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緋華の追憶  作者: 浦 かすみ
黒き龍
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渾身の一撃


白弦国(はくげんこく)満縞州(ましましゅう)の白弦軍新規採用実技試験会場内にて、私…彩 凛華(さいりんか)は前世から今世に跨いで好いていた方に失恋をしてしまったようだ。


いやそもそもだ、失恋と言う表現はおかしなものではあるまいか?


私が前世好きだった、壬 狼緋(じんろうひ)は確かに当時好きだったし、片思いだったと思う。なのに新たに生まれ変わって出会った彼(名前は知らん)に「チビブス」呼ばわりされて失恋と片付けるのは、如何なものか…。


実年齢より中身の年齢の高さ故に、悟れることも多い。今回のこともその一つだ。


そもそもだが、私が好きだったのは壬 狼緋であってこの生まれ変わりだかなんだか知らんこの子ではないことは確かだ。そして、この餓鬼の声を聞いた所で壬 狼緋本人の声ではないのだから何を落ち込む必要があるものか。


しかもチビブス呼ばわりされようが、壬 狼緋本人から(いや間接的本人だが)言われた訳ではないので、全くもって気にする必要はないのではないか。


よって私の初恋は思い出に昇華されて目の前の失礼な餓鬼とは何ら関係無いという結論に至った。


私は一つ息を吐くと自己紹介をした。何事もないように…これぞ大人の対応だ。


「初めまして、今日は宜しくお願いします。彩 凛華です」


「…え?」


何が…え?よっ!キチンとご挨拶も出来ないのかな?私は自分より少し高い位置にある青い瞳をギロリと睨んだ。


「あなたのお名前は?」


私の迫力に押されたのか壬 狼緋(前世)は、小声で


斈 緋劉(がくひりゅう)


と言った。ふーん…。いつの間にか模擬戦は十四番目まで終わっていた。


そして斈 緋劉は黙って前を向いた…と思わせておいてまた要らぬ事を口走りましたよ。


「おい…お前もう帰れば?俺には勝てっこないし…」


あらーー?何これ?どこにそんな自信があるのかなあ?…と聞き返したい気持ちだけど心の中に留めておいた。


斈 緋劉の霊力を視る。フム…彼が隠せる術士じゃないとするならば、まあまあの霊力の保持者だと思う。私の足元にも及ばないけどね…。


「十六番、十七番前へ」


「はい」


私は斈 緋劉を見ずにササッと実技場の中央に歩み出た。文机には白銀髪の眩しい男前のお兄様と、濃い緑色の髪の眼鏡の怖そうなお兄様と、厳つい岩みたいな赤髪のお兄様を含む計六人が座っていた。


「十六番、斈 緋劉です」


「十七番、彩 凛華です」


自己紹介を終えると、白銀髪のお兄様はあれー?と声を上げた。


「彩 凛華ちゃんは軍の試験受けるのー?てっきり霊術師の方に行くと思ったよ!」


この男前なお兄様は私の霊力値のことをご存じのようだ。隣の眼鏡のお兄様も資料のようなものを見ている。


「軍は厳しいですよ?あなたの特性ならば霊術師でも問題ないと思いますが…?」


眼鏡のお兄様、なんか冷気系の霊力放ってませんか?足元がさ、寒い…。


「軍の試験の方を受けたいと思いましてここに来ました。宜しくお願いします」


「はい、合格」


「んぃぃ!?」


いやちょっと?今なんて言ったのかな?白銀髪の髪色のお兄様?


