◆魔剣名鑑◆#2
◆魔剣名鑑 #15【〈水鏡の月刃〉】◆
制作工房不明。古物。写剣。序列・二十三位。
内刃。蒼銀の刀身。二振りで一つの片手剣。
世界の礎となった七振りの魔剣、そのうちのいずれかの写剣である。
写剣とは、名のある刀工の作った剣を別の刀工が模して作り上げた剣。偽物とは違い、騙す意図はなくその刀工の銘が彫られているのが特徴。
なお、〈水鏡の月刃〉自体も古い時代に制作されたものであり、刀工の銘も消えてしまっている。
三日月を模した刀身は月が起こす干潮や満潮――その際の水面と空の距離のように、剣同士を近付けたり離したりする力を持つ。
それは刀身のみならず剣の作った傷痕や、剣を握る剣士当人にも及ぶ。
その速度は圧倒的であり、大鋏型に組み合わせた状態で互いに引き寄せ合えば、シラノの触手抜刀をも凌駕するほどの一閃となる。
傷痕という概念を飛ばす関係上、相手の強度に関わらず万物に傷をつけることが可能となる脅威の魔剣。
また、傷も能力の対象とするその性質上、この剣がつけた傷は決して癒えることはない。
シラノ(フロー)の場合は傷を癒やしたのではなく、別の組織(触手)を充てがって埋めた為にこの限りではない。
セレーネ・シェフィールドは、片目と引き換えにこの剣を手に入れたらしい。




