第3話 盗賊に追われた美少女セシル
お読み頂き有り難う御座います。
第3話です。
レンとアンは町の領主へせめてもの礼として町の外れで盗賊狩りをしようとしていた。
しかし前日に倒した盗賊が最後だったのか、待っても一向に現れる気配が無かった。
レン:『なぁ、いい加減場所変えね?』
アン:『そうねぇ・・・。そう言えば昨日レストランで遺跡がどうって話聞いたわよね?』
レン:『あぁ、でも女の子が全滅させたらしいぜ?』
アン:『全滅したって事は他の盗賊が潜伏しやすいんじゃない?』
レン:『そりゃまぁ誰も居なくなった訳だから、潜伏はしやすいだろうけどさ。いくら盗賊でも血生臭い所で潜伏したくは無ぇだろうよ?』
アン:『あ、そか。じゃああっちの森は?』
レン:『ん~確率無くはなさそうだけど・・・。』
アン:『ねぇ、森から誰か出て来たわよ!』
レン:『ホントだ。遠くてよく見えないけど、1人だけだな。』
森から出て来た人影は走ってる様に見えた。
その後森から数人の人影があとを追う様に出て来た。
アン:『ちょっと待って!?あの人追われてない!?』
レン:『行こう!』
二人は逃げていると思われる人影の先回りをする様に走ると、レンが声をあげた。
レン:『おい!こっちだ!早く!』
近づくにつれ逃げているのは若い女の子だと分かった。
レン:(か、可愛い・・・。)
追って来ているのは盗賊の風体の男が3人だった。
レンとアンは女の子に追い付くと、追っ手の進路を塞ぐ様に止まった。
レン:『女の子1人に男3人掛かりたぁ随分と卑怯じゃ無ぇか!』
男1:『兄ちゃん、悪ぃこたぁ言わねぇ、大人しくその嬢ちゃんを渡しな。』
アン:『うっさいわね変態オヤジ!あんたらなんかにこの子を渡せないわよ!』
男2:『嬢ちゃん、盗賊を怒らすもんじゃ無ぇぜ?さもねぇ・・・』
アンは盗賊が話終える前に炎魔法を放った。
アン:『バーニング!!』
3人の盗賊の目の前で炎が炸裂し、盗賊達は全身炎に包まれた。
レン:『あ~ぁ・・・アン、セリフぐらい最後まで言わせてやれよ。3人目なんかセリフカットだぞ?中の人泣いてるぞ?』
アン:『だってイラッと来たし!めっちゃキモいし!ん?中の人?』
レン:『はいはい、ねぇ君!大丈夫か?』
女の子:『・・・ありがとう。』
レン:『俺はレン、こっちはアン。』
アン:『アンよ。よろしくね。』
女の子:『私はセシル。盗賊ハンターよ。』
レン:『へっ!?』
アン:『は!?』
レン:『いっ、今、盗賊ハンターって言ったか?』
セシル:『えぇ、言ったわ。』
アン:『ちょっと待って!?追われてたんじゃ無いの!?』
セシル:『追われてたわよ?』
レン:『いったい何で追われてたんだ?』
セシル:『パーティー組んだ連中が3人共盗賊に寝返って私の武器を取られたのよ。しかもその3人はその場で殺されて、仕方無く隙を見て逃げて来たって訳。とんだお笑い草よ。』
レン:『まぁ武器はまた買えば良いさ、命有っての物種だしな。』
アン:『災難だったわね。兎に角無事でよかったわ。』
セシル:『でも私の武器は特別製なのよ。作り直したら今持ってるお金ほとんど使っちゃう事になるわね・・・。』
レン:『そんなに凄い武器なのか?』
セシル:『えぇまぁ・・・ねぇ。そうだ、あなた達にお願いがあるんだけど、聞いて貰えるかしら?』
アン:『内容にもよるわね。』
レン:『どんな頼みなんだ?』
セシル:『そこの町で間に合わせの武器を買うから、しばらく私もあなた達と同行して良いかしら?』
レン:『俺は構わないぜ?』
アン:『ワタシも別にいいわよ?トラブルさえ起こさなければの話だけど。』
セシル:『トラブル?』
アン:『遺跡で盗賊を全滅させたのってあなたでしょ?なんでも1人勝ちしたって話じゃない?』
セシル:『よく知ってるわね?でもそれはパーティーメンバーがお宝に目が眩んで自滅したから仕方無く1人で倒したってだけの話よ?』
レン:『何て言うか、セシルってパーティーメンバーに恵まれねぇんだな・・・。』
アン:『その話が本当ならね。兎に角一度町に戻りましょ。話はセシルが武器を買ってからでも出来るわ。』
町に戻った3人は武器屋でセシルの武器を買った後、カフェで話をした。
セシル:『えっ?あなた達、盗賊ハンターじゃ無かったの?』
レン:『あぁ、俺達は普通の旅人さ。まぁ盗賊ハンター並みに盗賊を倒してはいるけどな。』
アン:『正直間違えられても文句言えないわよねぇ。』
セシル:『旅って何処まで行くの?』
レン:『取り敢えずはルーンの都まで行こうと思ってる。』
セシル:『水の都ルーンか・・・。』
アン:『それにしても、そのセシルの武器、やたら目立つわね・・・。』
セシル:『私は大鎌以外の武器だと調子出ないの。魔法も闇属性の黒魔術だから相性が良いのよ。』
レン:『遠目から見たら死神に見えるかもな(笑)まぁ近くで見りゃ可愛らしい女の子だけど。』
アン:『なにサラッとナンパしてんのよ!冗談はさておき、持ち歩き不便じゃない?』
セシル:『・・・慣れ・・かな?いつもはこれより数段重いの使ってたし。』
レン:『へぇ、ちょっと持ってみるかな・・・って重っ!!嘘だろ!?これ俺でもやっと振れる重さだぜ!?』
アン:『馬鹿力のレンも形無しね?(笑)しかしそんなに小さな体でよく扱えるわね?
セシル:『幼い頃からお爺様に鍛えられてたからかな?だから普通の両手剣だと芯が折れちゃうの。』
レン:『わかる!!俺も大剣で慣れてるから普通の両手剣だとポッキリ行っちまうんだ。』
アン:『ハイハイ、筋肉自慢はそれぐらいにして。それでワタシ達と旅をするってのは本気なの?』
セシル:『あなた方さえ良ければ行きたいわ。』
アン:『・・・良いわ。行きましょ!仲間は多いに越したことは無いわ。』
こうしてセシルが旅の仲間に加わった。
お読み頂き有り難う御座いました。




