現実
「クロード様、この方は異世界からやってきたお客様ではないでしょうか。服装も喋り言葉もどうやら私たちとは少し違ってはありませぬか。それにもしクロード様に危害を与えるものならばそもそも生きてここに辿り着くわけないのですから」
穏やかにルナを見つめるつぶらな瞳と目が合う
「ルナ様、どうか立ち上がって私たちのお屋敷を案内させてはいただけないですか?私はこの家に仕える執事のネロでございます。さあさ、もうすぐ日没がやってきます。どうか今晩だけでもこの屋敷でゆっくりお休みになられた方が」
未だ剣先が首に向けられている。どうしたものかとクロードを見やると
「好きにしろ」
「ありがとうございます」
呆然とするルナに代わりネロがにこやかに答えたのだった。
「ルナ様、こちらへ」
ネロの穏やかな声でようやくルナは生き延びたこと実感する
ルナは深々とお辞儀をした後ネロの後を追うのだった
案内された部屋の一通りの説明を終えるとネロは侍女らを連れて退室してくれた。
1人残された部屋を見渡してルナは小さな自分の掌を見つめる。
ネロの話では元いた世界でいわゆる電化製品と呼ばれていた類をこちらの世界では基本的に魔力で操作するらしい。
こちらの普通がルナの普通とあまりに違いすぎて混乱する。
そもそもルナは石に躓いただけで生きていたはずだ。
「とすると異世界転移…まさかね」
アハハと乾いた声で笑うも異世界転移だ、小説でこの展開は誰がどう見てもハイハイ異世界転移ですねハイハイと読み飛ばされるような場面だ
元の世界へ戻る方法も分からない。
ネロはああ言ってくれてるがこの屋敷の主人はクロードだ。
ルナは何かあれば、と開かれた鈴を鳴らしたのだった




