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逃亡中
その頃、俺は逃げていた。兎に角がむしゃらに走り続けていた。絵里香が吸血鬼だった。それだけでも衝撃的なエピソードだというのに。
俺は古びた公園に逃げ込んだ。遊具に隠れながらひたすら怯えた。情けないかもしれないが今の俺にはいっぱいいっぱいである。
スマホをさわりながらうっかりと絵里香に電話してしまった。
絵里香「もしもし、お兄ちゃん?無事なのね」
無事な訳があるか、心臓が止まりそうだよ。
「おまえは大丈夫なのか?ハンターっていう奴らに追いかけられてないのか」
絵里香「私たちには時間がないわ。恐らく今血眼になりながらヴァンパイアハンターが狩りに来てる」
嘘だろ、まるで戦争だなあ。
カタン なにか音がした。