「今、なんて言いましたか?合格って…誰が?」


私の隣で斈 緋劉が聞き返している。


「あ~えっと、君は別の試験を準備しようかな。合格は彩 凛華」


「どう…して…どうしてっ戦ってもいないのにコイツは合格で俺は違うんですかっ!?」


白銀髪のお兄様は若干ニヤニヤしながら激昂した斈 緋劉を見た。


「ん~それは凛華が5才の時から決まってて~霊術師の試験受けようが軍の試験受けようが~最初から合格なのよ。歴代最高霊力値の持ち主だからさ」


試験を受けに来ていた受験生がざわついた。もう…なんでまたここで発表しちゃうのかな…目立っちゃうよ。


斈 緋劉は驚愕の表情で私を見た。


「お前みたいなチビブスが歴代最高値だって…冗談だろ?」


いやあのね?流石に大人な私だけどね…こうも衆人観衆の前でチビブスを連発されると流石に乙女心(実年齢は27才だけどさ)も傷つくんだよね。


私はサッと挙手した。白銀髪のお兄様が指でビシッと私を指し示した。


「はい、何かな?彩 凛華ちゃん」


「私はここで模擬戦をさせて頂いても問題ありません。彼も私を相手に実技を皆様に御見せ出来ますし、仮に私が彼に敗れましても何も問題はないかと思います。」


白銀髪のお兄様は目を細めた。


「凛華ちゃんが敗れちゃうの?それはそれで困っちゃうな…」


白銀髪のお兄様から威圧的な霊力が押し寄せてきた。この人怖い人だな…私が視える術士だと分かってて垂れ流してきてる…。このお兄様って腹黒かな…腹黒だろうな。


絶対負けるなよ…て無言の圧力を感じる。


一瞬ワザと敗けて村に帰ろうかな…と思ってしまった弱い心を見透かされたようだ。


「お前っ!偉そうに言いやがって…だったら今すぐ俺と勝負しろっ!」


はあ…面倒くさい。これが初恋の彼だったなんて…。正確には違うけどそうじゃない…ややこしい。


「じゃあ、模擬戦しますかね?双方位置について…。」


赤毛のお兄様が立ち上がり号令をかけた。私は素早く風の術式を組み、対防御の結界を張った。


「成程…ちゃんと修行はしていたみたいだね~」


白銀髪のお兄様の声を聞きながら、目の前の斈 緋劉を見詰める。


しかし…この壬 狼緋…もとい斈 緋劉は腹立つことに男前だな…。なんでまたこんな男前なのかな?私に対する嫌がらせなのかな?もっとブ○○○だったらこんなに腹立つこともないかもしれないのにさっ。


メラッ…と自分の霊力が上がる。勿論、何故にお前が男前で生まれたんだ?に対する怒りからだ。一瞬、体を沈めると私は一気に飛び出した。


「私の初恋をぉぉぉ返せぇぇぇ!」


私の心からの叫びだった。怒りに任せて最大級の霊力の風術を乗せた拳で、斈 緋劉をぶん殴った。辛うじて受け止めようとして受け身を取ったことは褒めてやってもいい。


斈 緋劉はピューンと飛んで綺麗に落下した。


死んでない…と思う。ちょこっとは加減した…つもりだ。


「勝者ーぁ、彩 凛華ぁー」


赤毛のお兄様のやる気の無い声が実技場内に響いた。


「も~っだからぁ別の試験にしとけばよかったのに、ねぇ?」


ねぇ?って聞かれても知らないよ…。腹黒お兄様。


後に、腹黒男前なお兄様は、愁釉王(しゅうゆうおう)…この国の第四皇子様というとんでもなく偉い人だったことを知った。皇子様があんな実技場の文机に呑気に座っているのもおかしいよね?


因みに濃い緑色の髪の冷気を放っていた、眼鏡お兄様は伶 秦我(れいしんが)中将。岩みたいにごつい赤髪のお兄様が黄 漢羅(おうかんら)少尉。共に今季新設された『第壱特殊遊撃隊』に所属されている。


