第2話 盗賊ハンターで盗賊。みたいな?
お読み頂き有り難う御座います。
第2話です。
盗賊達を倒したレンとアンは、操馬主が居なくなってしまったのでそのまま荷馬車で町を目指していた。
レン:『なぁ良いのか?一応これって泥棒だぜ?』
アン:『あのおじさんも盗賊の一味なんじゃないの?逃げるのって変じゃん?』
レン:『ん~でも何か後味わりぃよなぁ。』
アン:『別に良いのよ?レンだけ此処から歩いても。ワタシは早くご飯食べたいだけなんだから。』
レン:『分かったよ。でも続けざまに2度も盗賊に襲われるとはなぁ・・・。多くね?』
アン:『確かにこの街道に入ってからは、やたらと盗賊に出会す回数が多いわね。まるで町に近付けたく無いみたい。』
レン:『この先の町って確かシェルビーって言ってたよな?聞いた話じゃ普通の町らしいぜ?』
アン:『変な事に巻き込まれなきゃ良いんだけど・・・。』
その頃シェルビーの町では盗賊ハンター達が大勢集まっていた。
盗賊ハンターは町の領主によって雇われ、周囲の森や廃墟を回っては盗賊を討伐している。
この町が都から離れた宿場町だという事もあって、以前から旅人が襲われる事が多いからだ。
アン:『町が見えたわ!』
丘の上から見えた町は結構大きく、都から離れた町にしては栄えている様だった。
レン:『アン、何か様子が変だぞ?』
町の方から3頭の馬が向かって来ていた。
アーマーで身を固めた男達が止まれと合図したので、アンは馬車を停めた。
男1:『お前達は何処から来た?』
レン:『俺達はアベイルの北にあるソントって町から旅をしている者だ。おたくらは?』
男2:『俺達はシェルビーの町で領主に雇われた盗賊ハンターだ。あんたらここまで盗賊に狙われなかったか?』
アン:『盗賊になら2回襲われたわ。どっちもやっつけたけど。』
男3:『なんだって!?あんたら若いのにやるじゃねぇか!』
男1:『待てゾルフ、まさかお前達も盗賊の一味なんて事は無いだろうな?』
レン:『随分と人聞きわりぃ事言うじゃねぇか。ほら、これがその盗賊からかっぱいだカードだ。』
盗賊ハンター達はカードの枚数を見て驚いた。
有に10枚以上もあったのだ。
男1:『おい!お前達何人の盗賊とやり合ったんだよ!』
アン:『一組6人か7人だったっけ?』
レン:『確かそんくらいかな。』
男2:『こいつは驚いた、本当にあんたら2人でやったのかよ!』
アン:『それで?ワタシ達、町に入れるのかしら?』
男3:『一応念のために通行書を見せてくれ。』
アンとレンが通行書を見せると、3人の盗賊ハンターは町まで護衛をしてくれた。
アン:『レン、早く馬車を預けて換金しましょ?』
レン:『そうだな。あ、あそこに停車場があるぜ。』
二人は兵士局に行って換金した後、一番良さそうなレストランに入った。
店員:『いらっしゃいませ!何名様?』
アン:『二人よ。』
店員:『あちらのテーブル席にどうぞ。』
席に着いてメニューを眺めていると、隣のテーブルで会話している声が直ぐに耳に入った。
男1:『おい聞いたか?レゾの旦那、サリオンの遺跡で殺られたらしいぜ?』
男2:『ミイラ取りがミイラになったら世話無ぇぜ。で?盗賊は?』
男1:『全滅だとよ。またあの小娘の1人勝ちだ。』
アン:(こんな所でも盗賊狩りの話?ご飯が不味くなっちゃうわ。)
レン:(へぇ、大した嬢ちゃんなんだな・・・。)
アン:『注文良いかしら?』
店員:『どうぞ!』
アン:『オニオンスープとポンドステーキとライスとバイキングサラダにソフトプディング』
レン『俺はローストチキンとジンジャーブレッドにラザニアとシーザーサラダとカフィ』
店員:『そちらがオニオンスープ・ポンドステーキ・ライス・バイキングサラダ・ソフトプディングでこちらがローストチキン・ジンジャーブレッド・ラザニア・シーザーサラダ・カフィですね?少々お待ち下さい。』
アン:『あの店員・・・できるわね。』
レン:『いや、こんだけの客入りでできなきゃ駄目だろ。』
