表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バーニング!!  作者: KEMURINEKO
6/7

第6話 黒装束の魔族デリーダ。

お読み頂き有り難う御座います。


第6話です。

リブルを出て3日目。


レン達はフレバリー平原という広い平原の街道を進んでいた。


アン:『な~んも無いわねぇ。』


レン:『まぁこの地域最大の平原地帯らしいからな。』


セシル:『あと4時間はこの風景が続くわよ。その先に遺跡が一ヶ所有るから、そこまで行ったら野営の仕度をしなきゃね。』


アン:『こんだけ見晴らしが良いと、盗賊も出そうに無いものね。レナ、この近くに村とかも無いの?』


レナ:『無いわ、大昔に魔王に襲われてからはこの土地に人が住む事が無くなったって話よ。』


アン:『魔王ねぇ・・・。魔王って本当に居たのかしら?』


セシル:『文献では居たらしいわね。何処かに封印されているらしいけど、その場所すら知られていないみたいだけどね。』


レナ:『伝説では遥か北の大陸にある神殿に封印されているらしいわ。』


レン:『封印かぁ、殺した訳じゃ無いんだよな。』


アン:『それだけ厄介な奴だったって事よ。伝説の勇者だって7人掛かりで封印したんだもの。』



魔王封印伝説は、この世界の各地で伝えられている伝説だ。


伝説はいつの時代も美化される物だが、この言い伝えに関しては結構事実に忠実に伝えられている。


その理由は、伝説に出て来る7人の英雄達はその後自分達の冒険を綴った手記を残していたのと、全員戦いで死ぬ事無く後の子孫に語り継いだからだ。


だがある時期を境に英雄達の子孫の行方が分からなくなった。


様々な伝承はあるが、魔王の僮から身を隠したという伝承が一般的であった。


セシル:『遺跡が見えて来たわよ。』


レン:『こりゃまたデカい遺跡だなぁ。』


アン:『なんか期待持てそうじゃない!』


遺跡の前に立つと、その規模の大きさに全員が驚いた。


盗掘された形跡は確かに少ないが、一見すると迷宮の入り口は無さそうだ。


セシル:『無さそうね・・・。』


するとレナが建物の裏手で声を上げた。


レナ:『ねぇ!これって何かな?』


レン:『・・・隠し扉だな。』


アン:『レン、早く開けて!』


レンが扉を開くと、下に伸びる階段があった。


セシル:『迷宮かしら?』


アン:『行きましょ!』


レン:『待てよ!これから外が暗くなるってのに入る気か?』


セシル:『やめた方が良いわ。扉を閉めて明日入ってみましょ。』


野営の準備が終わり、夕食を食べながら翌日の予定を話し合った。


レン:『明日は迷宮の探索を優先にしよう。地下だと何が起こるか分かんないしな。』


セシル:『そうね。時間を決めて探索すると途中で戻る事になりそうだし。』


アン:『とにかくお宝優先よ!魔物なんか蹴散らして行くからね!』


レナ:『どの位深い迷宮なのか気になりますもんね。』



方針が決まり翌朝から探索する事になった。



翌朝。



レン:『さてと、いよいよ入りますかね。』


レナ:『灯りは任せて。』


レナが光魔法で周囲を照らしながらレンと共に先頭を歩く。


アン:『思ってたよりは深そうな迷宮みたいね。』


セシル:『どうやら魔物が居るみたい。気を付けた方が良いわ。』


セシルの忠告通り、遠くで何かが動く気配をレンは感じた。


その直後、通路の奥からアンデッドが2体突っ込んで来た。レンが難なく切り払うとアンデッドは真っ二つに切り裂かれた。



アン:『さすがにここじゃレンの剣でも狭いわね。』


レン:『あぁ、これより狭くなったら結構キツいかな?』


レナ:『私は魔法で照らしてるから剣が使えないのよね。』


セシル:『正直私は足手まといね・・・。こういう所じゃ相性が悪過ぎるわ。』


アン:『まぁセシルの場合、武器が武器だしねぇ・・・。』



レンは今の広さでも剣を振るうのがやっとの広さだ。


アンの魔法では炎の影響で迷宮が崩れかねない。


唯一短剣を持っているレナは照明を照らしているので剣が使えない。


レン達は引き返すかどうかを検討していた。


少し進むと、広い部屋に着いた。


その部屋から伸びる通路は先ほどまで歩いていた通路と然程変わらない。


レン:『どうする?このまま進むにしても、俺とレナの2人で行った方が良い気がするんだけど・・・。』


アン:『難しいところね、万が一の事を考えると全員で行動した方が良さそうではあるけど。』


レナ:『これは戻った方が良く無い?入り口付近でこの広さなのよ?』


セシル:『私はレナに賛成ね。魔物が出ても満足に戦えないなら行っても意味が無いわ。数体なら2人でやり合えるけど、囲まれでもしたらさすがに無理よ。』



