動転
今日はひどい日だった。
本当に疲れた。早く帰ろう、美月は重たい鞄をかけ直して帰宅を急ぐ。
帰ったら少し作業して、そういえば昼間何も食べてないので何かつまみながら少しお酒の力も借りたいな
そう思った矢先に美月は小石にひっかけて盛大にこけた。
なんて日だ(cv芸人さん)
散らばった鞄を俯きながら拾って立ち直そうと膝を立てた時
「何者だ」
太い声が頭上から降ってきたのだった
転けた私を笑いにきたのだろうか、放っておいてほしい
そもそもこんな夜遅くに声かけてくるなんて普通ではない
無視一択
そう知らぬ存ぜぬを決め込み顔を上げた美月の目の前に広がっていたのは立派なお屋敷と立派なお庭
慌てて自分の足元を確認するも青々と茂る手入れされた芝生
とても受け入れられる景色ではなく平常心ではいられない
混乱する美月の首元に太陽光に照らされた剣先がむけられて
「再度問う、貴様は何者だ」
「お前の細い首など容易いぞ」
目の前の大男は視線だけで人を殺められそうな出立だった。
剣?刃物!?ちょっと秀吉さん刀狩令早く出して!?!?
美月の脳内はキャパオーバーからくるカオス状態だが名乗らなければ命はないことは明確だ
「ルナと申しますぅぅ」
本名は躊躇われ咄嗟に目の前の景色に合うように偽って叫ぶと地面におでこを擦り付けるようにしてひれ伏す。
「お前から魔力を感じない、どうやってここに来たのだ」
「ハッ…あの…すみません私もどうしてここにいるのか正直わからないと言いますか「とぼけるのか」
追求をやめないクロードは今にも美月否ルナの首を飛ばしそうだ
「違います嘘じゃないんです信じていただけるとは思いませんが目の前の景色に身に覚えがございません、私は夜中を歩いていたはずで…それが転んだ拍子に暗転して気がついたら貴方様の敷地に入ってしまったようなんです…嘘じゃないです命が惜しいです大変申し訳ございません」
こんなところで死にたくないけど他に言い方が見つからない腹を決めて言い切りクロードの判断を待つ
「ほお…これはこれはお客さまだったのですね」
足音とともに老齢の優しげな声がルナに向けられた