何故だか私もその隊に入れられていた、階級は一番下の少吏。おまけに斈 緋劉も同じ部隊だ。


果てしなく嫌な予感がしていたが、案の定だった。緋劉は事あるごとに私に嫌みを言い、執拗に絡み、私を困らせた。勝手に好敵手呼ばわりされるのも迷惑だ。


私はお前の好敵手になった覚えはない!このっ初恋ぶち壊し野郎めっ……言葉が過ぎたね…反省。


「ワザとですか?愁様?」


「何がよ?」


文机で書付をしていた愁様の白銀色の髪の後頭部を見詰める。言ったら言ったで、この事に対して弄りまくるのだろうな…。


「私は斈 緋劉に目の敵にされています。部隊の士気が乱れる原因となる方を一緒にするべきではないと思います」


この国の第四皇子、愁様はパッと顔を上げるとニヤーッと笑った。


「なんでよ~緋劉めっちゃ、やる気出してるよぉ?凛華ちゃんにぶっ飛ばされたの効果あったね!」


「効果を狙って殴ったわけじゃありません…」


「はつこいをかえせ…ね♪」


「…」


本当にこの愁釉王は良い根性しているわっ…。


「この部隊…『異形のモノ』の討伐専門になる、と聞いたのですが?」


私がそう聞くと、愁様はキュッと顔を引き締めた。愁様は桁外れの男前なのよね…そこは認めるよ、うん。


「そうですよ~?」


「では尚のこと、実戦で戦えない人員は隊に置いておくべきではありませんよね?」


愁様は小首を傾げた。


「戦えない…?誰が~?」


思わず舌打ちしそうになる。本当にこの皇子は根性悪いっ…。分かっているくせに。


「斈 緋劉です。彼はまだ即戦力にはなりません」


愁様は筆を置くと、


「緋劉はこれからもっと強くなるよ、霊力の足りない部分は腕力、体力、知力で補える…あいつはそれが出来る。体の体幹もしっかりしている。筆記試験は満点だよ?いずれ君にも追いつく。心配してやることはないよ?」


と怖い顔で私を見ながら言った。


「…心配なんかしていません」


「そう?いつもそんな顔しているみたいだけど?」


「弱くてやっていけるんだろうかっ…て思って見ているだけです!」


しまった…口が滑った。途端に愁様はニヤニヤと笑い出した。


「好敵手だもんね!ほらっ朝一の朝議があるよ!凛華は皆と勉強会!午後は実技訓練だしね〜あぁ〜忙しい、忙しい!」


愁様は立ち上がると手早く文机の上を片付けて、私の背中を押して執務室から一緒に廊下に出た。


好敵手じゃないってばっ! と文句を言おうとしたけれど、私を置いて愁様はさっさと歩き出してしまったので渋々だが後を追いかけた。


そう…午前は伶 秦我(れいしんが)中将による座学だ。愁様とは会議室の前で別れた。溜め息をついてから室内に入った。怜悧な眼鏡が私を見た。


「おはようございます」


「おはようございます…」


少し腰を落として伶 秦我中将にご挨拶してから、足早に長机に座った。勿論、斈 緋劉もいる。大人な私は「おはようございます。」と穏やかにご挨拶をした。一応緋劉から、もごもごとご挨拶が返ってきた。


「お♡は♡よ凛華ちゃん♡」


「お、おはようございます。漢岱(かんたい)少尉…」


私に微笑みかけているのは、岩みたいにごついお兄様?黄 漢岱(おうかんたい)少尉だ。横に同じ顔の黄 漢羅(おうかんら)少尉が座っていて私に手を上げて笑った。そうお二人は双子だ。