レン達は迷宮の探索を諦めて地上に戻る事にした。



アン:『あ~無念!お宝ゲットのチャンスだったのにぃ!』


レン:『まぁしょうがないよな。あんなに狭いとは思わなかったんだし。』


セシル:『仕方が無いわ、旅を続けましょ。』



馬車に戻ると、怪しい人影が見えた。



レン:『誰だ!』


馬車の陰から3人の盗賊らしき男が出て来た。


盗賊1:『なんだよ、おたくら迷宮で荒稼ぎして来たんじゃ無ぇのか?』


レン:『悪いな、うちらの武器じゃ狭すぎたんだ。』


アン:『そしてワタシ達は機嫌が悪いの。』


セシル:『あなた達を狩って荒稼ぎしても良いのよ?』


盗賊2:『なかなか元気の良い嬢ちゃん達だ、こんだけの人数で旅してるって事は、それなりに銭は持ってそうだな。』


レナ:『貴方達、私達が言ってる意味分かって無いみたいね?』


盗賊3『まさかお前達、俺等が3人だけだと思ってる訳じゃあ無いよな?』


アン:『言っとくけど、ワタシ達とやり合うなら最低でも20人は必要よ?』


盗賊1:『ほざけ!お前等!』


一人が声を上げると、物陰から7人の盗賊が現れた。


セシル:『5・6・7、合わせてたった10人?ねぇ、誰がやる?』


盗賊2:『ふざけんな!やっちまえ!』


アンは火炎魔法を3人の盗賊の頭上に飛ばし『バーニング!!』と叫ぶと炎が炸裂し、3人は炎に包まれた。


レンを囲む様に4人の盗賊が道を塞ぎ、それぞれが斬りかかるとレンは一人ずつ切り払う。


セシルを3人の盗賊が取り囲むとセシルその大鎌を一振りして2人を切り倒した。


残った1人をレナが短剣で斬りかかる。


だがレナは腕と足を斬るだけで殺す事はしなかった。


レナ:『あんた達、他にも仲間が居るわね。アジトは何処?』


盗賊:『うぅっ!て、てめぇ等何者だ?』


レナ:『質問に答えなさいよ。』


レン:『無駄だ、こいつ等に何聞いても答えねぇよ。』


レナ:『じゃあ生かしておいてもしょうがないわね。』


盗賊:『っ!!ま、まってくれ、アジトを教えたら見逃してくれるのか!?』


アン:『甘いわよ!バーニング!!』


盗賊は炎に包まれて倒れた。


レン:『アン、無益な殺生すんなよ。』


アン:『どうせ嘘の情報しか言わないわよ。それに・・・居るんでしょ!出て来なさいよ!』


馬車の陰から1人の男が現れた。



それは全身黒装束の不気味な男だった。



男:『良く分かりましたね。』


アン:『さっきから変な嫌らしい笑い声がうっすらと聞こえてたのよ。その悪趣味な服装とやたらと無駄に高い魔力・・・アンタ魔族ね。』


男:『御名答、如何にも私は魔族。名をデリーダと申します。ですが私は貴殿方に危害を加えるつもりは有りませんよ。私はその愚かな盗賊どもとは無関係ですので。』


レン:『その魔族のオッサンはこんな所で何してたってんだ?』


デリーダ:『たまたま探し物をしていたら先ほどの盗賊どもが近付いて来たので、折角なので見物させて頂いたのですよ。』


セシル:『それで?その探し物とやらは見つかったのかしら?』


デリーダ:『いいえ、私が探している物は、どうやら貴殿方が入った迷宮にある様です。』


レン:『悪いが、俺達は中が狭すぎて探索どころじゃ無くなって戻って来たんだ。迷宮に何が有るのかは知らねぇけど、あんたが取りに行くってんなら好きにして貰って良いぜ?』


デリーダ:『ほう、人間にしては中々物分かりが良い方々の様だ。』


アン:『アンタが探してる物がお宝かどうかも分からないしね。それにアンタ等魔族と関わるとロクな事が無いのよねぇ。』


デリーダ:『これはまた随分と嫌われたものだね。まぁ良いでしょう。私は君たちと戦うつもりも無いのだからね。それでは旅の御無事を。』



魔族の男は先ほどレン達が出て来た迷宮に入って行った。



アン:『まさかこんな所に魔族が居るとはね・・・。』


セシル:『出来る事なら会いたくは無かったけどね。』


レナ:『ここに魔族が居るって事は、この先は魔物が狂暴化していてもおかしく無いわね。』


レン:『それだけなら良いんだがな・・・。何か嫌な予感がして来た。』



魔族。


それは封印された魔王の復活を企む魔王の眷属達だ。


本来は人里などに現れる事など滅多に無く、その存在が居るだけで魔物の活動が活発になる。


魔族の中には先ほどの様な人の姿をした者が居る。


こうした人の社会に馴染んだ魔族ほど、高い魔力と知性を持っている事から敵に回すと厄介な存在なのだ。


不安を抱えて遺跡を後にしたレン達は、再びハウエルに向けて出発した。

お読み頂き有り難う御座いました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