表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

神様のおくりもの

作者: そめ

出されたお題を一時間で書くシリーズです。

今回のお題は「世界の終わり」です。

よろしくおねがいします。

あと一歩踏み出せば僕は死ぬことができる。

この世のしがらみから解放される。

パワハラを加える上司も、僕の地位を虎視眈々と狙う同僚も、ヒステリックな彼女も、口うるさい母親だって。

この高くそびえる崖から身を投げ出すことで、すべては終わりを告げる。


「僕の世界はここで終わるんだ。」


そうぼそりとつぶやき、一歩を踏み出す。

落ちる。

冬の凍るように冷たい潮風が僕の肌を叩く。


沈みかけの太陽は今まさに、地表の裏へ隠れようとしている。


あぁ、あと数秒で僕の一生は終わるのか。

常に追い詰められ続け、まともに笑う事すらままならなかった人生。

神頼みをしたことだってある。

愛した彼女や親しいと思っていた友人ですら、誰も僕に手を伸ばしてくれる人はいなかった。身近な人ですら僕を助けてくれなかったんだ。


神様が僕に贈り物なんてあるわけがない。


しかし、僕はふと気づく。おかしい、先ほどから僕と地面の距離が一向に小さくならない。

そうかこれは走馬燈ってやつだ。

これまでの思い出が鮮明によみがえる。一つひとつの思い出をまるでスクリーンで見てるような感覚。まぁ、どれもロクなものじゃないが。

お、これは彼女との最期の会話だ。ハハ、キレてるキレてる。確かこの喧嘩は、テレビの都市伝説番組の内容を語り合ってた時のやつだ。内容は


『12月23日に隕石によって世界が終わる』みたいな陰謀論のしょうもないやつ。よくこんなことで喧嘩ができるもんだ。まるで人ごとのように思う。

いや待てよ。その12月23日って… …。今日じゃないか。

じゃあ、あの太陽だと思っていたやつってまさか…。

あぁ、なるほど。神様ってのもなかなか粋なことをしてくれるもんだ。

僕は静かにほくそ笑む。

それじゃあ神様が用意いてくれたこの特等席で見るとしよう。

僕よりもほんの数瞬速く最期を迎えるこの世界の終わりを。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