「ちょっとー凛華ちゃんっそんなゴツイ名前じゃないわよ、私は漢莉(かんり)よ!間違えないでっ!」


「は、はぃ…すみませ…」


か、絡み辛いな…。


そう黄兄弟は双子さんなのだが、同じゴツイ岩みたいな体躯で…え~と漢岱少尉(弟)は中身は乙女らしい。なんでも漢…莉さんは兄の漢羅少尉より強いらしいのだが、


「なんで私がむさい軍隊に入らなきゃいけないのよ!お兄ちゃんも一緒じゃなきゃイヤよ!」


と、岩乙女がゴネたので仕方なく双子で一緒に入隊したそうだ。


「凛華おはよ~。なぁにあなた寝不足じゃない?肌が荒れてるわよ?」


私の横には本物?のお姉様、17才の朱 梗凪(しゅこうな)少将がいる。


梗凪姉様は腰に下げた布袋から小瓶を取り出すと、私の顔に塗ってくれた。ものすごく良い香りがする。


「女の子はね、見られて美しくなるのよ?だから自分磨きに手を抜いてはダメよ?」


そう言いながら今日も黒髪に神秘的な碧色の瞳の、美しい神仙のようなお姿だ。こんな下々の私にまでお優しい…。


梗凪姉様はこんな容姿だが性格は男気溢れる人なのだ。梗凪姉様と岩乙女はとても仲が良い。


梗凪姉様は御三家と呼ばれる、一家の一つ、朱家のお生まれで皇族の方々が降嫁などで入られるほどの由緒正しき御家柄だ。


梗凪姉様はこの部隊に入る前は貴族の淑女ばかりが隊員の『山茶花(さざんか)』というなんだかよく分からない部隊におられた。実はそこで壮絶な苛めにあっていたらしい。


らしい…というのは梗凪姉様本人から聞いたことがないからだ。梗凪姉様は決して人の悪口は言わない。


どこかの初恋ぶち壊し野郎に聞かせてやりたいわ…。


姉様の苛め情報はすべて岩乙女から直接聞かされたものだ。ご丁寧にも岩乙女は私を山茶花の詰所まで連れて行き、わざわざ苛めの主犯格を指差して説明した。


「よーく見ておきなさい。あの真ん中でヘラヘラしている女が宗 明葉(そうめいは)よ。毒々しい性悪の霊力が見えるでしょう?」


性悪か…どうかは霊力ではよく分からなかったけど、確かに霊質はあまり綺麗とは言い難い女性だった。


苛められていた梗凪(こうな)姉様は、特殊遊撃部隊が創設されたのと同時に愁様に推挙されて部隊替えをされた。恐らくだが苛めに気が付いた愁様が、新設されたことを理由に梗凪姉様を苛めている女達から引き離したのだろう。


これも岩乙女の独断と偏見の見方だが…。


「愁様と梗凪はデキてるわね…女の勘がそう囁くわ!近いうちに婚姻するんじゃないかしらっ美男美女よねー悔しいけど梗凪が相手じゃ私のつけ入る隙はないわぁ…」


色々とツッコミどころはあるけれど、そもそも女じゃないし…とか隙どころか入って行けると思っていたの?とかそれも含めて岩乙女はすごいなと思った。


「では、始めますよ」


伶 秦我中将の声に慌てて教本を広げた。


「今日は『異形のモノ』について話したいと思います。え~では…」


ひぇぇ…中将の冷ややか眼鏡が私の方を見た。名指しされるのを避けようと教本に目を落とした。


「では、斈 緋劉。異形のモノの名の由来の説明を…」


「はい」


斈 緋劉はそう答えると立ち上がった。ふぅ…助かった。


「異形のモノとは主に蓬莱から渡って来ると言われる害獣及びそれに附随するものの総称です。通常の害獣よりは数倍大きく、時には醜悪に変形して判別の付かない存在になっていることから『異形のモノ』と呼ばれています。」


「宜しい」


流石筆記試験は満点なだけあるわね…っ。そこは認めてやるわ…初恋ぶち壊し野郎だけどっ。チラッと斈 緋劉を見ると教本の影に隠れて私に向かって舌を出していた…っ!くそっ…腹立つなっ!


