山紫水明
それは、とある雨の日だった。
建物の瓦礫の中で、少女はそこに佇んでいた。
おそらく10代前半の少女は、慈悲の欠片もない冷たい雨が全身に打ち付ける中、ただひとつの思いを胸に抱いていた。
_____生きたい
雨に濡れたせいで、意識も思考も朧気だが、それだけは確かに胸の内に秘めていた。
だが、体が限界だ、というように、少女は倒れ込んだ、その瞬間だった。
少女の躰を、優しく暖かい炎が包んだのだ。
少女を焼くためではなく、温める為の、紅い炎。
少女は顔を上げた。そこには、先程までは居なかった、白髪に赤のメッシュが入った、全体的に白い青年がいた。
青年はゆっくりと、口を開いた。
「生きたい?」
それは単純な問いかけだった。けれど少女には、救いに思えた。
少女はしっかりと頷いた。
すると、青年はふわりと笑った。楽しそうに、嬉しそうに。
「じゃあ、助けてあげる」
その言葉を聞いた瞬間、少女は安心して、意識を暗闇に沈めた。温かい炎に身を委ねて。
これが後に「巽八尋」と名付けられる少女と、彼女の運命を大きく変えることになる「明神白夜」の出逢いである。
初めまして、十ヶ原雪月です。
初投稿です。よろしくお願いします。
投稿は毎週日曜日の午後6時以降となります。
建物の瓦礫の中で、少女はそこに佇んでいた。
おそらく10代前半の少女は、慈悲の欠片もない冷たい雨が全身に打ち付ける中、ただひとつの思いを胸に抱いていた。
_____生きたい
雨に濡れたせいで、意識も思考も朧気だが、それだけは確かに胸の内に秘めていた。
だが、体が限界だ、というように、少女は倒れ込んだ、その瞬間だった。
少女の躰を、優しく暖かい炎が包んだのだ。
少女を焼くためではなく、温める為の、紅い炎。
少女は顔を上げた。そこには、先程までは居なかった、白髪に赤のメッシュが入った、全体的に白い青年がいた。
青年はゆっくりと、口を開いた。
「生きたい?」
それは単純な問いかけだった。けれど少女には、救いに思えた。
少女はしっかりと頷いた。
すると、青年はふわりと笑った。楽しそうに、嬉しそうに。
「じゃあ、助けてあげる」
その言葉を聞いた瞬間、少女は安心して、意識を暗闇に沈めた。温かい炎に身を委ねて。
これが後に「巽八尋」と名付けられる少女と、彼女の運命を大きく変えることになる「明神白夜」の出逢いである。
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