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1話 大咲花との出会い

主人公 竹野かける 14歳

妹 竹野ましろ 12歳

「何にも面白いことないな‥」


俺は真っ暗い部屋で服のフードをかぶりながら

延々とパソコンのマウスをスクロールする。


特に好きなこともないぷらす不登校で引きこもりがちなオレは退屈な日々を過ごしていた。


「だったら外に出ればいいじゃん」


「お前なぁ、部屋に入る時はノックしろよ。あとこっそり立ち聞きするな」


壊れそうなくらい勢いよく部屋の扉き

陽気な態度で俺に話しかけて来たのは2歳年下の妹ましろだった。


「え〜じゃあ扉開けて堂々と聞けば良かったかな?あと私に逆らわないでくださいね〜ごはん抜きにするよ?」


「逆らったわけじゃない、意見を述べただけだ」


「あ〜はいはい。‥私は出かけるから。お兄ちゃんも一緒にいく?」


からかうようにドヤ顔で制される。

これから出かけるのか、どうりで衣装をばっちり決めてると思った。


「いかないよ。また声優とかいうののイベントか?」


「そう。氷河みゆきちゃん!あ〜楽しみだな」


ましろの目は輝いていた。

そんなに良いものなのか‥。俺はアニメや声優は全く詳しくなかった。ましろはそういうのがすごい好きみたいだが‥。


「氷河みゆきか‥」


俺はましろがいなくなり静かになった空間で再びパソコンの画面と向き合い動画サイトを開いた。氷河みゆきの歌を再生する‥

やはり


「俺はあんまり惹かれないな」


容姿も歌も悪くないが惹かれるものが無い。

前に見た時も同じ感想を抱いた。

ましろには口が裂けても言えない感想だが‥。


「トークショーか‥これは初めてみるな」


アニメのイベントのトークショーらしく他の声優も多数出ていた。


「‥トークするとこんな感じなんだな‥あれ」


なんだかみゆきさんの隣にいる声優‥面白いな。

何処か異国から来たお姫様のように気品ただよう容姿。しかしそんな容姿とは反対にテンションが高く話す内容も独特で‥俺は少しだけ惹かれた。


「名前はわかんないけどなんか良いな」



「あ〜それってお花ちゃんじゃない?」


夕飯時イベントから帰宅し何処か楽しさが抜けていないましろに先程少し気になった声優のことを尋ねた。アニメイベントのタイトル声優の特徴を伝えただけなのにすぐにわかるのは流石というか‥。


「お花ちゃん?そんな名前なのか」


「大咲花。だからお花ちゃん!な〜に、お兄ちゃんもついに声優に興味を持ったの?」


「少し気になっただけだよ。お前は好きなのかそのお花ちゃんって‥」


「う〜ん悪くはないけど。みゆきちゃんとも仲良いし、でもちょっと独特過ぎるかな」


部屋に戻ってから再びパソコンを再開する


「え〜と大咲花」


検索窓にごく自然にそう打ってから我に変える。

少しといったが‥結構気になってるなおれ。

こんなに誰かに興味を持ったのは初めてかもしれない。

ホームページを開くと確かに先程見た彼女がトップページに掲載されていた。

‥ましろやっぱりすごいな。


「え〜と年は23歳、えっなんか経歴すごいな。沢山アニメもいっぱい出てるし、CDも出してるのか‥」


何処から入ったら良いものか、アニメとかは殆ど見たことないしな。声優だからアニメから入るのが一番なんだろうけど

先程の出演アニメ一覧を見る。

うん。多すぎる、どれ見たら良いかわからない。


となると音楽か‥


大咲花のホームページを閉じ動画サイトへと移動する。

大咲花の名前で検索するといくつかのPVがヒットした。とりあえず一番上の動画を見てみるか。


「確かに独特ではあるな、でも‥」


俺は逆に自ら世界を作りそうな歌の独特な雰囲気に惹かれてしまった。

まるで詰まらない人生に彩りが出来る様に彼女のPVを見ると楽しくなっていた。


「歌もうまいな‥声も好きだ。っておれどんどん好きになってないか」



翌朝の朝食の場で


「俺が気になってたのってやっぱりお前が言った通り大崎花さんだったわ」


味噌汁を飲みながらましろに伝えると

ドヤ顔で箸を宙にかかげる。


「そうでしょそうでしょ!でどうだった?色々見てみたんでしょ」


「PVしか見てないが悪くはないな、独特な雰囲気も俺は好きだよ」


「お兄ちゃんもこっちの世界に入ってきたね」


「俺は花さんが気になるだけだよ」


「そこでひとつ提案があります、イベントに行ってみてはいかがでしょうか」


数秒停止‥


「お前、引きこもりの俺にそんなこと言うか?」


「だからこそ。これは良いきっかけなの。声優はあなたの人生を変えます」


言い方が悪徳商法っぽいのもあるがましろの言うことが少し理解しがたい。


数日後‥


少しずつ大咲花さんについて詳しくなっていた頃だった。


「お兄ちゃん良いものあげる!」


ましろの手によりまたも荒々しく扉が開けられる。いい加減壊れる‥。


「お前ノックしろよ。あと扉は優しく扱え」


「え〜折角お花ちゃんのCD買ってきてあげたのに」


その言葉に一瞬で気を許してしまう。


「ほ、ほんとか」


「マジなの」


ましろはショップの袋からCDを1枚取り出し

俺に渡す。こ、これが大咲花さんのCD‥!


「良いのか」


「うん、そのかわりトーク&握手会のイベント応募してね。その中に応募用紙が入ってるから」


「そういう条件か‥」


外に出れる気がしないし気は進まないが。

まぁ、どうせ当たらないだろうしな。


‥数日後



「大咲花さんのイベントが当たってしまった‥」


「良かったじゃん、お兄ちゃん!」


深刻な面持ちで正座をしている俺とは対照的にましろは楽しげであった。


「いや俺引きこもりだしいけないよ」


「お花ちゃんに会いたくないの?」


「別にそこまでの気持ちは」


ましろは深呼吸し

いつになく真剣な面持ちをした。


「お兄ちゃん、イベントってのは必ずしも当たるわけでは無いの。お兄ちゃんが当たったことで外れた人だっている。お兄ちゃんが行かなかったらその人が悲しむよ」


「そうだが‥」


「それに誰もひとりで行けとは言ってない」


「えっ、お前も行くのか?」


「そこは行ってくれるんですかでしょ?私は当選券無いから会場には入れないけどね」


「ましろ‥ありがとう」


思わず立ち上がりましろの手を握る。


「初めて感謝された気がする」

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