「異形のモノが蓬莱から来る…には諸説あります。その一つは蓬莱は三山から成り立ち、泉紀(せんき)南淳(なんじゅん)御郷(みごう)のそれぞれに住まう(しん)神仙(しんせん)仙人(せんにん)がこの世に巣食う魔のモノを祓い…祓い漏れたモノが下界に降りて来る説。それともう一つ…蓬莱より彼方に存在するとされている異界…能々壱(ののいち)に住まう異形がこちらに渡って来る説。どちらもあくまで説というだけで、存在を確認したという報告は今の所はありません」


そうなんだよね…異形のモノが現れて来るようになったのが、今から三十年ほど前…何処からともなく突然現れて…人や家畜を襲い、恐怖に怯えた人々が縋ったものが、「現是神(げんぜしん)」つまりはこの世界を創造されたと言われている神。


神に縋りたい気持ちも分かるけどね…。


その下というか御付きの神の使いの事を神仙と言う。神仙は神に認められて、神格…つまり神と同格の力を与えられた元人間と言われている。


更に自身の力で仙の力を会得した者を仙人と言う。これは今、巷で事件になりちょいちょい話題にもなっている。


「その存在が不確かな故に仙人を(かた)り、無辜(むこ)の民から金品を巻き上げ、壺や数珠などをあたかも異形から身を守れる素晴らしい品…と(うた)い…売りつけている悪辣(あくらつ)な輩が出ているのも許し難い事態ですね」


伶 秦我(れいしんが)中将は冷気を垂れ流して来た。さ、寒っ…怒るのは最もだけど寒いです中将…。


「こう言っては信仰心が無いと言われてしまいますが、物理的に刃で切る事が出来て、事切れる生き物に壺を投げても意味は無いですしね。アレは害獣と一緒です。あのような生き物は殲滅(せんめつ)あるのみです」


バッサリ…さすが超合理主義、現実論者。こんな性格だから他の部隊で煩い公家の武人から嫌われて閑職扱いにされていたのよね…。そんな伶 中将を愁様がこの部隊に推挙した。


なんかこの部隊って曲者ばかり集まっている気がするのよね…。アレ?私も入っているって?…認めたくない。


「まあ、偽物本物は兎も角ですが…仙人になるには沢山の術式を会得して開眼すると仙の目覚めがある…とされています。どうです?彩 凛華(さいりんか)は目覚めは感じますか?あなたが私が知る限り一番霊力量が高い術士なのですが?」


いきなり伶 中将に話を振られてあたふたしてしまった。め、目覚め?仙人の…?無い無い無いよぉ!?


「わ、私がですか…あの…そ、そもそも目覚めって…どういうのでしょうか?朝起きたら『仙人になってる!』とか分かるものなのでしょうか?」


と、私が中将と黄兄弟の兄を交互に見ながらそう聞くとお兄様二人はキョトンとした後、笑顔になった。


「確かにな~俺も知らんわ!」


「ならば、彩 凛華は是非目覚めた折には具体的な事例を上げて報告書を上げて下さい」


「たぁ…賜りました…」


お兄様達も系統は違えど、男前なのには違いない。朝から眩しいな…。


しかし私は世の中の人のように現是神や神仙、仙人の存在を信じていない。それこそ中将の言葉を借りるなら信仰心が足りない…ということになるのだろうが…。


そもそも神が居るならば…前世の私のような子供が救われないのはどうしてなのだろうか?


今、この時代にも悲惨な状態の子供、老人…沢山居る。この国白弦国の都の燦坂(さんざか)にも裏路地に入れば物乞いをしている小さな子供が沢山いる。


神が本当に居るのならば、救ってくれるはずだ…。よって私は伶 秦我(れいしんが)中将の支持派だ。切れるモノは切り捨てましょう。切って何が悪い?呪うなら愁様に呪詛を向けてくれ…。


「皆~たいへ~ん」


いきなり会議室の扉が開いた。今の所呪われていないっぽい…愁釉王(しゅうゆうおう)が白銀色の髪を揺らして戸口に立っていた。


「異形のモノが丙琶(へいべ)に出たって~!」


異形のモノ!とうとうきたなっ。


私達は一斉に立ち上がった。



個人的に岩乙女が好きです。

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