[短編一]~神社で~
とある神社での話
彼女に遭ったのは夏の夕暮れの事であった。
町の祭りの際なんだか気分がのらずに自転車で行く宛もなく右往左往していた時、突然ポツポツと雨が降り始めた。雨宿りできる場所がないか辺りを見回して見ると近くに寂れた神社があった、自転車を鳥居の隣に置き境内に足を踏み込んだ時だった。
「雨宿りかい?」
顔を上げると賽銭箱の上に声の主は座っていた。ただそこにいるのが当然のように座っていたのだ。
「ええ、いきなり雨が降ってきたものなので」
少し言葉がどもりそうだったが、何とか止まらず言えた。何故ならば声の主はここらでは見られないセーラー服を着て、更には狐面を付けているというキテレツな格好をしていたからだ。
「この格好に驚いてる顔だな」
そんな顔に出てたかと顔を引き締めると
「まあ、この格好は趣味みたいなもんだな、そんなことより、雨に打たれる前に軒の下に入りな」
おもむろに顔で横を指し示したので、濡れるまいと、声の主、いや、彼女の指示にしたがって軒下に入り腰を降ろす。
「急な雨災難だねぇ、まあ、一時間も降れば止むさ、多分だけどな」
そう彼女は軽快そうに話しかけてきた。
「なんで、あなたはここに?」
俺は話しかけてきた彼女に会話を繋げようとし、境内に入ってきた時に真っ先に思いついた疑問をぶつけた。
「うーん、そりゃああれだよあれ、ここに住んでいるようなものだからだよ」
そう彼女は答えた、この返答から察するに、ここの神社の住職の娘なのだろうか、そうだとすると、寂れた神社とから思ってごめんなさいと言うべきか?と考えていると、
「そういうあんたこそ祭りなのにこんな辺鄙な所にきて何してたんだ?」
この娘痛い所突いてきやがる。
「か、風に当たりにきたんだよ、気分転換にね」
「その慌てよう怪しいね」
「狐面付けている奴に怪しいとか言われたくないよ」
「それもそうか」
キャハハと彼女は笑う、
この会話が始まりとして彼女と雨が止むまで他愛のない話を続けた。
不思議と時間は流れるのは早く、いつのまにか雨は止んでいた。
「雨が止んだから俺は帰るわ」
「そうかい、見送りするよ」
そう言うとひょいと軽く賽銭箱から降り、私の後を鳥居までついてきてきた
「帰り道は後ろを振り向かないようにした方が良いよ、狐につままれるかもしれないからね、」
「狐はお前だろ」
俺はその見送りの言葉に対し、ノリツッコミで返した。
「それもそうか」
彼女は少し笑う
「達者でなー」
「ああ、またいつか会えることを祈るよ」
そう別れの挨拶を交わし俺は自転車を漕ぐ、ただ後ろを振り向かずに
この話は一枚の絵を深夜テンションで書き上げたときに思いつきました。その場で小説も書いたので寝不足です。見ての通りとある神社の話です。多分怖いと思われます。元々この話は部活で使おうとして没になった話を再考したものなので拙いところもあると思いますが、生暖かい目で見逃して下さい。拙いですが、読んで頂きありがとうございます。