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◆魔剣名鑑◆#6

◆魔剣名鑑 #28【〈百爪の尖剣(コルススィーニ)〉】◆


グライトの従者、獣人の三兄弟その長兄の作。業物。序列・四十六位。

刀身が針めいて細身の銀色の片手剣。切断よりも刺突を得手とする剣。


強度を無視して万物を貫く魔剣であるが、真価はそこにあらず。

何かを貫いたとき、つまり刀身が何かに埋まって見えなくなった際がその本領。

その瞬間、この剣の刀身のはこの世から消失し――――それを補うように、刀身が突きこまれていたもの……つまり“延長線上に柄と繋がっていると言えるもの”を刀身と見做す。

状態的には“存在しながら存在していない”為に、生じさせられる刀身の数に限りはない。


地面に突き刺せば地面が。盾に突き刺せば盾が。剣に突き刺せばその剣が、この魔剣の刃として敵に襲いかかる。

ましてや鎧に突き刺した場合、鎧は見るも残酷な拷問器具へと変貌する。

事実上、あらゆる防御を無効とする魔剣である。



◆魔剣名鑑 #29【〈嘴撃の鎖剣(キリッズカドウィン)〉】◆


グライトの従者、獣人の三兄弟その次兄の作。業物。序列・四十七位。

分厚い刀身の鋼色の両手半剣。振り抜き叩き斬ることを得手とする剣。

その作成時には全く同一の形状である影打ちが作られ――しかし既に廃棄が為されている。

影打ちは同じ材料を用い、同じ刀工から作られた同じ材質の剣。

既に処分されているが――だが、そうなっても“滅んでいない”。


攻撃を行う際に、対象を挟み込むように鏡写しに同一存在である影打ちによる斬撃が発現。

そして、その斬撃は同一存在である魔剣と合一しようと強烈に迫りくる。

既に失われ、そして“斬撃”という概念として昇華されてしまったこの影打ちはあらゆる形あるもの・この世にあるものでは阻むことができない。

斬りかかられてしまえば、挟み込むように背後からも両断される――事実上、防御不能の魔剣である。



◆魔剣名鑑 #30【〈翼手の刎剣(カンハスティル)〉】◆


グライトの従者、獣人の三兄弟その末弟の作。大業物。序列・三十三位。

先端が逆向きに鋭く曲がった錆金色の双剣。奇妙な先端の形状は穿ち壊すことを得手とする。

この一振りが産み出されるまでに試行錯誤で生み出された剣の数は実に百。その頂点に立つ魔剣である。


その剣は羽根のように軽く、泥に打ち込むように万物を貫き――そして引き抜くことでその本領は発揮される。

あたかもこの剣を生み出すまでに作製され廃棄された試作品の如き百の刃を、貫いた物体を材料に用いて作り上げ、引き抜くままに連ならせ纏うことがその真価。

纏った刃に触れたものもまた刃として、魔剣の支配下に置かれる。

その姿は百枚の羽根を持つ翼の如き形状であり、このような翼めいた姿となってなお――元の性質を持ち合わせている。

故に、例え並外れた治癒能力の怪物であろうとも“まだその部位が存在する”為に再生させることができず、

同時に“身体から引き剥がされている”為に生命維持に用いることができず、この魔剣を突き立てられ、引き抜かれてしまえば例え不死の怪物であっても命はない。


防御不能にして万物を防ぎ止める盾、そして不死者殺しの魔剣である。



◆魔剣名鑑 #27【〈石花の杭剣(カレドヴールフ)〉】◆


カインザック窟製の魔剣。業物。序列・五十七位。

細身の刀身は石の如き鈍い色で長大。身体の正中線から指の先まで程度の長さがある直刃の両手剣。


発想の転換により魔剣の権能を応用し、その刀身を分割して斬撃を放つことが可能となった。

擬似的な足場として用いること、或いは擬似的な鎧として用いることも可能であり、そして射程の全てから生じる斬撃は物体を内部から切り刻む。

事実上、その剣の間合いは全てが回避不能にして防御不能の絶死の空間である。


使い手共々、念願の再会が叶った。


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