料理を待っていると店の奥の方から視線を感じた。
レンがさりげなく視線を向けると、先程の盗賊ハンターの1人だった。
レン:『アン、さっきの盗賊ハンターがこっち見てるぞ?』
アン:『知ってる。さっきからずっとよ。』
レン:『なんだ気付いてたのか。で?どうする?』
アン:『何もしないわよ?ご飯食べたいもん。それにあの手のタイプは店から出るまでは接触して来ないわよ。』
レン:『へぇ、女の勘ってヤツか?』
アン:『経験よ。それに敵意があるなら店に入る前の方が楽じゃない。』
レン:『それもそうか・・・。』
料理が届き、一通り平らげて店から出ると、先程の盗賊ハンターが声を掛けて来た。
男:『なぁあんたら、さっきはすまなかったな。』
アン:『まさか謝るだけの為にレストランでストーキングしてた訳じゃないわよね?要件は何?』
男:『なんだバレちまってたのか、実はあんたらに折り入って頼みがあるんだ。』
レン:『つけ回してまで頼みたい事だってんなら聞いても良いぜ?』
アン:『茶化さないで聞いてあげなさいよ!で?どんな頼みなの?』
男:『まずは自己紹介するよ。俺の名はゾルフだ。一応元傭兵で盗賊ハンターをやっている。さっきあんたらが狩ったカードの枚数を見て、是非とも組みたいと思ったんだ。』
アン:『そういう事は盗賊ハンターに頼む事ねゾルフさん?それと今度人にものを頼む時は・・・。』
レン:『取り巻きを連れて来ない事だな。』
レンがゆっくり周りを見渡すと、左右の路地から数人の盗賊ハンターが現れた。
アン:『まさか盗賊ハンターが盗賊の真似ゴトをするとは世も末ね・・・。』
レン:『そう言うなよ、こんなバカが居るからさっきみたいな飯が食えるんだぜ?』
ゾルフ:『さっきあんたらが見せたカードの奴等なぁ、俺等が狙ってた奴等なんだよ。』
アン:『それはお気の毒ね?でもそれはワタシ達には関係無いわよね?』
男2『俺等の暗黙の了解ってもんがあってよぉ、邪魔した奴には制裁を加えるってのがあるのよぉ。』
レン:『へぇ~そりゃたいへんだぁ、おれたちせいさいされちゃう~。』
男3:『ざけんなぁ!』
1人がレンに斬り掛かると呆気無く弾き飛ばされた。
レン:『ふざけてんのか?その程度で盗賊ハンターとか笑わすな。』
更に3人がレンに斬り掛かると、レンは軽くいなしながらニヤリと笑い、息を吸い込んで一気に3人まとめて斬り払った。
残りの男達がレンに気を取られていると、突然炎が目の前に飛び込んで来た。
アン:『無視してんじゃ無いわよ!バーニング!!』
男達の真上で炎が炸裂し、一瞬のうちに炎に包まれた。
騒ぎを嗅ぎ付けた兵士達が駆け付けると、そこには全身大火傷で瀕死の男達とバッサリ斬られて虫の息の男達が横たわっていた。
兵士1:『こ、これはいったい・・・。』
アン:『このムッサイおっさんに聞いて。』
ゾルフ:『馬鹿な・・・そんな馬鹿な・・・。』
結局アンとレンの二人は兵士局で事情聴取を受ける事になった。
一通りの事情を話すと、領主から謝罪を受けた。
領主:『すまない事をしたね。盗賊ハンターがまさか自分達で盗賊行為を行うとは・・・。これはせめてもの謝罪金だ、受け取って欲しい。』
アン:『気にする事無いですよ、いつもの事ですし。』
レン:『俺達既に盗賊退治してお金も貰ってるし、なんか悪いっすよ。』
領主:『いや、受け取ってくれ。私の見る目が無かった事が原因なのだから。』
アン:『そこまでおっしゃるなら・・・。』
レン:『有り難く頂きます・・・。』
兵士局を出ると二人は少し気まずい感覚だった。
アン:『なんか領主さんに悪い事したわねぇ。』
レン:『まぁ領主さんが悪い訳じゃ無いもんなぁ。』
アン:『ねぇ・・・明日この町出たら・・・一暴れしちゃおっか?』
レン:『アンならそう言うと思ったよ・・・。でもまぁ・・・アリだな!』
二人はニヤリと笑いながら親指を立てた。
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