード(メイド)の他にも私への監視も兼任している影が()()()配備されるのは当然。


 なのでその影が私に視線を感じさせるなんて不手際はしませんから、影が出した視線では有り得ない。


 でも視線を飛ばしてくる程度の相手はすぐ特定できる……はずなのに、この(てい)たらく。


 それら影も視線は察知していますので、視線を飛ばしている主を特定しようとしているのですが、相手の方が何枚も上手みたいで。


 これでは影の面目丸潰れなので躍起になっているのですが中々どうして、視線の主の足音すら捕捉できないとかなんとか。



「国が抱える影を超える影。 出来るならば(わたくし)が見つけて囲い込みたいものですわ」


 国が抱える=国内最強技術 の影を超える影。


 そんなのがいれば、国を出し抜くなんて軽く可能ですから、私の生きたいように生きられる野望が叶うのに。



 なんて考えていたら……。


「カコッッ!?」


 なんて変な鳴き声と共に、歩いている通路脇の植え込みからガサっと物音が。


「お嬢様、お()がり(くだ)さいっ!」


 護衛に促され、音の発生源から距離を取らされた。







 ふるふる。


 …………にも関わらずその苦み走った顔から伝わるのは、やはり謎の対象の手がかりすら見つからないようで。


「視線や音はすれども姿は()らず。 このような事態にあい続けていると、怨霊の魔物に命を狙われているのではないかと思いますわね」


 ぽつりと思ったことが口に出てしまうと、それを聞きつけた護衛も釣られてぽつり。


「視線…………音…………怨霊………………幻覚? いや、幻覚の呪い……そうか、王家の呪い……………これは……」


 青い顔をする護衛から、なにやら不穏なワードが聞こえてきましたよ?


 これ、原作の本物の悪役令嬢も王太子との婚約を本気で嫌がっていた説が出てきましたよ?


 (わたし)は、呪い殺されるなんて絶対にお断りですからね?

 シナリオ




以下ネタバレ。













 視線や物音の正体は、ヒロインのサポート役の親友。


 ヒロインが本当に困ったことがある時に助けてくれたり、まるで全てを知っているかのように伏線アイテムをくれたりする謎の親友。


 実は凄すぎる隠密能力で、その全てを危険視されて遠い祖国から逃げ出し、今もなおその技術を伝承し続ける化け物隠密一族。


 そしてその親友は転生者で、原作のどんな時も貴族の淑女を通す王太子の婚約者たる悪役令嬢に心を奪われた、TS転生者。


 TS転生者が嫌なら、純粋な同性愛者系転生者でも可。




 だがそれ(親友の正体)をどこの誰も知らない。


 ただひたすらに、大好きな悪役令嬢を見守っている内に興奮して視線を漏らし、うわヤベ!とばかりに隠密能力を最大限に使い隠れて、悪役令嬢と逢瀬を重ねられたら良いなとひたすら妄想する変態である。


 今回物音を立てたのも、囲い込みたいと言うセリフでヘンな妄想を爆発させた結果である。







 原作?の悪役令嬢も、王太子に感情は無い。


 王太子妃教育として○○すべしの義務で雁字搦(がんじがら)めになっていて、執る行動執る行動全てが王太子妃としての理想になるよう強制されていた。


 誰かに代わってもらえるなら代わってもらいたいと願っていた時に、王太子と妙に仲のいい女の子が現れたので、上手く誘導して婚約者の地位を譲れないかと画策した。


 もちろん令嬢の親にも相談済みで、婚約を破ろうとしてるのは王太子とその女の子なので、王家から賠償として大きな利権を引き出す算段までつけていた。


 女の子が狙い通り王太子ルートへ入った場合、令嬢とその家族は婚約破棄となったので、思いっきりニンマリしたらしい。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 王子とか騎士とか異国の王族とか、あるいは一周回って物語ヒロインと百合百合しく絡みあう、もとい絡むかと思ったら変態のストーキング(されている側)物語だったw [気になる点] いや、普通に変態…
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